女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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 森の中心に向かって進んでいると、たま~に他の冒険者たちの戦闘現場に出くわすことがあったけど、初日に会った冒険者たちのようにひどく劣勢な様子の冒険者はいなかったのでこっそりと現場を離れて先に進んできた。 

 中心部に近づくにつれ、スライムやホーンラビット、ハウンドドッグ、ヴェルなどの弱い魔物の姿が見えなくなってきて(なぜかゴブリンはいる)、代わりにオークやトレントとの遭遇率が上がる。

「もしかすると、森の中心部は森の中でも強い魔物が集まるのかな? だとすると、まだ何かわからない赤ポイントの魔物は要注意かもしれないから、ハクはライムと一緒に従魔部屋ハウスに入っておく?」

「何をバカなことを言っているのにゃ? 僕がアリスを守るから、安心するのにゃ!」

 ハーピーのように、うちの可愛いハクを狙ってくるような性悪な魔物だったら困るので、ハクにハウスへの移動を提案したけど鼻で嗤って蹴られてしまった。

 まあ、ハクなら、可愛い外見からは想像できない高い<防御力>を持っているから大丈夫かな?

 でも、怪我はしなくても、私の戦闘中にちっちゃいハクがかどわかされたら大変なので、警戒だけは十分にしておこう。








 ハクとライムがころころとじゃれ合っているのを眺めながら野営の準備をしていると、マップに映り込み始めた6つの赤ポイントが揃ってこちらの方角に向かっているのに気が付いた。

 このままこちらに向かってくると遭遇する可能性がかなり高そうなルートだけど、まだ距離が離れているので、私の【魔力感知】では魔物かそうでないかの区別がつかない。

【ライト】の魔法を解除しながらこっそりとハクの様子をうかがってみると、さっきと同じようにライムところころと転がっているのであまり警戒する必要はないのかな?と気を抜きかけると、

「油断しちゃダメにゃ!」

 私の心の動きを簡単に読んだハクから忠告を受けた。 

「人間にゃ。 ……アリスには、魔物よりも危険なのにゃ」

 ハクの言葉を受けて、ライムが私に擦り寄って来る。

「ありす、にんげんにあまいからしんぱい」

 ……そこまで甘いつもりはないんだけど、2匹が揃って言うことなのでちょっと警戒しておこうかな。

 ライムを抱き上げながら「気を付けるね」とにっこり笑って言うと、2匹が揃ってため息を吐いて、

「心配にゃ!」
「ぼくもきをつける~」

 と言われてしまった。 

 ……心配してくれるのは嬉しいけど、ちょっと失礼だよ?







 遭遇する魔物を退治しながら進んでいる6つの赤ポイント、どうやら冒険者らしい6人は、魔物を狩るたびに私のいる位置から少し方角を変えて進んでいた。

 このままのルートだと私と遭遇することもないかと安心して晩ごはんを食べていたら、急にこちらの方角に向かって進み始める。 こころなしか移動のスピードもアップしているような……?

 6人と私の間に特別気になる赤ポイントはないので、魔物を追いかけているわけでもないようだし、一体どうしたのかな?

 不審に思いながらも、せっかくの食事の時間を中断するつもりはないのでそのまま食べ続けていると、ハクが物理攻撃と魔法攻撃に対する防御壁……、ドーム型の結界を張ってくれる。 

 今回のものはほとんど透明なので、【ライト】を解除してかまどの炎しか光源がない状態では、もっと近くに来るまではわからないだろうな。

 私たちの周りを小さく囲う結界に守られて、安心して鍋からおかわりを注いでいる間も冒険者たちはどんどん近づいて来て、10メートルほど先の繁みの向こうで一旦立ち止まった。 

 こちらを見ているらしく視線を感じるけど、声は聞こえない。  気にしても仕方がないし、ハクの張ってくれた結界を信頼しているので、絡みつく視線を無視しながら2匹にお代わりを注いでいると、

(ライム、奴らは僕たちの敵にゃ! 気を付けるにゃ!)

(うん、わかったー)
(え、なんで敵認定?)

 ハクが厳しい視線で繁みの向こうを睨みながら言った。 冒険者だと思っていた6人は盗賊だったのかな? この結界が簡単に破られるとは思わないけど、一応警戒はしておこう。ハクの次の説明を待ちながらスプーンを口に運んでいると、

(だって奴らは)
「お~い、野営中のきみ~! 俺たちはラリマーを拠点にしているCランクパーティーだ! 今からそっちへ行くけど危害を加えるつもりはないから驚かないでくれよ~?」

 ハクの言葉にかぶさる様に繁みの向こうから声が響き、同時に繁みをかき分けて人がこちらに向かって歩いてくる。

 編成は男性5人に女性1人の計6人。 多分普通のパーティーだと思うんだけど、周りをキョロキョロ見ながらこちらに向かってくる彼らの様子に、眉間にしわが寄るのを感じる。それをどう受け取ったのか、こちらに声をかけてきた男は他の4人の男性をその場に残して、自分と女性の2人だけで近づいて来た。

「1人かい? その食事は君が作ったの? 美味しそうだな!」

「………」

 こんな場所で胡散臭い人物を前に「ええ、1人なの」って答えるとでも思っているのかな? 沈黙で返し、そのままごはんを食べ続けていると、

「今夜の野営地を探していると、とても美味そうな匂いに気が付いてね。ついつい引き寄せられて来てしまったんだ」

 片方の手で女性の腰を抱き、視線をかまどの大鍋に釘付けにしながら男性が「ハハハ!」と一見爽やかそうな笑い声を上げた。

 私が返事をしなくても気にならないようで、笑顔のまま話を続ける。

「君のパーティーメンバーはいつ戻ってくるのかな? 俺たちにその鍋の中身を少し譲ってもらえるように交渉したいんだ」

(はくのいうとおり、てきだ!)

(そうにゃ! 敵にゃ!! こいつらは僕たちのごはんを奪いにきたのにゃ!)

 なるほど。 彼らが私たちの食事に目を付けたのなら、ハクやライムが敵視するのも理解できる。 

 でも、「譲れ」って言うのはどういう意味なのかな?  ❝寄越せ❞って意味なのか、❝売って欲しい❞って意味なのか……。

 まあ、どっちにしても、

「こんな森の中で、食事を他人に譲る余裕はないよ」

 目の前の2人の顔色は悪くないから、食料不足で切羽詰まった感じはしない。なのに、こんな場所で食料を譲らせようとする姿勢は気にいらないな。 断わりを言うと、

「でも、こんな大きな鍋にまだいっぱい入っているじゃないか。 少しくらい俺たちがもらっても君のパーティーのメンバーは怒らないんじゃないか? もちろん、君や君のパーティーメンバーにはきちんとお礼をするよ。 
 今夜は彼女が君の代わりを務めるから、ゆっくりと休むといい」

 と言って女性を前に押し出した。

「……は?」

 この男性が何を言っているのかが理解できなくて眉間にしわを寄せていると、男性は何を考えたのか、にっこりと笑顔を浮かべて他のメンバーを近くに呼び寄せた。

「もちろん、君が1人で寝るのが不安だって言うのなら、俺たちのテントに来てもいいんだ。 どうだい? 君にとっても悪い話じゃないだろう? 
 君のパーティーのメンバーはきっと喜んでこの話を受けてくれるんじゃないか?」

「……は~~あ?」

 ……こいつは一体何を言っているんだろう? どうして私がこいつらのテントなんかに行くと思うんだ?
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