女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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私の見た目はいったいいくつ?

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 こんな森の中で食料を譲れと言ったばかりか、寝る時に男ばかりの自分たちのテントにと訳の分からないことを言い出した冒険者パーティーのリーダーの表情は、驚くほどに普通だ。

 高圧的なものでもなければ、下卑たものでもない。 

 彼の言っている言葉の意味が私の知っているものとは違うのかと疑うほどに、普通ににこやかに笑っている。

「何を言っているの?」

 最初は呆れて物も言えなかったけど、彼が何を考えているのかに少しだけ興味が沸いて来た。

 私は彼と彼女の目を交互に見ながら小首をかしげて聞いてみる。 心底不思議に思っていることが伝わるように願いながら。

 視線に込めた思いが伝わったのか、2人は困惑した顔でお互いの顔を見合わせた。 無言で見つめ合った後に私を観察するように見直して、またお互いに見つめ合う。  最初はこの2人が【心話】を使っているのかと思ったけど、どうやら違うらしく、目と目で会話が成り立っているようだ。

「警戒をさせてしまったわね。ごめんなさいね?」

 2人の間で話がまとまったらしく、今度は女性が口を開いた。 ……色気が溢れる美人さんだ。ついでだから目の保養をしておこう。

 私が返事をせずにただ彼女を見ていることを気にする風もなく、彼女はにこやかに話を続ける。

「あなたは料理が得意なのね? 私はマッサージが得意なの。だから、あなたとパーティーメンバーの疲れを癒してあげられるわ。 
 その代わりにあなたが作った美味しそうな食事で、私たちの心を癒して欲しいの。 ……もう、携帯食には飽き飽きなのよ!!」

 にこやかに話を続けていた彼女は❝携帯食❞と口にした瞬間、なんとも言えない情けない表情かおになる。

 ……大人っぽい美人さんの情けない顔は思った以上に可愛らしくて、思わず口の端が上がってしまうけど、まだ言葉は発しない。

「私のパーティーメンバーのランクはまだ高くないんだけど、みんな優しいから乱暴なことはしないし、特殊な趣味もないから安心していいわ。 あなたのこともきちんと楽しませてくれるわよ」

 彼女が彼の腕に触れながら言うと、彼は嬉しそうに笑いながら後を引き継いだ。

「彼女はマッサージで疲労を癒してくれて、容量の大きいアイテムボックスに荷物の大半を預かってくれる大切なメンバーである上に、俺たち全員の恋人でもあるからへたな所には彼女を預けられないんだが、君はそんなに美味しそうな食事をメンバーが揃うのを待つことなく自由に食べることを許されているようだし、従魔たちまでもが普通におかわりをしている。 君のパーティーのメンバーは君をきちんと大切にできる奴らのようだから、彼女を一晩預けても問題ないと判断したんだ。
 だから君が俺たちのテントに来てくれるなら、俺たちも君を大切に扱うと約束するよ」

 彼はさらりと言って爽やかに笑っているけど……。

 言っていることは、決して爽やかな内容じゃあ、ないよね?

 自分たち全員の❝恋人❞とか言っているのに、たかが1食分の食事と引き換えに彼女を他の男に一晩貸し出すのか?とか、彼女がいない間は私とそういうことをするつもりなのか?とか、そもそも、複数の男性と1人の女性が恋人同士ってなんなんだ?とか、言いたいことはいっぱいあったけど、とりあえず、

「大切な恋人を他所の男たちに貸し出すって言うの?」

 一番引っかかったことだけ聞いてみる。 

 もしかして、彼女は彼らの❝恋人❞ではなくて、話に聞いた<コンパニオン冒険者>ってやつなのかな?

 私の疑問に彼は苦笑を浮かべて答えてくれた。

「彼女が言い出したんだ。 ……美味しそうな匂いに惹かれてね」
「うふふ」

 彼の言葉に、彼女は笑いながら肯定を示す。

「ふぅん…? あの繁みの向こうで何をしていたのかと思ったら、そんなことを話してたんだ?」

「! ……気が付いていたのか? ははは…。 あ~、君のパーティーのメンバーはいつ戻って来るんだい?」

 ❝覗き見❞していたことを知っているぞ~。と仄めかすと、彼は少しだけバツの悪い顔をしながら話を逸らした。

 女性を食い物にする嫌な奴かと思ったら彼女自身が自分を売ることを提案したようだし、少し話をするくらいなら構わないかな?

 一応ハクとライムにお伺いを立ててから、返事をする。

「来ないわよ」

「「……え?」」

「私のパーティーメンバーは、今ここにいるこの2匹だけよ」

 ハクとライムを両腕に抱いて2人に見せる。

「「は? ……ええっ!?」」

 2人は驚きの声を上げ、彼女は思わず、といったように足を踏み出して私たちに手を伸ばした。

「えっ!? なんなの!?」

「どうしたんだ? ……なんだとっ!?」

 彼女の様子に疑問を持った彼も私たちの方に手を伸ばして、ハクの張った結界に阻まれている。

「私の従魔たちパーティーメンバーを望まないし、私もあなた達と一晩過ごすつもりはないの。 
 交渉決裂、ね?」

 にっこり笑って言ってやると、彼は驚きの中にバツの悪そうな表情を混ぜ込んで私を凝視する。

「君は<コンパニオン>じゃなかったのか……?」
「それほどの容姿で、コンパニオンじゃなかったの……?」

 あ、やっぱり<コンパニオン冒険者>だと思われてたんだ? 彼らの呟くような言葉を聞いて、やっと腑に落ちた。

 でも、私はついこの間まで子供と間違われてたんだけどなぁ。 今回は女性と思われたのか。

 そろそろ私の容姿がどういう風に見えているのか、アンケートを取りたくなって来たな……。
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