女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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誤解が解けたらそれでいい

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 話を聞いてみると、彼らはもう7日間もこの森で目当ての魔物を探して彷徨っているらしい。

「もう、味も素っ気もない携帯食はいやよ!」と思っているのは彼女だけではなく、煮込んでいたシチューの香りに気が付くとパーティーの総意でふらふらとここに足が向いてしまった、と。

 もちろん彼らにも警戒心はあるのですぐに私たちに近寄りはせず、繁みからしっかりと観察して声をかけても大丈夫だと判断したようだ。

「君たちがあまりにも無邪気に食事を楽しんでいたから、今は少し離れていても、いつもパーティーのメンバーにしっかりと守られているんだと思ったんだ。だったら声をかけてみる価値はあると…。まさか君たちだけでこんな所で野営をしているとは……。あ~…、本当にすまない」

 リーダーの彼は誤解して声をかけたことをきちんと謝ってくれたし、彼女も一緒に頭を下げてくれたから❝コンパニオン❞に間違われたことは気にしない。  少し離れた所にいる仲間をこちらに呼ばないことにも、彼らの気遣いを感じるしね。

 でも…、間違われたことは気にしないけど、やっぱり気になることがある。 

「ねぇ。ああいう形で声を掛けてきたってことは、あなたは<コンパニオン冒険者>ってことなの? 私に男性のパーティーメンバーがいたら、食事を手に入れる代わりにをするつもりだったってこと? ………抵抗はないの?」

 冒険者パーティーの中での<コンパニオン>の立ち位置だ。  サルの話では女としての魅力を武器にして男性冒険者を食い物にしている感じだったけど、この人たちの話を聞くと……、まるで娼婦のようだ。 

 少し聞きにくい話だけど、思い切って聞いてみた。 

「あ~…。いや、彼女は、その……」
「あら。 うふふっ…」

 なんだか歯切れの悪い彼と妖艶に笑う彼女。 やっぱりなのかと思いかけると、

「もちろん、そんなつもりはなかったわ。 探索で疲れている体を私が本気でマッサージしたら、朝までぐっすりよ」

 いたずらっぽく笑う彼女とバツの悪そうな彼…。 なんだ、そういうことか。  でも、それって……。

「内緒よ?」

 うん。そういうことだよね。 彼らは私の(架空の)パーティーメンバーを軽~く騙すつもりだった、と。 悪意なんて欠片もなさそうに声を掛けてきたのに、そういうことか。 

 ……勉強になるなぁ。

 まあ、別の意味で気持ちよくさせるんだから、詐欺じゃあないよね。 朝には疲れが取れてすっきりしているだろうし。

 ……こんな所で朝までぐっすり寝たら大変なことになるんじゃないか?って疑問は脇に置いておく。 こんな所でをしようって思う方がバカだと思うしね。

 笑って頷く私に安心したのか、彼が離れた所で待っているメンバーに事情を話しに行ったので、もう一つ踏み込んで聞いてみる。

「彼ら全員の恋人ってことは、全員とをしてるのよね? 勘違いしていた彼らも私をに見てたってことは、<コンパニオン冒険者>って言うのはやっぱりそういう存在なの?」

 声を潜めて聞く私に、彼女も結界のぎりぎりまで身を寄せて答える。

<コンパニオン冒険者>と言っても色々といるけど、基本はパーティーのリーダーや男性メンバーの下半身の世話をすることが多い。 1人では冒険者として生きていく実力がないから、強い冒険者に媚びるのは処世術だと割り切っている。

 パーティーの権力を持っているリーダーにとびきりに気に入られたらリーダーの相手だけですむけど、男性メンバー全員に媚びなくてはならないことも珍しくはない。

 そんなことをしてまでどうして<冒険者>にこだわるのかと首をひねっていると、「割が良いからよ!」と笑われた。

 危険が付き物の冒険者の報酬は畑仕事や店の店員などよりは実入りが良いし、体を売り物にするのは同じでも<娼婦>と<冒険者>では世間への聞こえが違う。 上手くやると<中・高ランク冒険者の妻>に転職も可能な、貞操観念を捨てた女性にとってはお得な職業のようだ。 

 ……冒険者間で軽んじられることを受け入れるなら。

 目の前の彼女はマッサージの腕とレベルの高いアイテムボックスを持ち、攻撃魔法が使えるので普通の冒険者として十分に活動できるのに「私、好きなのよね。そういうこと!」が理由で、いわゆる<コンパニオン冒険者>としてふるまっているらしい。  

 ……趣味と実益が折り合っているなら、私が口出しすることじゃないな。 

 不本意なことを強制されているのではないかと少しだけ彼女を心配していたんだけど、杞憂だったようで安心した。

 リーダーの説明を受けてびっくりしたような、申し訳なさそうな、残念そうな顔でこちらを見ている彼らに目をやると、

「魔物が出る森の中で1人…と2匹の従魔だけで楽しそうに野営をしているあなたの実力に驚いて、<コンパニオン>と勘違いしたことを反省して、……あの顔は美味しそうな食事が手に入らないことを残念がっているのか、あなたと楽しむことができないことを残念がっているのかどっちかしらね?」

「後の方だったらいじめてやるわ」と唇を吊り上げた彼女に苦笑を漏らす。 仲が良いのはいいことだ^^
 
 情報料代わりにシチューを1杯1,000メレで売ってあげて(ぼったくりだと思ったのに、大歓声でお金を払われた)1万2千メレの儲けを出して、彼らにはお引き取り願う。

 ❝一緒に野営を❞の誘いを丁重に断ると、残念そうにしながらもあっさりと引いてくれたので、お互いの無事を祈りながら笑顔でのお別れになった。 






 さて、ここからが一仕事だ。

 私を<コンパニオン冒険者=娼婦のようなもの>と勘違いされて憤っている従魔たちの機嫌を直す為に、インベントリから桃を取り出して皮を剥いてあげる。

 いっぱい食べて良いからね? 彼らも謝ってくれたんだから、もう忘れよう! ね?

 え、シチューをもっと高く売れ?  いやいや、十分にぼったくり価格だったでしょ?

 両腕に抱え込んだ2匹の機嫌が直る頃には、私は半分夢の中だった。
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