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街歩き1日目 1
しおりを挟む前々から今日を楽しみにしていた2匹は、上機嫌で私とディアーナの肩を行き来しながら2匹でじゃれ合うという高等技術を披露している。 そのおかげで、
「そこの可愛らしいお供を連れているお嬢ちゃんたち! うちの自慢のトッローネはどうだい? 屋台の前で食べてくれるなら、半額に割り引きするよ!」
「おお~い! こっちにも寄ってくれよ! うちのクルミーリはちょいと硬いが味は良いんだ! 今なら1袋のお代でもう1袋サービスだ! もちろん、店の前で食って行ってくれるよなっ?」
屋台の店主さんたちからモテモテだ。 客寄せにゃんこと客寄せスライムの効果は抜群で、食べ終わって屋台を離れる時にはお礼としてお土産まで付いて来た。
(アリス! 次はあそこにゃ!)
(ありす、ありす! あれもおいしそうだよ!)
❝お土産❞に味を占めた2匹はこのまま屋台に引っかかり続けそうな勢いだけど、そうすると小食なディアーナのお腹が早々に悲鳴を上げてしまうだろう。
2匹をなだめながらとりあえず向かうのは、
「受付も似合ってるじゃない?」
(有り金を全部出すのにゃーっ!)
(みぐるみはいでやるーっ!)
冒険者ギルドのギルマスの所だ。約束通り、この1週間で使うお金を出してもらわないとね!
威圧感たっぷりで受付に座っているものだから、他の冒険者たちが遠慮してギルマスの前はがら空きだった。お陰で待たずにギルマスと話ができて楽だけど。
「おう、来たか……。 用意しておいたぞ。使いやすいように少し崩しておいた」
「無理に全部使わなくてもいいんだぞ?」
「まさか、家とか買わねぇよな?」
「お手柔らかに、な?」
ギルマスからお金の入った大きな革袋を受け取ると、依頼ボードの前で浮かない顔をしていた3人の冒険者たちが寄ってきて、笑いながらも笑っていない目で口々に注文を付ける。
「往生際が悪いんだよっ!」
そのせいで奥から出てきたサブマスにお尻を蹴り飛ばされていたけど、それは私には関係ないからね? 私に痛みを訴えられても治してなんかあげないよ~?
さすがにギルマスは諦めたような顔で笑っているけど、
「うん、わかった。 足りなくなったらまた取りにくるね!」
意地悪く笑って言ってやると、
「装備までは売れねぇからな!? ……ほどほどで勘弁してくれや」
焦ったように泣きを入れた。
あの日から今までの間にギルマス達の印象も良くなっていたから私ももう無理に全額使い切ってやろうとは思わないけど、遠慮するつもりもさらさらない。
笑って見ているサブマスに、
「貸し付けの準備はしておいてね!」
にっこりと笑って言ってやると、4人のうめき声が辺りに響いた。
4人とも実力のある冒険者なんだから、そこまで悲観しなくてもいいのにね? 頑張って稼げばいいんだよ! ……不人気の低額&きっつい依頼を済ませた後にね♪
お小遣いを手に入れた私はご機嫌でギルドを出ようと思ったんだけど、ディアーナには思う所があったらしく、引き留められてしまった。
「ギルマス……。そんなに怖い顔で腕を組んで座られていたら、冒険者たちが遠慮してギルマスに受付の仕事を依頼できません。
もっと、にこやかに笑ってください! ギルマスが受付の仕事をしてくれないと、他の受付たちの負担が増えてしまいます!」
ということらしい。
受付指導をしているディアーナとギルマスを眺めながら、今日の予定を改めて考える。 行きたい所がいっぱいありすぎて、どこからどう回ればいいのか迷ってしまうな。
ここは頼りになるディアーナに要相談だ! 欲しい物&行きたい所リストを作成しながら、ディアーナの指導が終わるのをの~んびりと待っていた。 時間に余裕があるって、いいよね~♪
「あら? ◎! イザック、気に入ってくれたんだね!」
ディアーナとの相談の結果、最初に来たのは<商業ギルド>だ。理由は<冒険者ギルド>から近い場所にあったから。
ギルドの受付で登録プレートを渡して伝言などがないかを尋ねると、にこやかに応対してくれた受付さんが奥から1枚の紙を持って来た。 そこに書かれていたのはたったの二言。❝アリスへ❞❝◎❞だけだ。
でも、紙いっぱいに書かれた◎がイザックの心情を十分に現してくれていて、思わず笑みがこぼれた。うん、アルファ化米はお水で作ってもおいしくできたんだね。よかった!
安心して微笑む私に、受付さんがもう1枚の紙を見せる。
「これは?」
「アリスさまの口座の内訳です。イザックさまからの入金をご確認されましたら、こちらにサインをお願いします」
……口座の内訳の前に残高を確認すると、結構な金額が入っていて驚いてしまった。数字がいっぱい並んでる。一、十、百、千、万、十万、百万、一千万、……それ以上。
考えてみたら、ガバンとソラルからの賠償金の支払いの期日の1週間はとっくに過ぎているので、これがそのお金のようだ。
思っていた以上の大金が入っていて、ハクとライムが大喜びしている。もちろん私も嬉しいけど!
そこにイザックからの馬の販売代金などの半額が入っていて、私はやっと気が付いて大慌てで焦ってしまった。
……私が預かっていた分の販売をすっかりと忘れていたよ!
ごめん、イザック! すぐに売り上げを入金するからね!
せっかく立てた予定を早速変更することになってしまったけど、事情を話したら、ディアーナは笑って了承してくれた。
<商業ギルド>で売るよりもお店に直接持って行った方が高く売れるので、お店に案内してくれると言う。
ディアーナ! 本当に頼りにしているよ~!!
今日はおいしいものをいっぱい食べようね! もちろんギルマス達から巻き上げたお小遣いで♪
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