女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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街歩き1日目 2

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 ディアーナの案内で着いたのは、冒険者ギルドからほど近い場所にある装備屋さん。

 私が預かっていたのは盗賊が使っていた物の中でも比較的まともな装備類だったから、そのまま装備屋さんに持ち込んだ方が高く売れるとの判断からだ。 それも、冒険者ギルドからほど近いお店で売ると、

「ディアーナの紹介なら仕方がねぇな。端数は切りよく繰り上げて」

「え? 私を引き合いに出すのに、端数の切り上げだけなの?」

「……傷はあるが汚れは落としてくれているようだから少し手入れするだけですぐに店に出せるな。通常の買い取り価格より1割、……1.5割増しのこの金額でどうだ?」

 という具合に、<冒険者ギルドの有能な職員・ディアーナ>の顔が利いてサービス価格で買い取ってもらえた。

 店主さんとにこやかに話をしているディアーナをお店に残して急いで商業ギルドに戻り、買い取り価格の半分をイザックの口座に入れて、やっと一安心。 遅くなってゴメンの気持ち分、少しだけ多めに入れておいたことはハクたちには内緒だ。

 ……呆れたような顔でこっちを見ているので、気が付いている気もするけどね。











 次に向かったのは時計屋さん。

 の、前に、

「え? これってさくらんぼ!? ……ちょっと酸味が強いけどアクセントに使いたいし、ザル一杯分貰おうかな。 あ、大盛で♪」

 行き道にあった屋台通りでお買い物をして行こう!

 大きな街だけあってメロンやチコリ、パセリ(葉がチリチリしていない)などのまだ手に入れていない食材がいろいろとあってとっても楽しい♪

「スイスチャードにラディッキオにビーツ…、白や紫のパプリカなんて初めて見た! この街の野菜はカラフルなものが多くて楽しいね!
 ライム、良さそうなのを選んでくれる? おじさん、この仔が選んだものは全部もらうから別に避けておいてね」

「お…、おう。 ……スライムに買い物を任せるなんて、お嬢ちゃん変わってるな」

 ご機嫌においしい野菜を選んでいくライムを見て、屋台のおじさんが目を丸くしている。

「そう? この仔の選ぶ食材は間違いないからね」

「……確かにな。良いのばっかりってるよ。 って、ちょっと待て! これじゃあ、残ったヤツはイマイチってことになっちまうだろう!」

「うん? そうなる、かな……?」

 私は良いお買い物ができて万々歳なんだけど、店主のおじさんからしたら困った事態になったみたい。

 ❝野菜を餞別するスライム❞の物珍しさに惹かれて見物客ができているからだ。 ……確かに、これでは残った物を買って行こうというお客さんは少ないかもしれない。

 苦笑いを浮かべているおじさんを見て、私も少し考える。

「あ~…、ライムが選ばなかった野菜は……、半額でなら買ってもいいよ? ……って、これじゃあ、私がペテン師みたいだ! ディアーナ、どうしよう?」

「ふふふっ、どうするんですか?」

 我関せず。と仕事中のライムを応援しているハクはあてにならないのでディアーナに助けを求めてみたんだけど、ディアーナは楽しそうに笑って私を見ているだけだった。

「えぇぇぇぇぇぇ? 困ったなぁ…」

「……っぷ! くくっ!」

「え?」

 困っている私の何がおかしかったのか、八百屋のおじさんが急に笑い出したのでちょっとむっとしてしまったけど、おじさんはさっきまでの苦笑いとは打って変わり、目じりにしわを寄せて楽し気に笑っていた。

「お嬢ちゃん、おまえさんはいい子だなぁ。 おまえさんが困ることなんて何もないのに。
 ……本当に、残りを半額で買ってくれるのか? どのくらいだ?」

「おじさんが買って欲しいだけ全部?」

「じゃあ、全部だ! 買ってくれるか?」

「うん、いいよ」

 満面の笑みを浮かべているおじさんを見て、交渉成立! これで憂いなし♪と思って安心していると、

「おい、そんなこと言っていいのか? そのスライムが残り全部を選ばなかったら、全部半額で買い叩かれて大損するぞ!」

 斜め前に店を出している別の八百屋さんから、おじさんに忠告が入った。

 うちのライムはそんな小狡いことはしないけどね! でも、そう考えるのが普通かもしれない。

 どう言ってライムの誠実さをわかって貰おうかと考えたんだけど、そんな必要はなかったようだ。

「ああ? お前だって本当はわかってんだろう? こんな話をしている中でも、このスライムが良いものを全て選んでるってな。
 それに売れ残ってから叩き売ることを考えたら、今、残らず買ってもらった方が大手を振って家に帰れるってさ」

 他ならぬおじさん自身がライムを庇ってくれた。 ……おじさん、ありがとう! 見る目あるね!!

 それに、声を掛けてきた別の八百屋のおじさんも、本当はわかっているようだ。

「ちぇっ、お前んところだけ狡いじゃねぇか…。なあ、嬢ちゃん! 俺の所のも買ってくれよ!」

 自分の屋台の商品を手に取って売り込みをかけてきた。

 あっちの屋台の商品はズッキーニとバジルにトマト。トマトはジャスパーで手に入れたラフトマトがいっぱいインベントリにあるからいらないかな?と思ったんだけど、ここで売っているトマトは大きな唐がらしのような形をした、加熱用のトマトだ。 

 ソース用に買ってもいいかな?と思ったんだけど、まずはその前に、

「うちの仔にきちんと謝ってくれたらね? うちの仔たちはお利口だから、あなたが言ってることも全て理解しているよ」

 濡れ衣を着せられたライムのフォローだ。 おじさんがちゃんと庇ってくれたけど、この仔の主として、私も黙ったままではいられない。

 トマトの屋台のおじさんも内心では言いがかりをつけたことを悪いと思っていたらしく、

「スライムに言葉がわかるのかっ!? ……ごめんなぁ、おっちゃんが悪かった」

 素直に謝ってくれたし、ライムも広い心で「ぷきゃ~(いいよ~)」と許してあげたので、しこりは残らなかった。

 初めの屋台と同じ条件、ライムが選んだもの以外は半額。その代わり全部即買い。で買い上げると、それを見ていた周りの屋台から「うちも!」「わしのも!」と声が上がる。 

 私は別に買ってもいいんだけど……。ここの食材を買い占めてしまったら他の買い物客に迷惑が掛かってしまう。

 同じことを考えたディアーナと2人で頷き合って、私がハクを、ディアーナがライムを抱えてとりあえず屋台通りから離れることにした。

 色々な屋台から声がかかるけど……、ごめん!また今度! 今は何も聞こえません! 人にぶつからないように気を付けながら、まるで逃げるように屋台通りを走り抜ける。

 ……衛兵さ~ん、私たちは何もしてないからねーっ? そんな不審そうな目で見ないでも大丈夫だから!!
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