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街歩き3日目 11
しおりを挟む宣言通りに5分……では起きられなかった私が目を覚ましたのは、15分くらいかな?の時間が経った後だった。
呆れ顔の門番さんからのお説教を大人しく受けた後、送ってくれているお礼に宿でお茶でもどうかとお誘いしたら、
「気にするな。ちゃんと目が覚めたようだしもう大丈夫だな?」
と言って、来た道を戻ろうとし始める。
急ぎの用がないのなら、と再度誘ってみたら、門番さんは家族の夕食を買いに来たので売り切れない内に買いに行きたいとのこと。 時間的にあまり余裕はないらしい。
そんな状況なのに私を心配してここまで送ってくれるなんて、なんて良い人なんだろう!
門番さんの優しさに感動したのは私だけではなく、ハクが、
(だったらアリスのごはんを売ってあげたらいいのにゃ♪ 少しだけおまけしてあげても良いのにゃ!)
と提案してくれたので、すでに歩き出そうとしていた門番さんを急いで引き留めて簡単に説明をすると、
「嬢ちゃんは冒険者だけじゃなくて商人もやってるのか? そう言えば、この間も野営中に料理をしてたって言っていたもんなぁ。 嬢ちゃんは頑張り屋さんだな! よし、微力だが売り上げに貢献させてもらおう」
門番さんは笑顔を浮かべて立ち止まってくれた。 私の商売に協力してくれるつもりらしい。
この買い物に満足してもらいたいと思った私は門番さんがどんなものを買いに来たのかを聞き取り始める。
それでわかったのは、門番さんの家族構成。 門番さんはご両親とおばあさま、4人の年の離れた弟妹を持つ大家族の長男だったのだ。 そのせいかとっても世話焼きのオカン体質になっているようで、自分よりも年下の私が無防備にニールの上で寝てしまうほど疲れている場面に遭遇して、放っておけなくなってしまったらしい。
今日はご両親が用事で留守にしているので、仕事あがりの門番さんが晩ごはんを買って帰る途中だったのにも関わらず。
おばあさまや幼い弟妹が待っているなら少しでも早く帰りたかっただろうに、私を心配して遠回りしてくれたなんて、なんて良い人なんだろう。これは、全力でお礼をしなくては!
勢い込んだ私は以前に作っていたメニュー表を取り出そうとして、(アリスの料理を知らない人が見てもわかりにくいのにゃ~。今回は説明している時間が惜しいのにゃ)とハクに笑われてしまった。
なので、門番さんがどんなものを買いに来たのかと率直に聞いてみた。
「わかった。パンとスープと何か一品ね? だったら……」
インベントリからオーク骨で出汁を取った、オーク骨醤油味の<ごろごろ野菜とオーク肉たっぷりのスープ>と、子供の大好物!生姜で漬け込んだ<ハーピーのから揚げ>と、お砂糖を多めにして焼いた<出汁巻き卵>。それと歯が弱くなってしまったおばあ様にも楽しんでもらえるように食後のプリンと明日の朝ごはんの代わりに3種類のクッキー。最後にジャスパーで購入していたパンを取り出す。
「全部で2,500メレでどうかな? ああ、パンはサービスね」
パンは買ったものだからお金は受け取れない。転売で儲けを出すつもりはないからね。
ハクがおまけして良いって言ったからちょっとだけ安めの価格にしてみたけど、それでも高いと言われたら割引するつもり満々な私は、
「……俺は賄賂を貰うほど、偉くないぞ?」
「賄賂なんかじゃなくて、お礼のつもりだったんだけど?」
門番さんに呆れたように言われて頬を大きく膨らませた。でも、
「いや、お礼にしては豪華すぎるだろ。 これなんかオーク肉がこんなにごろごろ……。これを本当に2,500メレで売ってたら、あっと言う間に破産するぞ?」
と心配そうに言われてしまって、少しだけ反省する。
「だったらスープを交換する。こっちはボア肉だけど味付けは同じだよ。 他は新作だからお試しの為に格安ってことで」
スープに使っているのはボア肉だけど、出汁はしっかりとオーク骨で取ってるから味には自信あり、だ。
これ以上は譲らないぞ!と気合を込めて微笑むと、
「嬢ちゃんがそう言ってくれるなら。ありがとうな!」
門番さんは本当に嬉しそうに笑って受け取ってくれた。きっちりとお金を払ってくれた上で。
「見たこともない料理だから、楽しみだよ」
と言って、いそいそと戻って行く門番さんを少しだけ見送ってから、私も宿への道を急ぐことにした。
突然道端で商売をしてしまったことで、通行人の視線を集めてしまったからね。 格安の料理に興味を持った人が話しかけたそうにしていたし、ここはさっさと離れておかないと!
私の考えを察してくれたハクがニールを急かしてくれたので、思ったよりも早く宿に着くことができた。
……今日も1日いろいろあったなぁ。 ゆっくりとお風呂につかったら、今夜は早めにベッドに入ろう!
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