女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

文字の大きさ
423 / 754

街歩き4日目 1

しおりを挟む




 従魔たちとのスキンシップを兼ねてゆっくりと朝風呂を楽しみながら今日の予定を立てていると、浴室に響く低い音が2つ。ハクとライムのお腹が空腹を訴えていた。

「あはは^^ お腹が空いたね~。 上がってごはんにしようか!」

 可愛い従魔たちを腹っぺらしにはしておけない。お風呂から上がろうと2匹を抱き上げようとすると、お湯の中で器用に逃げられてしまう。

「ごはんは後でいいからもう少しゆっくりするのにゃ! 温かいお湯は最高なのにゃ!」

 ということらしいんだけど……。お腹の音は鳴りやまない。 

 確かに朝風呂は気持ちがいいけど、お腹が空いているのを我慢してまで楽しむものじゃないよね? 2匹が食欲よりもお風呂を優先することが意外でびっくりしていると、逃げていた2匹がスススッと近づいて来て、

「アリスは忙しすぎなのにゃ。たまにはゆっくりと寛ぐのにゃ」
「もっとありすといっしょにあそびたいんだ~。だからごはんはあとでもいいの」

 可愛い顔で可愛いことを言ってくれる。

 どうやら、私が思っている以上にスキンシップが足りていなかったようだ。 可愛い従魔たちに寂しい思いをさせていたことを反省して、このままお風呂タイムを延長することにした。 もちろん、ちゃんと水分補給してからね!











 ハクを丁寧にブラッシングしたりライムを優しくマッサージしたりと穏やかな朝の時間を過ごしていると、ハクやライムの言う通り、最近は少し忙しない毎日だったことを実感する。

「今日はゆっくりと部屋で過ごそうか? ディアーナも毎日私たちに付き合ってくれて、疲れてるだろうしね?」

「悪くないにゃ!」
「さんせ~い!」

 たまには何もしない日があってもいいだろうと提案してみると、2匹も嬉しそうに賛成してくれたので、今日は❝1日まったり過ごす日❞に決定だ。

 ディアーナに連絡するために宿の裏口へ行くと、昨日依頼を受けてくれたGランクの少女が駆け寄って来た。彼女ならディアーナの家を知っているから丁度いい。

 手紙を預け、依頼料300メレ(相場がわからないから少女に聞いた)と数枚のクッキーを渡すと本当に嬉しそうにお礼を言ってくれるので、依頼を増やすことにした。

「ディアーナからのお返事を持って戻って来てくれる? その時に追加で同じ料金を払うから」

「………おねえさん、そういうときは割り増しにするのが相場です。えっと…、半分くらい」

 行きと同じ距離を戻ってくるのだから同じ金額でいいだろうと思って提示した金額だったけど、少女が言い難そうにしながら教えてくれた。

「わかった。返事を持って戻ってきたら450メレ支払うわね」

 まさか割増料金になるとは思っていなかったんだけど、ただでさえ片道300メレという超低料金なのだからそんなものかと納得する。と、少女が慌てたように訂正した。

「違います! 初めの料金を割り増しして1件の依頼にするのです。……本当は、半分も増やして貰えないの。…ごめんなさい」

 後半部分を小さく呟くように言った少女は、今にも泣き出しそうな顔をしながら話をつづける。

 えっと…、Gランクの子供たちを相手に今回のように復路を追加するときは片道分を割り増しした料金でよくって、人によっては初めから往復で1件の扱い、今回のケースなら300メレで依頼をすることもある。割り増し金額もせいぜい1割から2割程度のようで、少女が言ったように半分もくれることは少ない、と。

 ……今回は私が相場を知らずに倍額を支払うと言ったことで、少女もほんの少しだけ欲を出してしまったらしいけど、私が勘違いをして彼女の思っていた金額以上を払うと言ったので、良心の呵責に耐えかねて本当のことを申告した、ということだ。

 始めに少女が料金を訂正した時に言い難そうだと思ったのは、言いたくなさそうの間違いだったんだね。黙っていれば普段の倍の依頼料が手に入るのだから、言いたくないのは当たり前だ。 彼女を欲張らせてしまったのは私が相場を知らなかったから。つまりは私の責任。

 彼女がそんなに泣きそうな顔をする必要はない。だから、

「そっか、わかった。 じゃあ、今回は往復の依頼にして300メレで受けてくれる? それとは別に、今の話の情報料として、戻ってきたら300メレを支払うね」

 始めに私が提示した料金を支払うことにした。彼女が黙っていれば受け取れるはずだった料金。 

「!? ……ありがとうございますっ! 絶対に、ちゃんとお返事をもらってきます!」

 驚いたように顔を上げた彼女に微笑みかけると、本当に嬉しそうに破顔して元気いっぱいに走り出した。

「お返事は急がないからねーっ! 帰りはゆっくりと歩いて戻っておいで~っ!」

「は~い!」

 返事をするためにわざわざ立ち止まって振り返った少女は、大きく手を振ってまた走りだす。

 1件300メレではパンを2~3個買うのがやっとのはずだ。それでも嬉しそうに走っていく少女とそれを羨ましそうに見送る他の子どもたちを見て、ついつい忘れがちな、この世界の貧富の差を改めて実感した。 

 ビジューのくれた能力とハク達のフォローのお陰で、この先、私たちが食べる物に困ることはきっとない。感謝の気持ちを忘れないようにしないとね! 











 スレイとニールに朝の挨拶をしに行って、ついでにごはんの準備をしておく。私たちが部屋に戻ったら、ハクの心話を通して一緒に❝いただきます❞ができるように。 そのことを理解している2頭が嬉しそうに私たちを見送ってくれているので急ぎ足で部屋に戻ると、扉の前に少しだけ困り顔の総支配人さんが立っていた。

 何かお話があるようだけど、私たちはスレイとニールを待たせているので立ち話に付き合う訳にもいかないし、とりあえずは部屋の中へ招くことにする。

 事情を話し、すでに朝食を済ませていた総支配人さんにはお茶とお菓子をお出ししてから、私たちは朝ごはん。

 今日はゆっくりとお風呂で体力を使ったし、もう、お腹がぺこぺこだ! 

 同じく腹ぺこさんなハクとライムの為にもたくさんのごはんを用意すると、それを見ていた総支配人さんがまた困ったように笑うのに気が付いた。

 ……どうしたのかなぁ?
しおりを挟む
感想 1,118

あなたにおすすめの小説

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。 【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】 本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。 Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited. © 魯恒凛 / RoKourin

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~

Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。 うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。 でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。 上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。 ——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...