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何度目かのスライム絶滅危機? 1

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「おかわりっ!」
「ない」

「お・か・わ・り?」
「ない」

「なあ、アリス? もう1本だけ~~!!」
「だから、ないんだってばっ!」

 ゆ~っくり、じ~っくりと焼き上げたお芋さんは<夜のルーチェ>の面々をたったの一口で虜にしてしまった。

(ダメにゃよ?)
(わかってるよ~)

(ほんとうにだめだからね?)
(大丈夫!)

(主さま、信じておりますわ)
(うん、信じて!)

 もちろん、私の可愛い従魔たちも同様だ。

 元気いっぱいに戻って来た<夜のルーチェ>のメンバーたちは、戻ってくるなり鼻をスンスンさせてその場には出ていなかった焼き芋に興味を示した。

 すでに生卵を克服してくれた今、彼らに出すごはん&オヤツに❝卵縛り❞の必要なはい。

 だからおやつの代わりに焼き芋を出してみたんだけど、1人2本のお芋さんはあっという間に彼らの胃袋に収まり、今は怒涛の❝おかわり❞攻撃をなんとか躱している所だ。

 本当は1人1本だったんだけどね? 彼らの嬉しそうな笑顔と称賛とおかわりコールに釣られて2本目を出したんだ。でも、大きさにバラツキがあったせいで、彼らの中で熾烈な争奪戦が起こっていたことは……見ないフリでスルーした。

「とける~っ。芋なのに、口の中でとけるぞ~っ」
「おいっ、おまえのデカいよな!? 少し分けてくれよ!」
「やだよっ! これは俺のだっ!」
「ああ、とろけるな。その上あまい! 本当にあまいなぁ♪」
「ん~~っ♪ んんっ♪」

 戦いに終止符を打って、幸せそうに(小さな争いはまた勃発してたけど)お芋さんを頬張っていた彼らが、まさか3本目を希望するとは予想外だったな。……胸やけしない?

 ……本当はまだあるんだ。焼いたお芋さん。大きくてとてもおいしそうに焼けているのがインベントリに3本。

 でもこの3本は【複製】の使用回数が回復するまでは絶対に死守するつもり。彼らと私の可愛い従魔たちの分を【複製】したことで今日の回数は使い切ってしまったし、時間と手間のかかる焼き芋は、何度も作りたくはないからね。一度に焼けるお芋さんもそんなに多くはないし。

 彼らの気を逸らせる為に温泉卵(これも複製で増やした)を取り出すと渋々とだけど諦めてくれたので、ハクとライムとスレイの視線がやっと和らいだ。……❝味見❞として、彼らが戻る前にたくさん食べていたのにね~? うちの仔は食いしん坊揃いで本当に可愛いったら♪











 一晩明けて、彼らの焼き芋ブームも落ち着いただろうと思っていたら、

「なあ、アリスさん? 芋そのものももうないのか? あれば売って欲しいんだ。あと作り方も……」

 リーダーさんを始めみんなの熱はまだ引いていなかったようで、❝焼いた芋がないのなら、自分たちで焼けば良い!❞という結論に達したらしい。

 昨日<生卵>を食べた彼らが、誰も体調を崩していないことで今回の依頼は終了しても良いと思っていたんだけど……。どうせだから生卵を❝飲んで❞貰ってから検証を終了にしようかな、と思い立った。1人3個の卵を飲んでもらうんだ。

 ……私の<焼き芋>ストックをもう少し増やしたいとも思っていたしね。同じ大きさの物ばかりを複製して持っていたら、いつか【複製】スキルがバレそうで怖いし。

 ということで、今日はみんなで焼き芋を焼くことになった。

 ……焼き芋作りの為に枯れ葉などが大量に必要なことを知った彼らが、この辺りの木を禿げさせる勢いで枝を折り、葉を毟り始めた時はびっくりしたけどね。どれだけ作る気なのかな? 











 ………おいしい<焼き芋>のコツは、じ~~っくり、ゆ~~っくりと熱を通すこと。準備として熾火を作るのにも当然時間がかかるし、お芋を入れてからも当然時間がかかる。大きいお芋さんだと、当然小さいお芋さんよりも時間がかかるのは当たり前のことだ。

 で……。最初はワクワクとした顔でじっと枯葉に隠されたお芋さんを見つめていた彼らも、早々に飽きてしまったようだ。

 突然小枝や葉っぱを集め出したと思ったら私に【ドライ】を強請り、……お芋を焼き始めた。直火で。

 熾火でじっくり焼くよりも、直火でちゃったと焼いた方が早い!と思ったようだけど、そんなことをすれば当然、

「ガジってしたぞ……」
「こんなの焦げてるだけじゃん」
「外は焦げてるのに、中は生のままだ……」

 こうなる。

 今日で2度目のライムは、まだ飽きずに熾火とお芋に興味津々なのにね? もちろん、あまり近づかないようにハクが見守ってくれているよ。 周囲の警戒はスレイがしてくれてるし、うちの仔たちって、ほ~んと、頼りになるね!












「なにやってるんだ?」

「ん~……。保存食?の試作」

 おいしそうに焼けたお芋さん。普通にインベントリに入れておくだけで私たちはいつでも焼きたてほくほくを味わえるけど、それだけでは楽しくない。

 だから【ドライ】をかる~く使って少し水分を抜いてみた。ねっとりとした、いい<干し芋>になったよ♪

 でも、それだけだと❝保存❞が弱い。出来たらこれを❝保存食❞にしたいんだよね。貴重な甘味だし。

 で、思いついたのが❝真空パック❞

 当然、こっちでは見かけたことはない。

 でも、スライム皮に可能性を感じたんだよね! 

 綺麗に【クリーン】したスライム皮に干し芋を入れて、弱~い熱を加えて皮の縁を融かす。で、重しでぴったりとくっつけてから、開けておいた隙間にストローのようになっている植物の茎を突っ込んで、空気を吸い出す。

 ……制作過程をお見せすると買い手がいなくなっちゃいそうだけど、今はとりあえず、ということで。

 で、空気が抜けたらすかさずそこに熱を加えてくっつける!

 これが成功するかどうかは数日間待ってみないとわからないけどね?

 もしも成功したら……。

 スライムたち、ごめんね!? 頑張って繁殖してください!!
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