女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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のんびりとした時間は長くは続かないようだ……。 1

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「教会の治療を受けに来たのでしょう? だったら早く怪我人を中に運びなさい。 今日は私が特別に<女神の慈悲>を授けるので、女神に深く感謝を捧げるように……」

 険しい目で私たちを睨んでいた神父さん(治癒士さんなのかな?)は軽く咳払いをすると、うっすらと笑顔を浮かべながら……、手のひらを上にして怪我人を連れている男性に向かって差し出した。

 これが『ビジュー』の祈りを表す姿勢なのかな? それとも、ちょっと変わっているけど❝お入りなさい❞を促すポーズ?

 とりあえず。以前のように治療を拒まれたわけではなく、神父さんが自分が診ると言っているのだから私は用無しだよね? そう判断して私に声を掛けてきた男性に軽く会釈をして踵を返そうとすると、

「アリスさん、待ってくれ! 北の広場で病人が出て乱闘騒ぎがあったせいで怪我人が多数出ているんだ! 助けてくれ!」

 男性が焦ったような声で私を引き留めた。

 病人が出て乱闘で怪我人?

 なんだか状況が飲み込めないんだけど、男性に無視された形の神父さんや神父さんに無礼を働かれたと判断したらしい門番さんが私と男性を睨みつけていることはわかる。とっても居心地が悪い。

 なので、とりあえず、

「何があったのかはわからないけど、神父さんに治療をお願いしに来たのよね? だったら早く診てもらった方が良いんじゃないの?」

 リヤカーに乗せられている人の治療を優先するように伝えてみる。すると、

「俺は、あ、あんたがいい……。あんたの治療を、受けたい。腹が、痛くて…、死んじまいそうだ。助けてくれ!」

 リヤカーに乗せられている患者さん本人から指名を受けてしまった。治療費を握った(と思われる)手だけがリヤカーから突き出ている。

 神父さん(治癒士さん?)が教会の門から出て来て、

「この少女は<治癒士ギルド>所属ではありませんね? 野良の治癒士もどきに治療を任せて何か不手際があったらどうするのです? さあ、それはこちらに……」

 と言って彼の手を握ろうと(?)すると、その手はサッと降ろされる。……そんなことをして、教会が治療を拒否したらどうするつもりなのか。

 案の定、神父さんと門番さんはとても不愉快そうな目で私たちを睨みつけ、

「女神の慈悲の心を踏みにじるとは、なんという不心得者なのか! ……だが、女神ビジューと私は大変慈悲深い。その者の治療が失敗した際、深く反省した上で我らに助けを求めるのなら、通常の3倍を納めることで許しを与えよう。
 他にも治療を必要としている者たちがいるのだな? その者たちも連れてくるがよい」

 ………何とも慈悲深くない表情で男性たちに話しかけている。

 その表情もだけど、言っている内容が気に入らない。

 教会(<治癒士ギルド>?)の縄張りを荒らすようなことはしたくなかったんだけど、でも、まあ、仕方ないよね? だって気に入らないんだもん。

 神父…、<治癒士>たちがまだ男性たちに向かって何かを言っているけど、もういいや。

 私がリヤカーに近づいて両手を差し出すと、頭から血を流した男性が辛そうながらもほっとしたような表情で握ったこぶしをほどき、私の手の平にお金と魔石を落とす。

【診断】の結果は、頭部の外傷と食中毒。

 どうしてこの二つが同時に発症しているのかが不思議だけど、まあ、そんなことを確認するのは後でいい。

「【クリーン】【ヒール】【キュア】! えっと……、うん。貰いすぎてるようだからお釣りね」

 さっさと彼を治療して、広場に案内してもらうことにする。

 多数の怪我&病人がいるのなら、治療できる者こっちが現場に行った方が効率が良いよね? その方が、苦しんでいる人たちを早く癒せる。

 神父もどきの<治癒士>には、そんなこともわからないのかな!? そんな人たちが女神ビジューの名を簡単に語るな!!
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