女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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新たなビジュー神像 3

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 街ではそれなりの権勢を誇っていた教会&治癒士ギルド関係者の突然の逮捕劇は、思ったほどの波紋は呼ばなかった。

 彼らに態度を改めて欲しいと願って起こしていた私たちの行動(モノは言い様。言葉は飾るようにとロマーノさんから教わった)が、思っていた以上に街の人たちに受け入れられていたからだ。

 結果、教会&治癒士ギルドの権威は地に落ちてしまったが、王都から来る教会&治癒士ギルド関係者には嫌悪感を抱くことなく、スムーズな引継ぎ(引き継ぎを行ってくれる人材はいないけど)が行われそうで一安心だ。







 今回の逮捕劇は王さまからの❝逮捕命令❞が出ていたことも手伝って速やかな裁判が行われた。

 マリアンジェラ首席裁判官の目論見通りに罪人たちは全員辺境に送られ、恩赦なしで生涯の苦役を課せられた。もちろん<治癒魔法>を使える者は苦役に加えて怪我人や病人を癒すことも強制される。

 これまでは魔力を出し惜しみした上で高額な治療費を得て優雅な生活を送っていた彼らが、魔力の限界まで治癒魔法を使い続け、それを当然の行為だと判断されるのだ。もしかすると感謝の言葉さえもらえない、なかなかに辛い境遇が予想されるけど……。

 私が彼らにしてあげられることは何もない。新しい土地でも逞しく生きて行くことを祈った後は、すっぱりと忘れることにした。











 今回の件で、一つだけ問題が残っている。

 それは、教会に安置する<ビジュー神像>のことだ。

 ハクが壊してしまった(私の中では確定事項)ビジュー神像は、ハクだけでなく本神ビジューも気に入っていなかったことが判明したので、新たなビジュー神像はビジュー自身の姿で作ってあげたい。

 でも、現在世界に広がっているビジュー神像の姿を変えることに新しい教会関係者が理解を示してくれるか不安だし、どうしてビジューの姿を変える必要があるのかを説明するのも難しい。

 下手を打つとまた<聖女認定>の危機が襲ってくるだろうしね……。

 そんな不安を引き取ってくれたのは領主ルクレツィオさんたちだ。

 捕物で壊れてしまったビジュー神像の代わりに持っていた女性の像を一時的に安置したところ、喜んだビジュー神がその場にいた領主ルクレツィオさん、冒険者ギルドマスターオズヴァルド商業ギルドマスターネストレさん、衛兵部隊長さんの4人に対して神託を下ろした。それは、

『この像は妾の姿と酷似しているのでとても気に入った。今後妾の像を作る時にはこの姿で作るように。もし像の出来に満足したなら褒美として、披露目の折に一度だけ像を光り輝かせよう』

 というもので、あの時あの場にいた領民2名と私はいなかったことになった。

 もちろん、ビジューの言った「敬愛の念が込められていたら」という下りも忘れてなくて、商業ギルドマスターネストレさんが「そのようなことをおっしゃっては、職人たちに余計な欲望が生まれます。お姿さえ映し取れていたなら、お許し願えましょうか?」

 と聞くと、

「そのようなものにどれほどの価値がある?」

 と心底不思議そうな声で答えられた。………といったエピソードも追加されている。

 ビジューは❝妾❞なんて言わないんだけどね? どうしようかと迷ったんだけど、神獣ハクが問題ないって言ってくれたから、それを信じて捏造した話を広めまくった。

 それと……。この件では❝ビジュー神に認められた職人❞として、本来ならヴァレンテ君が脚光を浴びるチャンスだったんだけど………、そのチャンスを私は握りつぶした。

 ルクレツィオさんにこのビジュー像を彫ったのは誰かと聞かれた時にヴァレンテ君の名前を出したんだけど、ルクレツィオさんが「では、その者に新しいビジュー神像の制作を依頼する」と言うので慌てて❝待った❞を掛けたんだ。

 もちろん、ヴァレンテ君が評価されるのはとっても嬉しい。嬉しかったんだけど……、それ以上に今の彼が大きな評価を得ることに不安があった。まだ親方さんの下で<見習い>待遇の彼が、修業期間をすっとばして一躍有名になることで<天狗>になり❝自滅❞する可能性に目を瞑れなかったからだ。

 だからまず、商業ギルドマスターのネストレさんに意見を求めた。この像の彫り手は今後教会を訪れる人たちの視線を一心に集める像を彫るのにふさわしいと思うか?と。

 答えは「否」。精いっぱい丁寧に掘り上げていることはしっかりと伝わってくるし、出来にも将来を期待する価値があるが、今はまだ、大きな仕事を請け負うには役不足だとの判断だ。

 ネストレさんの回答を盾にルクレツィオさんから時間を貰い、私はこっそりとミネルヴァさんにも意見を求めた。教会に安置するビジュー像をヴァレンテ君に彫ってもらおうと言う意見があるがどう思うか?と。

 ミネルヴァさんの回答は「あの子の将来を思うなら止めて欲しい」だった。「調子に乗って、大切なモノをどこかへ置き去りにしそうだから」とのことだ。

 残念なことに彼の保護者ミネルヴァさんと私の意見が一致してしまった。 

 だからこの件は❝自分の姿にそっくりな像を見てビジュー神が喜ばれた❞だけを強調するようにしてもらい、あの像に込められた敬愛の念をビジューが気に入っていたという事実は、彼が一人前になるまで秘匿しておくことにした。

 ルクレツィオさんはとても残念がっていたけど、商業ギルドのマスターであるネストレさんと、直接女神から言葉を賜った私、そして幼い職人見習いの保護者の言は尊重すべきだと考えて諦めてくれた。

 でもせっかくだから、新しいビジュー神像はヴァレンテ君の親方さんに依頼を出し、親方さんにこっそりと事情を話してヴァレンテ君にも手伝いに入ってもらうそうだ。

 ……ヴァレンテ君の親方さんがビジュー神像を彫るのにふさわしい腕を持っているか、先に確認しなくてもいいのかなぁ?
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