女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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我慢、してたんだね? 1

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(なんか痛い……かも?)

 いつもならふわふわなハクの毛皮の心地よさと温かい体温を首に、ライムのぷるぷるボディに身体のどこかを支えられながら(宿では枕代わりに頭の下にいるのが定番かな?)気持ちの良い覚醒を迎えるんだけど(腹っぺらしの2匹に強制的に起こされることもあるけどね)、今日は何かが違った。

 頬をサリサリ、サリサリ、と温かく濡れた何かが何度も往復していて、

「……痛いっ!?」

 これが地味に痛かった。

「あ、おきた? おはよー。アリス!」

「うん。ライム、おはよう! ハクもおはよ。……どうしたの?」

「……おはよ」

 痛みの元は、ハクのちっちゃくて可愛いけれど、ザラザラしてる舌だった。

 2~3度ぺろぺろされる分には何ともないんだけど、同じところを何度も何度も舐められるとこれが結構痛いんだ。ハクもそれをわかっているから、いつもなら糸状乳頭のない舌先だけでぺろぺろしてくれるんだけど、今日はどうしたことか、舌全体を使ってぺろぺろ・サリサリされてる。

「ハク? ぺろぺろしてくれるのは嬉しいんだけど、ちょっと痛いかも?」

 止めて欲しいな~、と遠回しに伝えても返事はないしぺろぺろも終わらない。ちっちゃなちっちゃなハクの顔。強引に手で退かすことは楽にできるけど……。

 なんとな~く、いつもと違うハクの様子が気になってそれもできない。痛みに耐えながらどうしたのかと聞いてみると、

「アリスはきょうもおでかけなの?」

 黙ったままぺろぺろを止めない(舐め方を変えてくれたようで痛みは減った)ハクの代わりにライムが口を開く。その声がなんとな~く、寂しそうで……。

 ふと、思った。もしかしたら2匹を寂しがらせていたのかも!?

 ここ最近は治癒士ギルドの件でバタバタしていたし、それが片付いてからも何かと忙しく日々を過ごしていた。もちろん、宿でのお風呂タイムやベッドタイムでは一緒に遊んだりくっついてのんびり過ごしていたんだけどね? ハクとライムには物足りなかったのかもしれない。その証拠に、

「今日は一緒に遊ぶ?」

 とお誘いしてみると、ハクの舌の動きがぱたりと止んで、

「遊ぶのにゃ!」
「あそぶ~!」

 2匹の元気な声が部屋に響いた。

 ハクのサリサリ舐めはやっぱり寂しん坊のアピールだったらしい。ここしばらくの行動を反省、だな。











 さて、遊ぶと行っても宿の部屋の中。追いかけっこなんてすると下の階の人に迷惑だろうしね? 何をしようかと考えていると、

「狩に行くのにゃ!」

 ハクからうきうき声のリクエストが飛んできた。

 部屋の中で過ごすのもいいけどゆっくりとできないかもしれない(前回のことを考えるとその可能性は高い)から、外で一緒に遊びたい!とのことだ。

 遊び=外での狩りならスレイとニールも誘えるね。いつもの狩りならライムは従魔部屋ハウス待機だけど、遊びならみんなでライムを守りながらゆっくりと狩りを楽しめる。

 ハクから心話で事情を聞いて嬉しそうに待っていたスレイとニールを迎えに行って、私たちはさっさと街の出口に向かうことにした。

 ついでだからギルドで何か依頼を受けていく?と一瞬だけ考えたけど、ウキウキしている従魔みんなを待たせたくないから今日はパス!

 みんなが狩りたいものを狩り、採りたいものを採る! その間におしゃべりしたりみんなで一緒にゆっくりとごはんを食べたりしながら、まったりと過ごすんだ♪

(アリス! 肉串をおかわりにゃ!)
(ぼくはゼリーをおかわり~!)
(主、我は人参をおかわりしたく……)
(妾もです! この人参の甘さは格別ですわ! もちろんりんごには敵いませぬが)

 ……朝ごはんを食べる時間を惜しんだみんなに急かされて宿を飛び出したのはいいんだけど。

 歩きながらの食事は街の人たちの注目を集める結果になってしまった。

 まあ、ね?

 私を背中に乗せているから私の手からは直接ごはんを受け取れないニールの為に、スレイが代わりに銜えてニールの口に運んでるんだもん。

 歩きながらなのに歯と歯をぶつけることもなく、上手に口で食べ物を渡し・受け取る2頭の姿は睦まじくて、ついつい見ちゃうのはわかるんだ。

 でも、それ以上に感じる視線!

 これは、

「おい、猫がまたおかわりしたぞ!」

「ああ。スライムもだな。いったいどこに入って行くんだ?」

 ハクとライムが体積以上の食事をとっているからに他ならない。

 そうだよね! やっぱり見ちゃうよね!

 私も、何度見ても、不思議だもん……。
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