女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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ミネルヴァ家 家族会議 9

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 複雑なように見えて実はとっても簡単な組紐。熟練の技も必要なく、織り機のような大掛かりなものも必要ない。糸と簡単に作れるプレートがあれば子供たちでも上手に組める。

 今はまだ組紐は世間に出回っていないけど、目端の利く人たちは❝ミネルヴァ家に何かある❞と気が付いている。小さい子を引き取ろうとして追い出された、さっきの商人のようにね。

 だから、ミネルヴァ家のみんな(特に大きい子供たち)は今回の移住の話に乗ってくれたらしい。

 庭で採れる野菜の味が劇的に美味しくなって高値で取引されていることは、私に隠す気がなかったこともあり、近隣の人たちだけでなく食品に関係する人たち、生産者や飲食店関係者、それを仲介する商人など大勢が知っていること。

 でも、それに関しては❝雇い主がとっても高額な肥料を土に混ぜたから。詳しくは知らない❞と言えば、それ以上の追及はなく問題はなかったらしい。……みんなが寝静まった頃、土泥棒(野菜も)が出没する以外には(もちろんルシアンさんやマッシモ、イザックによって捕縛済み)。

 でも、主に小さい子たちが公衆浴場などで何気なく(得意気に)話す<紐>についてはそうはいかない。手首や足首を飾る組紐について聞かれると❝自分たちが作った❞って自慢しているらしいから(可愛いよね~!)。

 そうすると、この美しい紐の作り方は❝金になる❞と踏んだ人たちにとって子供たちは❝金のなる木❞に見えるらしく。あの手この手で情報を聞き出そうと試みる人たちや、子供たちを連れ去ろうと後を付けてくる人たちも出てきたようだ。

 護衛を付けていてほんっとうに!良かった! 子供たちを気にかけてくれている衛兵さん達や、一部の冒険者たちにも心から感謝だ!

 そういった事情から、大きい子供たちは移住話を前向きに捉えてくれたらしい。<村>なら異分子が入り込めばすぐに目立つし、何よりも村の一番の権力者である村長マルゴさんともっと上の権力を持つ領主モレーノおとうさまが孤児である自分たちを村の一員(働き手)として受け入れてくれるのが嬉しいそうだ。

 ルシアンさんが、マルゴさんそんちょうを私の身内枠として話してくれたことも効果が大きかった。私と仲良しのおばあちゃんのような立場の村長なら、私の不利益(=子供たちを害すること)はしないと信用してくれたそうだ。

 ダンジョン発生の可能性が高い事や領主が村の中に別邸を建てることを言っていなくても引っ越しを決意するには十分な理由になるらしく、食堂に戻ってきた子供たちは大きい子たちを中心に楽しそうに笑ってネフ村の話をルシアンさんに強請っている(痛かった<誓い>のことは忘れてくれたらしい)。

 ダンジョン発生の可能性については危険が伴うことなので子供たちに話しておいた方が良いのかもしれないけど、ミネルヴァさんがあえて言っていないことを考えて私からは言わないことにした。あまり広めて良い話ではないからね。

 でも、小さい子たちから離れた所に私を連れ出し、

「あのね、アリスさん。私たちは今回のお引越しをとても楽しみにしているんだ。だって、アリスさんはお引越し先でも私たちを自由にさせてくれるつもりだってミネルヴァ母さんが言ってたから。
 知ってる? 本当ならアリスさんは、私たちをどこかに閉じ込めて誰にも会えないようにして、組紐を作り続けるように強制することができたんだよ。っていうか、占有期間が過ぎるまではそうするのが当たり前なんだよ。だって私たちは子供だもん。しかも孤児! 大切な<組紐>の作り方を簡単に他人に話しちゃうかも!って疑って、閉じ込めるのが普通なの。
 でもアリスさんはあま…、優しいから、そんなことは考えもしないんだろうって。だから私たちがアリスさんを守らないといけないねって、ミネルヴァ母さんが言ったの。私も…、私たちもそう思うから、新しい村で村長さん達と一緒に頑張って、アリスさんをいっぱい稼がせてあげるから楽しみにしててね!」

 そう言って笑う子たちに、迷いが出てきた。

 この子たちは確かに子供だけど、私が思っているほど幼くはない。とてもしっかりした考えを持った子供たちだ。だから移住先の危険性を黙っているのはフェアではない……。

 でも、この子たちに新たに一つヒミツを抱え込ませるのはどうだろうと迷っていると、

「俺たち知ってるよ。ネフ村の近くにダンジョンができるかもしれないんだろ?」

 と耳打ちされてびっくりした。

 驚いて目を合わせる私に、

「ばあちゃんとルシアンさんが話しているのを聞いちゃったんだ。これからデカくなるだろう村に、村がでかくなる前に破格の条件で移住できる俺たちはすっごく幸運だってばあちゃんが言ってた。俺もそう思う。こんないい話を俺たちにくれて、ありがとうな!」

 にっこりと笑う大きい子たち。

 ……こんなにしっかりした子たちをネフ村に、マルゴさんに紹介出来る私は鼻高々だ。

 ネフ村の発展に協力して欲しいという私のお願いを聞いてくれて、こっちこそありがとうだよ!
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