女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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護衛旅 野営 3 (夜食?)

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 特注したテントの中にはオデッタ。外側にアルフォンソさんがいて、2人で手を振り合っている。

 オデッタが中から目隠しの布を下ろしたのを機にこちらを向いたアルフォンソさんは、

「これなら彼女を起こさずに、きちんと眠れているか、心細くて泣いていないか確認ができまね。内側からきちんと目隠し……、ああ、風や雨避けですよね。を下せるのも素晴らしいです! これはどこで手に入れたのですか? 街(ラリマー)では見かけたことのない品ですが」

 テントの中の見えないオデッタに向かってとても優しい表情を向けながら、興味津々で聞いて来た。

「その内にラリマーで売りに出されますよ」

 と答えると、

「……アリスさんの発案品ですか!?」

 一瞬の思案の後、すぐに答えに辿り着いた。

 今は駆け出しとはいえ、商家の跡取りとして期待されていた商人さんはさすがだね。

 新妻思いの優しいコメントもあったことだし、これはアルフォンソさん夫妻に貸し出して私たちは馬車の中で寝ようかと考えていたら、

「早くこういった品を取り扱いできるようになるためにも、頑張らないと!」

 アルフォンソさんはテントから出てきたオデッタと手を取り合って何やら決意を固め、私にテント見学の礼を言うと、自分たちのテントへと戻って行った。

 とりあえず、私たちの今夜の寝床はこのテントのままで良いみたい。











 少ししてからテントから出てきた2人は何かできることはあるかと聞いてくれたけど、よく見るオデッタの目がショボショボしている。

 疲れが出ているようだし今日は簡単な食事だけにしてさっさと寝ようと提案するとほっとした表情を浮かべるので、2人は❝依頼人❞なのだから、疲れている時は無理をしなくていいと伝えると、何やら困ったような表情になる。

 現金の持ち合わせがあまりないので、食事代を稼いでおきたいそうだ。

 商品の仕入れで結構な額のお金を使ったし、まだ次の集落までは遠いので、彼らの持っている商品は今はただの❝荷物❞の状態だから、持ち合わせに不安があるらしい。

 食事の度に現金のやり取りをするのは非効率だから、今回私が販売する食事や【クリーン】の代金、2人がアルバイトをしてくれる代金を紙にしっかりと記しておき、差引額がある程度の金額になったらその都度精算する形にする。

 2枚の紙にお互いが書いて相手に渡す形にしたら、間違いも起こらないしね。

 安心した表情の2人に、配慮が足りなかったことを反省しながら晩ごはんの準備を始める。

 いつも通り、帆布を敷いて真ん中に天板を設置。

 安心したせいか、ますます瞼同士がくっつきそうになっているオデッタを見て、今日のごはんは作り置きしていたものを取り出すだけに決定。

 ハクやライムには代わり映えのしないものになってしまうけど、2匹とも気にする様子はなく、

(今日は目玉焼きが乗っているのにゃ♪ ごはんに肉汁と黄身が絡んで最高なのにゃ!)
(ぼくのハンバーグにはチーズがのってるの~♪)

 とってもご機嫌にハンバーグ丼をおかわりしているし、ニールとスレイも、たくさんのカット野菜の上に乗っているハンバーグを食べながら、

(肉と野菜を交互に食べると、いくらでも入りそうですぞ!)
(うふふ。主さまのお料理はいついただいてもおいしゅうございますわ)

 ご機嫌さんだ。宿にいる時には別々のことが多かったけど、今日のごはんはみんなと一緒だからね。いつも以上においしく感じているのかもしれない。

 で、依頼人夫妻の方は……。

 さっきまで眠そうだった目を爛々と輝やかせながら凄いスピードでスプーンを往復させているオデッタと、一口一口を惜しむように目を閉じながら食べ勧めているアルフォンソさん。

 うん。気に入ってくれたようだね。

 いつもより品数の少ない晩ごはんだったけど、ハク達も旅慣れていないオデッタが気がかりだったのか、文句も言わずに晩ごはんが終了。

 トイレの中に【ライト】の魔法で作った丸い灯りを浮かばせてから、私に用がある時は(夜中にライトの魔法が切れてしまったとか)スレイかニールに声を掛けて欲しいと伝えると、夜番はどうすればいいかとアルフォンソさんに質問される。

 夜番はしなくても大丈夫。私とハクとライムもテントの中で寝るつもりだと言うと不安そうな表情をうかべるので、ハクの能力を説明する。

 Aランク冒険者たちのお墨付きのハクの危険察知能力を説明すると、オデッタは両手でハクを掬い上げるように持ち上げると、まじまじと見つめ、

「こんなに小さくて可愛いのに! すごいのね!」
「頼りにしていますが、ハクちゃんの体力は……。大丈夫なのですね? さすがはアリスさんの従魔ちゃんです!」

 手放しで褒めてくれるから、ハクの機嫌も上々だ。

 依頼人夫妻がテントに入って行くのを見届けてから、私たちもテントの中に入って行く。

 入り口にスレイとニールが身を寄せて座り込むのを確認したら、インベントリから香りの少ないごはんを取り出して、

(おまたせ! じゃあ続きにしようか?)

 ひっそり、こっそりと、従魔たちが晩ごはんの続きを食べ始める。

 2人を早く休ませる為に、全然足りない量のごはんをさも満足したように食べ終えたお芝居をしてくれた4匹に感謝をしながら、私は喜んで給仕役に徹した。
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