女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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護衛旅 平穏な旅路 2  

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 オーク肉が8体分も手に入った!

 とは言え、私にオークの解体は無理だ。

 インベントリの中にはオーク肉がまだまだあるし、今回狩った8体は次の集落の冒険者ギルドに持ち込むまで寝かせておこうかと思ったんだけど、

「アリスが人型の魔物の解体は苦手だって聞いたから、オークの解体はしっかり練習してきたの! オーガとかサイクロプスとかアラクネーは触ったことがないけど、オーク、コボルト、ゴブリンは何体も練習して来たから!」

 オデッタ&アルフォンソ夫妻が解体できるらしいので、任せることにした。夫妻がギルドへ勉強に行った時期に持ち込まれなかった素材は無理だけど、高い頻度で持ち込まれるオーク、コボルトは何体も練習を重ねてくれたらしい。ゴブリンの持ち込みはあまり多くないようだけど、心臓部の魔石を取り出すだけだからね。1体の練習できっちりと覚えたようだ。

 練習したと言ってもプロの解体専門職員よりは当然腕が落ちるので、小さい個体から順番にお願いする。皮の買取価格に影響がでるからね。

 さて。夫妻とライムが解体をしてくれている時間、私は何をするか、だけど。

 やっぱり料理、だよね? 解体が終わるのを待っていたら遅くなるもん。

 だけど、せっかくだから夫妻&ライムが解体してくれているお肉も使いたい。

 なので、解体してもらったお肉ではできない料理を作っておこうかな。

 夫妻が解体できるのは、私がスーパーでよく見ていた大きさのブロック肉にするところまで。冒険者ギルドで短期間学んだけでブロックにできるのはとてもすごいよね! 

 オデッタは実家のトラットリアでは部分肉を仕入れていて、それをカットするのを手伝っていたからだって謙遜してるけど、ただの死骸を生体に、枝肉に、そこから部分肉にするのは初めてだったはず。

 私は、見つけた毒キノコを食べてしまう悪癖も霞むくらいに凄いと思う。

 だから、ブロック肉では作れない料理、スライスしたお肉で作る料理を先に作っておくことにする。

 何がいいかなぁ?

 ん~…。旅の間には不足しがちだと聞いている野菜を使おうかな? インベントリがある私にはあまり関係のない話だけど、だからこそ意識して食べないと、お肉ばかり食べたがるハクが野菜不足になるかもしれないし。

 ということで!

 キャベツと玉ねぎを千切りに! キャベツは生のシャキシャキとした食感を楽しみたいからできるだけ細く切って、玉ねぎは辛みを飛ばして甘くするために、軽く乾煎りしておく。これは塩と胡椒でシンプルに焼いたオークのスライス肉で巻きながら食べるんだ♪

 お次は大鍋にハーピー骨から取っただし汁を入れて、中に細く切った大根、人参、白菜を大量に入れて竃の上に。野菜に軽く火が通ったら、そのままインベントリの中に収納する。あとは食べる時にスライス肉をしゃぶしゃぶしながらお野菜と共にいただくの。しゃぶしゃぶ鍋にはポン酢が欲しいんだけど、ないから醤油とレモンのしぼり汁で代用する。レモン醤油も悪くないよね?

 オデッタたちを見てみると、まだ時間がかかりそうだから、もう一品くらい作れるかな?

 玉子を茹でよう。ここでのポイントは、白身は固めて黄身は半熟になるように時間と火加減を調整すること。黄身に熱が通るのを防ぐために、白身が固まった頃合いで氷水にさっとつける。ここでも魔法(アイスニードル)が活躍してくれるから、不便だけど便利な世界だよ!

 良い加減で茹で上がった卵を塩胡椒で味付けしたオーク肉(脂身多めの)で巻いてから軽く小麦粉を振っておく。オーク油を引いておいたフライパンで軽く焼き色が付いたら、調味料(酒、砂糖、醤油)を加えてひと煮立ち。肉巻き卵を取り出して、フライパンに残った調味料を煮詰めたら、肉巻き卵を戻して絡める♪

 うん! 今日のスライス肉部門、一番の自信作の出来上がりだ!

 ふと強い視線を感じて足元を見れば、口を半開きにしてフライパンをじっと見つめているハクが目に入る。その横ではライムが伸び縮みをしながら存在をアピールしていて、ハクとライムを挟むようにニールとスレイが座っていた。……いつの間にこんなに近づいていたんだろうね? 全然気が付かなかったよ!

 そしてその後ろから、鼻をクンクンさせてはお腹を押さえているオデッタ&アルフォンソ夫妻の姿が。

 彼らと視線が合わないのは、調理過程を秘匿する為に、いつの間にかハクが視界を不透明にふる結界を張ってくれていたから。 

 でも、従魔たちは自由に出入りできるのがハクの結界の凄い所だね!

 出来上がった料理を全てインベントリに仕舞ってからハクに声を掛けようとすると、

(しまっちゃダメなのにゃ~!)
(ぼくおなかすいたの~!)

 ハクとライムから抗議の声が。ニールとスレイも力強く頷いているけど、

「アルフォンソさんとオデッタとライムが解体してくれたお肉も食べたいでしょ? せっかく3人が頑張ってくれたんだから、新しいお肉も使ってお料理しよう?」

 心を鬼にして料理を全てインベントリに収納してしまう。でも、

(ぼく、そんなこときにしない! いますぐアリスのごはんがたべたいの~!)
「私たちのことなら気にしないで! 解体したお肉でなくてもオーク肉はオーク肉だわ!」
「そうですよ! こんなに良い香りの中で❝お預け❞だなんて辛すぎます! 出来ている料理を食べさせてください!」

 解体を頑張ってくれていた2人と1匹からそう言われてしまうと、ハクを筆頭にニールやスレイまで食べたいコールを始めてしまい……。

 今日は元々あったオーク肉だけを使ったごはんになってしまったんだ。

 新しくたくさんオーク肉が手に入ったからオーク肉祭り!のはずだったのに、おかしいなぁ?



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ありがとうございました!

インベントリ頼みの手抜き料理ですが、明日のごはんの参考になれば……、なんて^^
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