女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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護衛旅 平穏な旅路 3

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「アリス! ライムにアイスボールの【クリーン】添えをおかわりなのにゃ! 僕たちにはヨーグルト……今度は桃と葡萄なのにゃ!」
「おかわりなの~!」
「おかわりですの!」
「おかわりです!」

「は~い、どうぞ♪」

 ブロック肉を使わないオークの肉料理祭り!は私的に何だか中途半端な気がしたので、祭り気分を盛り上げる為にワインを出してみた。

 野営中に酔うのは危険だと思って今までは避けていたんだけど、ハクが提案してくれたんだ。少し大きめの防御結界まで張ってくれた上で。

 おいしいオーク肉とおいしい(お手軽価格の方だけど)ワインで盛り上がったオデッタとアルフォンソさんは早々に酔いつぶれ、今はテントの中で熟睡中。

 私たちは出した料理の残りを楽しみながら、アルフォンソ夫妻がとライムが解体してくれたオークのブロック肉を使った料理を調理中。たまにおかわりの声が掛かるけど、出している料理を残すような仔たちではないので安心しておかわりを出してあげる。

 ちなみに今作っているのは焼きオーク。今までは煮オークが多かったので今回はちょっとだけ変化を付けてみた。と言っても工程も味付けもそれほど大きく変わるわけではないので、ニールには不思議そうに首を傾げられたけどね。

 焼き豚は煮る前にや表面を焼いているから!と説明したら、「それは主さまの作られる<角煮>と何が違うのですか」と聞かれて返事に困った。

 なんとなく、気持ちの問題なんだよ~。飽きない為の!

 ちなみに今回は塩豚も仕込んでみたよ。ブロック肉に満遍なく塩をすり込み、ラップの代わりにスライム皮をぴったりと巻いて、インベントリから取り出してテントの横に設置した冷蔵庫の中に入れるだけ!のお手軽品。

 冷蔵庫をインベントリに入れると時間が止まってしまうから停車している時は忘れずに冷蔵庫取り出さないといけないけど、それ以外は放置しておくだけだから簡単だよね! 簡単すぎてオースティンの贈ってくれた冷蔵庫の半分を塩豚が占めるくらいに仕込んじゃった。おいしく熟成しますように!

「アリス! アイスボールのクリーン添えをおかわりなのにゃ!」
「アイスをおかわりなの~♪」

「はいは~い! ……今日はやけにアイスをいっぱい食べてるけどお腹は大丈夫なの? 凍らない?」
「「だいじょうぶ」なのにゃ!」

 実はさっきから、ライムの食べるアイスボールのおかわりが5回を超えている。

 夫妻がテントに入ったあと、ライムは一度従魔部屋ハウスに入り大量の肥料をインベントリ内に出してくれた。今日の解体で得たオークの廃棄部と今まで体内に貯めていた栄養で作ってくれたらしい。

 それが終わって出てきたライムは、今度はアイスボール(に、【クリーン】をかけたもの)を食べたがり、最初は何も考えずに希望どおりに出していたんだけど、だんだん心配になって来た。

 肥料を作り過ぎたせいで熱でも出ているのかとライムの額(らしきところ)におでこを合わせた私を見て、

「主さま? ライムお兄さまはお元気ですわ」

 スレイが朗らかに笑う。ライムも、

「きょうはいっぱいがんばったからエイヨウホキュウのひなの」

 と笑っているから、私の気にし過ぎのようだ。たまにはこんな日もあるだろう。

 どれだけアイスボールを食べても、ライムがお腹を壊すことはない!とハクが断言してくれたので、安心してアイスボールのおかわりを出し続け、調理の合間にはハクや皆に勧められるままに(高い方の)ワインを空け、気が付いたらいつの間にか眠っていたらしい。

 両側をニールとスレイの大きな体に挟まれて、温かくて気持ちがいい目覚めなんだけど、何かが違う。

 いつもなら私の体の下に潜り込んでクッションになってくれているライムと、首元で私を温めながら寝ているはずのハクがいなかった。

 ニールとスレイに聞いたら「散歩では?」と笑って言うんだけど……。

 野外で私が寝ている間にライムが私のそばを離れるなんて、これまではなかったんだ。ハクだって、敵を狩りに行くとき以外はいつだって側にいてくれた。敵を狩りに行くときだって、私が気が付く前に戻って来ていたし……。

 なんとなく胸騒ぎがして、ニールやスレイが引き留めるのを聞かずに私は結界の外に出た。

 月明かりの下、やっと視線の先に2匹を見つけた私は駆け寄ろうとして……。

 一瞬だけ足を止めてしまう。

「………………ライム?」

 視線の先のライムの体はいつもの可愛らしい丸いフォルムではなく、地面にべちゃりと広がっていて。それは自分の意思で変形している時の様な形態にも見えなくて……。

「………ライム!!」

 一言で言うと、❝生❞を感じられない姿になっていたんだ。
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