元ラノベオタクの転生勇者はチートスキルを使わない

辻谷戒斗

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第十四話 嫌な予感

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「ここが入学式の会場よ」

「はぁぁ……すごいですね……」

 会場にはすでに多くの生徒や、親御さんでいっぱいだ。
 こんなに入学者がいるなんて……

「……まぁ、ミツルも知っての通り、入学試験なんてないから……入学者はいっぱいいるの。でも、入学者全員が魔王を倒すという強い意思を持っているのは確かよ」

「……なぜそれが分かるんですか?」

「それは、学園長のスキルが《意思表示》だからよ。このスキルは相手の真意が分かるスキルなの」

「つまり、学園長の前では嘘は無意味……ってことですか?」

 なら、学園長は俺のチートスキルの存在に気付いたのだろうか。
 ……でもあの時何も言われてないし、気付いていないのか?
 うーむ……分からん。

「ええ。使用している時はね。入学希望者は必ず学園長と面談をするから」

「……なるほど。納得しました。……あの、もう一ついいですか?」

「何かしら?」

「あの……アテナさんはこれからどうするんですか?」

「一緒に入学式に出るわよ。あなたの保護者としてね」

 ……な、なんて優しいんだこの人は……
 目から汗が出てきそうになってしまった……
 絶対、恩返ししないとな。

「……そういえば、席ってどこに座るんですか?」

「そうね……この辺りでいいんじゃないかしら」

「分かりました」

 俺は言われた通りの席に付き、その右隣にアテナさんが座る。
 ……そして、席の位置はなぜか一番前だ。
 ……なぜだろう……とても嫌な予感がする……

「これより、入学式を初めます。まずは学園長より入学許可宣言です」

「では、これより読み上げていきます。呼ばれたものは返事をして起立するように。まず――」

 学園長によりどんどんと生徒の名前が読み上げられていく。
 ……それにしても、入学式も日本のものと似てるな……
 やっぱり、この世界には日本の文化が根付いているみたいだ。
 これなら混乱することもないし、安心した。
 これも、前の転生者の人のおかげだな。
 ……しかし、長いな……俺の名前一向に呼ばれないんだが……

「――一般生徒は以上です。続いて、この学校出身の冒険者数名による推薦入学者を発表します」

 は?待て待て待て。
 俺の名前まだ呼ばれてないぞ?どうなってるんだ?
 ……ま、まさか……い、いや、そんなわけ……

「まずは、今年初めて冒険者推薦に参加しました。世代ナンバーワン剣士と言われるアテナ・シュウェットが推薦した者です」

 アテナさんが推薦した人?
 ……いやいやいや……俺の勘違いだよな?
 そんなわけないよな……そんなわけ……

「ミツル・カツラギ君」

「……」

 ……ど……

「?どうしたんですか?」

「?ミツル?大丈夫?」

 どうしてこうなったああああああああ!!!!
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