9 / 28
獣使いの愛は止まらない
第9話 変態になった覚えはない
しおりを挟む
てくてくと歩いて猫編集部の前までやってくると、もう十二時を回っていてどっと疲れが出る。何らかの成果があれば、疲れなんて感じる間もなく楽しい気分で中へ入れるけれど、相変わらず獣使いとしては役に立ちそうになくて溜息しか出ない。
「戻りました」
カチャリとドアを開けて挨拶をすると、本を読んでいたサカナさんが顔を上げた。
「瀬利奈さん、どうでしたか?」
「えーっと……」
「ダメだったよー。みんな逃げちゃった」
言い淀んだ私のかわりに、乙女が答える。
「ううっ、すみません」
「謝らなくてもいいですよ。まだ二回目ですからね」
サカナさんの柔らかな声に、少し気持ちが軽くなる。
でも、それは一瞬だけ。
すぐにタロウ編集長の厳しい声が飛んでくる。
「サカナ、お前は甘すぎる。そんなことじゃ、いつまでたっても立派な獣使いになれないだろ。いいか、人間。さっさと猫くらい触れるようになれ」
「私も、早く触れるようになりたいです。でも、逃げちゃうんです。どうしたら良いでしょう?」
「どうしたらって、そんなの決まってるだろ。人間、お前は普通になれ。お前の動物好きは気持ち悪すぎる」
いつも通りの口調でタロウ編集長が言う。
その声色から悪気がないことがわかるけれど、悪気がないことがかえってよろしくない。
だって、それって、タロウ編集長が本気で私のことを気持ちが悪いって思っていることになるわけで――。
おかげで今、私の繊細な心はチェーンソーで真っ二つにされ、再起不能なほどに血を流している状態だ。
「そんなに気持ち悪いですか? 私は普通のつもりなんですけど」
よろよろと席に座りながら、タロウ編集長を見る。
「普通じゃないぞ。猫になってお前を見てると、なんか、こう、ぞわぞわする」
「ううっ。それ、私が変態みたいじゃないですかっ」
高校二年生の女の子を捕まえて、普通じゃないとか気持ちが悪いとか口が悪すぎる。大体、猫をぞわぞわさせるほど変態になった覚えはない。
しかし、タロウ編集長はつれない返事を投げつけてくる。
「変態かどうかは知らんが、気持ち悪いし、怖いぞ。だからさっさと普通になって、猫を手懐けてこい」
「そんなあ。すぐには無理です」
「編集長、甘いくらいで丁度良いんですよ。厳しくしてもできないものは、できないんですから。瀬利奈さん、のんびりやりましょう」
そう言うと、サカナさんが私の隣にやってきて頭を撫でてくれる。
「サカナさーんっ」
心優しいサカナさんの声と手に救われた私は、彼女の体にこつんと額をぶつけた。
今のこの殺伐とした編集部の清涼剤。
サカナさんがいれば、強く生きていけそうな気がする。
「リナ、わたしもー」
弾んだ声が聞こえてきて、私は隣を見る。すると、乙女が私に飛びついてきて、ぺろりと頬を舐めた。
「わっ! ちょっと、乙女。舐めないの」
「えー」
隣で不満そうな声を出す乙女をぐいっと押して遠ざけ、私はしゃきりと体を伸ばす。すっかり忘れていたけれど、今日の私にはやらなければならないことがあったのだ。
それは、人間の姿でしてはいけないことを乙女に教えること。
「乙女! 人間のルールその一。人を舐めない」
ぴしゃりと言って、乙女を椅子に座らせる。
「そんなルール、人間にあるの?」
「ないけど。普通はルールを作らなくても舐めないから」
「人間って、つまんないの」
「つまらなくても、ルールだから守ってね」
先生になったつもりで、乙女に言い聞かせる。けれど、彼女は人間のルールがお気に召さないらしく、眉根を寄せて私をじっと見た。
「守らなかったら、どうなるの?」
「ええっと」
どうしよう。
それは、考えていなかった。
うーんと唸りながら数十秒考えて、一つの答えを導き出す。
「おやつのニャール抜き」
「それ、やだっ。人間のルール守るね!」
猫の耳があったらぺたんと寝かせる勢いで、乙女が言う。
随分と情けない顔をしているから、想像以上にニャール抜きという罰則が堪えたようだ。
もしも、乙女がルールを守らないことがあって、そんなときにしょんぼりした彼女を前に毅然とした態度でニャールを抜く精神力が自分にあるかは疑問だけれど、罰則に効果があってほっとする。
「わかったならよろしい」
にこりと微笑んで乙女の頭を撫でていると、タロウ編集長からトゲトゲした声が飛んでくる。
「人間と乙女、うるさいぞ」
「まあまあ、編集長。うるさくてもいいじゃないですか。もうお昼ですし」
サカナさんが壁掛け時計を指さすと、タロウ編集長のお腹がぐうっと鳴った。
「確かに、昼飯の時間だな」
「もうすぐセレネとコテツがお昼を持ってきますから、みんなで食べましょう」
編集部に明るい声が響き、サカナさんが空きスペースにマットのようなものを敷く。そして、どこから引っ張り出してきたのか大きなテーブルを置くと、トレイを持った黒髪のお兄さんが現れた。
「皆さん、お昼ご飯を持ってきました」
二十代半ばくらいのお兄さんはそう言うと、テーブルの上に焼きたてと思わしき鮭の切り身とほかほかのご飯、湯気が上がるお味噌汁を並べていく。配膳が済むとサカナさんが上機嫌で「コテツ、ありがとう」とお礼を言って、こちらを向いた。
「瀬利奈さんと乙女もこちらに。席は適当でいいですよ」
二人で促されるままテーブルの前に座ると、向かい側から声をかけられる。
「初めまして、瀬利奈さん。僕はコテツと言います」
ピシッとアイロンがかけられた折り目正しいズボンにワイシャツ、さらにネクタイをきっちりと締めたコテツさんが真面目そうな外見通り、凜とした声で私に挨拶をした。
「初めまして、吉井瀬利奈です。よろしくお願いします」
私がぺこりと頭を下げると、前々からこの国に来ていてコテツさんと顔見知りらしい乙女が軽い挨拶を交わした。そして、待ちきれないといった口調でタロウ編集長が宣言をする。
「挨拶はそれで終わりだ。早く食べよう」
いただきます、とみんなで手を合わせてから、箸を取る。味噌汁を飲むと、良い具合に煮干しの出汁が利いていた。
家で飲む味噌汁よりも、美味しいかもしれない。
鮭を口にすると、脂がのった身はこれ以上ないくらいの塩加減で箸が止まらない。ただ焼いてあるだけなのに、ふっくら柔らかくて一枚どころか三枚くらい食べられそうだ。
隣を見ると、乙女も黙々と食べている。
「瀬利奈さん、美味しいですか?」
コテツさんに問いかけられて、私は首を縦に振る。
「この鮭、すごく美味しいです。今までお肉の方が好きだったんですけど、魚大好きになりました」
「それは良かったです。鮭もご飯もたくさんありますから、好きなだけ食べてください」
「ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げて、私は幸せをかみしめる。
この鮭をたくさん食べていいなんて。
ご飯もたくさんあるなんて。
太ってもいいから、死ぬほど食べたい。
「僕たち魚が好きで、つい作り過ぎちゃうんです。特にサカナさんは魚が大好きで、だからサカナさんと呼ばれているんですよ」
コテツさんの言葉に、私は今まで止まらなかった箸を止めてサカナさんを見る。すると、彼女は目の色を変えて鮭を食べていた。
そうだよね、猫だもん。
クールなサカナさんが、一心不乱に鮭を食べていてもおかしくない。タロウ編集長だってうにゃうにゃ言いながら鮭を食べているし、コテツさんも二人ほどではないにしろ箸を忙しなく動かしている。
でも、ちょっと気になることがある。
この鮭、丁度良い塩味で美味しいんだけれど、猫が食べたら塩分過多にならないんだろうか。
「ところで、みなさん。人間のご飯食べて大丈夫なんですか?」
私が素朴な疑問を口にすると、タロウ編集長が自信たっぷりの声で言った。
「人間の姿のときは大丈夫だ」
「へえ。便利ですね」
私は二枚目の鮭を食べている乙女を見ながら胸を撫で下ろし、ご飯をおかわりして三枚目の鮭をほぐして口に運ぶ。
何枚食べても美味しい。
ほかほかご飯にぴったりだ。
私が鮭の旨味に感動していると、食事を終えたらしいタロウ編集長が思い出したように言った。
「そう言えば、コテツ。セレネはどこに行ったんだ?」
「さあ? さっきまでいたはずですが」
「あいつはまたふらふらと。なんでちゃんとできないんだ」
「セレネですからねえ。無理じゃないですか?」
「僕もそう思います」
何枚目かわからない鮭の切り身を頬張りながら言ったサカナさんの言葉に、コテツさんが同意する。
私はまだ“セレネさん”を見たことがない。
でも、随分と適当な性格だということだけはわかる。
三人の口ぶりから、今日、セレネさんに会うことはできなそうだと思った瞬間、バンッとドアが開いた。
「ごはーん! ごはん食べちゃいましたかっ?」
「セレネ、お前っ。どこ行ってたんだっ」
「あ、編集長。すみません。隣の国の使者が来てるっていうから、見に行こうと思って」
「お前は馬鹿か。使者が来てるのは管理局だ。歩いて五分で行けるような距離じゃないんだぞ」
「だから、行くのやめました」
鳥の羽くらいふわりと軽く言って、セレネさんが私とサカナさんの間に座る。
私は初めて会うセレネさんのことが気になったけれど、それ以上に頭に残った言葉を口にする。
「隣の国って、この国に隣があるんですか?」
「あるに決まってるだろ。今日、使者を送ってきたのはケット・シーの国だ」
ケット・シー?
聞いたことのない名前に、私の猫耳がぴんっと立った。
「戻りました」
カチャリとドアを開けて挨拶をすると、本を読んでいたサカナさんが顔を上げた。
「瀬利奈さん、どうでしたか?」
「えーっと……」
「ダメだったよー。みんな逃げちゃった」
言い淀んだ私のかわりに、乙女が答える。
「ううっ、すみません」
「謝らなくてもいいですよ。まだ二回目ですからね」
サカナさんの柔らかな声に、少し気持ちが軽くなる。
でも、それは一瞬だけ。
すぐにタロウ編集長の厳しい声が飛んでくる。
「サカナ、お前は甘すぎる。そんなことじゃ、いつまでたっても立派な獣使いになれないだろ。いいか、人間。さっさと猫くらい触れるようになれ」
「私も、早く触れるようになりたいです。でも、逃げちゃうんです。どうしたら良いでしょう?」
「どうしたらって、そんなの決まってるだろ。人間、お前は普通になれ。お前の動物好きは気持ち悪すぎる」
いつも通りの口調でタロウ編集長が言う。
その声色から悪気がないことがわかるけれど、悪気がないことがかえってよろしくない。
だって、それって、タロウ編集長が本気で私のことを気持ちが悪いって思っていることになるわけで――。
おかげで今、私の繊細な心はチェーンソーで真っ二つにされ、再起不能なほどに血を流している状態だ。
「そんなに気持ち悪いですか? 私は普通のつもりなんですけど」
よろよろと席に座りながら、タロウ編集長を見る。
「普通じゃないぞ。猫になってお前を見てると、なんか、こう、ぞわぞわする」
「ううっ。それ、私が変態みたいじゃないですかっ」
高校二年生の女の子を捕まえて、普通じゃないとか気持ちが悪いとか口が悪すぎる。大体、猫をぞわぞわさせるほど変態になった覚えはない。
しかし、タロウ編集長はつれない返事を投げつけてくる。
「変態かどうかは知らんが、気持ち悪いし、怖いぞ。だからさっさと普通になって、猫を手懐けてこい」
「そんなあ。すぐには無理です」
「編集長、甘いくらいで丁度良いんですよ。厳しくしてもできないものは、できないんですから。瀬利奈さん、のんびりやりましょう」
そう言うと、サカナさんが私の隣にやってきて頭を撫でてくれる。
「サカナさーんっ」
心優しいサカナさんの声と手に救われた私は、彼女の体にこつんと額をぶつけた。
今のこの殺伐とした編集部の清涼剤。
サカナさんがいれば、強く生きていけそうな気がする。
「リナ、わたしもー」
弾んだ声が聞こえてきて、私は隣を見る。すると、乙女が私に飛びついてきて、ぺろりと頬を舐めた。
「わっ! ちょっと、乙女。舐めないの」
「えー」
隣で不満そうな声を出す乙女をぐいっと押して遠ざけ、私はしゃきりと体を伸ばす。すっかり忘れていたけれど、今日の私にはやらなければならないことがあったのだ。
それは、人間の姿でしてはいけないことを乙女に教えること。
「乙女! 人間のルールその一。人を舐めない」
ぴしゃりと言って、乙女を椅子に座らせる。
「そんなルール、人間にあるの?」
「ないけど。普通はルールを作らなくても舐めないから」
「人間って、つまんないの」
「つまらなくても、ルールだから守ってね」
先生になったつもりで、乙女に言い聞かせる。けれど、彼女は人間のルールがお気に召さないらしく、眉根を寄せて私をじっと見た。
「守らなかったら、どうなるの?」
「ええっと」
どうしよう。
それは、考えていなかった。
うーんと唸りながら数十秒考えて、一つの答えを導き出す。
「おやつのニャール抜き」
「それ、やだっ。人間のルール守るね!」
猫の耳があったらぺたんと寝かせる勢いで、乙女が言う。
随分と情けない顔をしているから、想像以上にニャール抜きという罰則が堪えたようだ。
もしも、乙女がルールを守らないことがあって、そんなときにしょんぼりした彼女を前に毅然とした態度でニャールを抜く精神力が自分にあるかは疑問だけれど、罰則に効果があってほっとする。
「わかったならよろしい」
にこりと微笑んで乙女の頭を撫でていると、タロウ編集長からトゲトゲした声が飛んでくる。
「人間と乙女、うるさいぞ」
「まあまあ、編集長。うるさくてもいいじゃないですか。もうお昼ですし」
サカナさんが壁掛け時計を指さすと、タロウ編集長のお腹がぐうっと鳴った。
「確かに、昼飯の時間だな」
「もうすぐセレネとコテツがお昼を持ってきますから、みんなで食べましょう」
編集部に明るい声が響き、サカナさんが空きスペースにマットのようなものを敷く。そして、どこから引っ張り出してきたのか大きなテーブルを置くと、トレイを持った黒髪のお兄さんが現れた。
「皆さん、お昼ご飯を持ってきました」
二十代半ばくらいのお兄さんはそう言うと、テーブルの上に焼きたてと思わしき鮭の切り身とほかほかのご飯、湯気が上がるお味噌汁を並べていく。配膳が済むとサカナさんが上機嫌で「コテツ、ありがとう」とお礼を言って、こちらを向いた。
「瀬利奈さんと乙女もこちらに。席は適当でいいですよ」
二人で促されるままテーブルの前に座ると、向かい側から声をかけられる。
「初めまして、瀬利奈さん。僕はコテツと言います」
ピシッとアイロンがかけられた折り目正しいズボンにワイシャツ、さらにネクタイをきっちりと締めたコテツさんが真面目そうな外見通り、凜とした声で私に挨拶をした。
「初めまして、吉井瀬利奈です。よろしくお願いします」
私がぺこりと頭を下げると、前々からこの国に来ていてコテツさんと顔見知りらしい乙女が軽い挨拶を交わした。そして、待ちきれないといった口調でタロウ編集長が宣言をする。
「挨拶はそれで終わりだ。早く食べよう」
いただきます、とみんなで手を合わせてから、箸を取る。味噌汁を飲むと、良い具合に煮干しの出汁が利いていた。
家で飲む味噌汁よりも、美味しいかもしれない。
鮭を口にすると、脂がのった身はこれ以上ないくらいの塩加減で箸が止まらない。ただ焼いてあるだけなのに、ふっくら柔らかくて一枚どころか三枚くらい食べられそうだ。
隣を見ると、乙女も黙々と食べている。
「瀬利奈さん、美味しいですか?」
コテツさんに問いかけられて、私は首を縦に振る。
「この鮭、すごく美味しいです。今までお肉の方が好きだったんですけど、魚大好きになりました」
「それは良かったです。鮭もご飯もたくさんありますから、好きなだけ食べてください」
「ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げて、私は幸せをかみしめる。
この鮭をたくさん食べていいなんて。
ご飯もたくさんあるなんて。
太ってもいいから、死ぬほど食べたい。
「僕たち魚が好きで、つい作り過ぎちゃうんです。特にサカナさんは魚が大好きで、だからサカナさんと呼ばれているんですよ」
コテツさんの言葉に、私は今まで止まらなかった箸を止めてサカナさんを見る。すると、彼女は目の色を変えて鮭を食べていた。
そうだよね、猫だもん。
クールなサカナさんが、一心不乱に鮭を食べていてもおかしくない。タロウ編集長だってうにゃうにゃ言いながら鮭を食べているし、コテツさんも二人ほどではないにしろ箸を忙しなく動かしている。
でも、ちょっと気になることがある。
この鮭、丁度良い塩味で美味しいんだけれど、猫が食べたら塩分過多にならないんだろうか。
「ところで、みなさん。人間のご飯食べて大丈夫なんですか?」
私が素朴な疑問を口にすると、タロウ編集長が自信たっぷりの声で言った。
「人間の姿のときは大丈夫だ」
「へえ。便利ですね」
私は二枚目の鮭を食べている乙女を見ながら胸を撫で下ろし、ご飯をおかわりして三枚目の鮭をほぐして口に運ぶ。
何枚食べても美味しい。
ほかほかご飯にぴったりだ。
私が鮭の旨味に感動していると、食事を終えたらしいタロウ編集長が思い出したように言った。
「そう言えば、コテツ。セレネはどこに行ったんだ?」
「さあ? さっきまでいたはずですが」
「あいつはまたふらふらと。なんでちゃんとできないんだ」
「セレネですからねえ。無理じゃないですか?」
「僕もそう思います」
何枚目かわからない鮭の切り身を頬張りながら言ったサカナさんの言葉に、コテツさんが同意する。
私はまだ“セレネさん”を見たことがない。
でも、随分と適当な性格だということだけはわかる。
三人の口ぶりから、今日、セレネさんに会うことはできなそうだと思った瞬間、バンッとドアが開いた。
「ごはーん! ごはん食べちゃいましたかっ?」
「セレネ、お前っ。どこ行ってたんだっ」
「あ、編集長。すみません。隣の国の使者が来てるっていうから、見に行こうと思って」
「お前は馬鹿か。使者が来てるのは管理局だ。歩いて五分で行けるような距離じゃないんだぞ」
「だから、行くのやめました」
鳥の羽くらいふわりと軽く言って、セレネさんが私とサカナさんの間に座る。
私は初めて会うセレネさんのことが気になったけれど、それ以上に頭に残った言葉を口にする。
「隣の国って、この国に隣があるんですか?」
「あるに決まってるだろ。今日、使者を送ってきたのはケット・シーの国だ」
ケット・シー?
聞いたことのない名前に、私の猫耳がぴんっと立った。
0
あなたにおすすめの小説
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない
葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー)
㊗️HOTランキング3位!(2/02)
ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。
神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。
そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。
ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。
早く穏やかに暮らしたい。
俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。
【毎日18:00更新】
※表紙画像はAIを使用しています
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~
草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。
勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。
だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。
勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。
しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ!
真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。
これは少女と世話焼き神獣の癒しとグルメに満ちた気ままな旅の物語!
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる