護堂先生と神様のごはん　幽霊屋台は薄暮を彷徨う

栗槙ひので

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第1章　誘いの電話は突然に

3.幻のラーメン屋台

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『そうなんですよ！　こちらからお電話差し上げなければならない所すいません！　突然で申し訳ないんですが先輩、幻のラーメン屋の取材、是非お願いします！　先輩の文章なら僕も安心ですし、グルメレポートなんてオイシイ仕事は中々無いんで、本当は僕も行きたいのですが、今ちょっと手の離せない仕事を二三抱えてまして……』

（ん、まてよ。今変な冠がつかなかったか？　幻のラーメン屋……？）

　湊川君は凄い勢いで説明した。彼は元々早口ではあるが、電話口で一気にまくし立てる話し方が、やはりどうも怪しい。私は質問を続ける。

『うん、構わないけど……。幻ってどういう事？　他に無い程美味しいって意味？　この辺りで凄く有名なラーメンのお店なんて、聞いた事が無いけど……住所的にはどの辺にあるの？』

　すると湊川君は、今度は少し間をおいてから答えた。

『ええ……ある方面の方々にとっては、凄く有名な店なんです。その店のラーメンはそりゃもう絶品という専らの噂なんですけど、実ははっきりとしたお店の場所は分かっていないんです』

　私は訳が分からず一瞬沈黙する。

『え？　どう言う事？』

　それでは取材に行けないが。

『う～ん、ちょっと説明しずらいんですけど……』

　私が促すと、湊川君はゆっくりとその幻のラーメン屋について話し始めた。