護堂先生と神様のごはん 幽霊屋台は薄暮を彷徨う

栗槙ひので

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第3章 墓場とラーメン

2.遭遇

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 まさかと思いつつ、指差された先を見ると、曲がり角にぼんやりと青白い光が見える。

『……嘘、ですよね?』

『ん? お主らが探しとったもんじゃろ? さっさと行くぞ!』

 私が呆然と立ち尽くしていると、神様は灯りに向かってさっさと歩いて行ってしまった。

『ちょ、ちょっと待ってくださいよ!』

 私は慌てて、神様を曲がり角まで追いかける。するとそこは、どうやら霊園の裏口のようだった。

 錆の浮いた黒い鉄柵の門は開いており、そっと覗くと敷地の奥に青白い灯りが揺らめいて見えた。

『こ、ここってお墓の敷地内じゃないですか! 普通、こんな所にラーメン屋なんて出しませんよ!』

『普通じゃないから追いかけとったんじゃろ?』

 神様は振り返りもせず、門を潜ってずんずん進んで行く。

『も~う……』

 神様の食欲センサーが必要以上に高性能である事は、私も既に知っているが、今回はだからこそついて行きたくなかったのだ。

 私は仕方なく敷地に足を踏み入れる。

(こんな所で本当にやっているラーメン屋は……)

 木立の間を少し歩いた先に、それは静かに佇んでいた。

(きっとこの世のものじゃない……)

 周囲に鬼火を纏わせ、ボロボロに朽ち果てた暖簾を掲げた古い屋台。
 その中で一人、黒いコートを纏った者が俯向いていた。
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