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【第三部】共鳴と模倣
先生のコピーみたいに
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行為が終わり、二人は汗ばんだまま布団に並んで横たわっていた。
「先生のコピーみたいに、絵が上手くなるのは嬉しいです」
芽衣が、ぽつりと呟いた。
「でも……時々、怖くなるんです」
「何が?」
「私自身の絵は、どこにあるんだろうって……。このままじゃ、私は先生のコピーでしかないみたいで」
コピーというのは、その通りだった。
浩一は基本の徹底を教え、独自の工夫を伝えて、彼女はそれをそのまま吸収し、再現することに専念した。
もともと彼女は、浩一の作品に強い憧れを抱いており、そこに近づくための努力のみを重ねてきた。
結果、彼女は浩一そっくりになった。
「僕の教え方のせいかな。でもこれからは自由に、君の描きたいものを描く。僕の指導なしにやれるはずだよ」
「先生の、ご指導を離れるの……いやです」
彼女は、浩一の胸に顔を埋めた。
「でも、このままじゃ、何のために絵を学んでいるのか、ちょっとわからなくなって」
浩一は彼女の言葉を、ごく素朴に、可愛い悩みを抱えているとだけ思って、あまり深くは考えていなかった。
だが、芽衣の中では、浩一の技術を吸収すればするほど、「自立したい」という渇望が芽生え始めていた。
それは、単身赴任中の夫から送られてくる生活費に頼るしかない現状、英恵という模範的な「妻」であり「母」である友人への劣等感とも結びついていた。
「君なら、プロになれるよ」
浩一が励ますように言うと、芽衣は小さく首を振った。
「でも、先生のコピーのままじゃ、ダメなんです……」
その時──。
芽衣が畳の上に置いていたスマートフォンが、通知で短く震えた。
彼女が愛読している、イラスト専門情報サイトからのプッシュ通知だった。
『企業キャラクターデザイン公募、本日開始! 最優秀賞は、賞金300万。採用後は当キャラクター監修確約』
芽衣は、背後から浩一に抱きしめられながら、その文字を食い入るように見つめた。
「どうした?」
「……ううん、なんでもないです」
芽衣は、浩一に画面が見えないようにスマートフォンを裏返すと、何事もなかったかのように微笑んだ。
だが、その瞳の奥には、浩一がまだ知らない、暗く、強い「野心」の火が確かに灯っていた。
「先生のコピーみたいに、絵が上手くなるのは嬉しいです」
芽衣が、ぽつりと呟いた。
「でも……時々、怖くなるんです」
「何が?」
「私自身の絵は、どこにあるんだろうって……。このままじゃ、私は先生のコピーでしかないみたいで」
コピーというのは、その通りだった。
浩一は基本の徹底を教え、独自の工夫を伝えて、彼女はそれをそのまま吸収し、再現することに専念した。
もともと彼女は、浩一の作品に強い憧れを抱いており、そこに近づくための努力のみを重ねてきた。
結果、彼女は浩一そっくりになった。
「僕の教え方のせいかな。でもこれからは自由に、君の描きたいものを描く。僕の指導なしにやれるはずだよ」
「先生の、ご指導を離れるの……いやです」
彼女は、浩一の胸に顔を埋めた。
「でも、このままじゃ、何のために絵を学んでいるのか、ちょっとわからなくなって」
浩一は彼女の言葉を、ごく素朴に、可愛い悩みを抱えているとだけ思って、あまり深くは考えていなかった。
だが、芽衣の中では、浩一の技術を吸収すればするほど、「自立したい」という渇望が芽生え始めていた。
それは、単身赴任中の夫から送られてくる生活費に頼るしかない現状、英恵という模範的な「妻」であり「母」である友人への劣等感とも結びついていた。
「君なら、プロになれるよ」
浩一が励ますように言うと、芽衣は小さく首を振った。
「でも、先生のコピーのままじゃ、ダメなんです……」
その時──。
芽衣が畳の上に置いていたスマートフォンが、通知で短く震えた。
彼女が愛読している、イラスト専門情報サイトからのプッシュ通知だった。
『企業キャラクターデザイン公募、本日開始! 最優秀賞は、賞金300万。採用後は当キャラクター監修確約』
芽衣は、背後から浩一に抱きしめられながら、その文字を食い入るように見つめた。
「どうした?」
「……ううん、なんでもないです」
芽衣は、浩一に画面が見えないようにスマートフォンを裏返すと、何事もなかったかのように微笑んだ。
だが、その瞳の奥には、浩一がまだ知らない、暗く、強い「野心」の火が確かに灯っていた。
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