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【第六部】長い夜の始まり
パパを守るから
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英恵は、キッチンから戻ると、ミネラルウォーターのペットボトルを浩一と芽衣にそれぞれ手渡した。
「……ありがとう」
浩一は、抜け殻のような姿でそれを受け取る。
「ルール変更ですね。今から改めて三十分、休憩しましょう」
英恵は、汗で湿ったルームウェアが肌に張り付くのを感じながら、寝室を出てリビングのソファに深く沈み込んだ。
時刻は、午前零時を回ろうとしていた。
(……芽衣ちゃん。あの子……)
英恵は、先ほどの芽衣の技術を思い出していた。
妻である自分の痕跡を、夫の目の前で味わうという尋常ならざる覚悟。
並の愛人の範囲を超えている。
浩一が、あの精神的な攻撃に抗えず、二度目の絶頂を迎えたのも理解できる。
(でも、勝負はまだ五分)
英恵は、懸命に戦況を分析していた。
その時、子供部屋のドアが小さく開いた。
「……ママ?」
パジャマ姿の娘、優奈が、眠い目をこすりながら立っていた。
「どうしたの、優奈。起こしちゃった?」
英恵はソファから立ち上がり、娘を優しく抱きしめた。
「……パパと、ケンカしてるの?」
「え?」
「なんか……さっき、パパ、おっきい声出してたから……」
浩一の絶頂の声が、娘を起こしてしまったのだ。
英恵は胸が締め付けられる思いで、娘の頭を撫でた。
「ううん、ケンカじゃない。大丈夫よ」
英恵は優奈を抱きかかえ、子供部屋のベッドに連れて行く。
「ママね、今、パパと、大事なお話をしてるの。これからのこと。……パパのこと、守ってるんだから」
「パパを?」
「そうよ。だから、優奈はいい子で寝ててね。ママが、ちゃんとパパを守るから」
「……うん」
娘が、再び小さな寝息を立て始める。
英恵は、その寝顔を見つめながら、決意を新たにしていた。
(そうよ……わたしは、浩一を守る)
あの狂った女からも、そして、夫自身の愚かさからも。
この日常と家庭を、守り抜かなければ。
英恵は、リビングに戻りながら、思考を巡らせた。
浩一の肉体は、あと何回、耐えられるだろうか。
二人がまだとても若かった頃、お互いを貪るように求めた拙い関係の頃。
彼は、一夜で最高三回まで経験したことがある。
だが、今の浩一はもう若くないし、精神的にも追い詰められている。
(だから……きっと、あと、一回)
次のわたしのターンで、彼のすべてを搾り取れば、浩一はもう芽衣ちゃんに応えられなくなる。
芽衣の次のターンで、彼のそれが硬くならなくなれば、それでわたしの勝ちになる。
英恵がリビングに戻ると、浩一が寝室から出てきた。
「……英恵。シャワー、浴びてきてもいいか。汗が……」
「ええ、もちろん」
「……芽衣さんも、使ってほしい。みんな順番に使おう」
浩一の提案で、三人は順番にバスルームを使い、汗と、互いの痕跡を洗い流すことになった。
奇妙な浄化の儀式だった。
芽衣が最後にバスルームから出てきた時、すでに日付が変わっていて、時計は午前一時を指そうとしていた。
延長を重ねた休憩時間が終わる。
英恵は、浩一と芽衣を、再びあの寝室へと促した。
「さあ、浩一。……わたしの番よ。今度はさっきみたいにしないわ」
英恵の目には、先ほどまでの妻の顔ではなく、獲物を仕留める狩人の光が宿っていた。
「……ありがとう」
浩一は、抜け殻のような姿でそれを受け取る。
「ルール変更ですね。今から改めて三十分、休憩しましょう」
英恵は、汗で湿ったルームウェアが肌に張り付くのを感じながら、寝室を出てリビングのソファに深く沈み込んだ。
時刻は、午前零時を回ろうとしていた。
(……芽衣ちゃん。あの子……)
英恵は、先ほどの芽衣の技術を思い出していた。
妻である自分の痕跡を、夫の目の前で味わうという尋常ならざる覚悟。
並の愛人の範囲を超えている。
浩一が、あの精神的な攻撃に抗えず、二度目の絶頂を迎えたのも理解できる。
(でも、勝負はまだ五分)
英恵は、懸命に戦況を分析していた。
その時、子供部屋のドアが小さく開いた。
「……ママ?」
パジャマ姿の娘、優奈が、眠い目をこすりながら立っていた。
「どうしたの、優奈。起こしちゃった?」
英恵はソファから立ち上がり、娘を優しく抱きしめた。
「……パパと、ケンカしてるの?」
「え?」
「なんか……さっき、パパ、おっきい声出してたから……」
浩一の絶頂の声が、娘を起こしてしまったのだ。
英恵は胸が締め付けられる思いで、娘の頭を撫でた。
「ううん、ケンカじゃない。大丈夫よ」
英恵は優奈を抱きかかえ、子供部屋のベッドに連れて行く。
「ママね、今、パパと、大事なお話をしてるの。これからのこと。……パパのこと、守ってるんだから」
「パパを?」
「そうよ。だから、優奈はいい子で寝ててね。ママが、ちゃんとパパを守るから」
「……うん」
娘が、再び小さな寝息を立て始める。
英恵は、その寝顔を見つめながら、決意を新たにしていた。
(そうよ……わたしは、浩一を守る)
あの狂った女からも、そして、夫自身の愚かさからも。
この日常と家庭を、守り抜かなければ。
英恵は、リビングに戻りながら、思考を巡らせた。
浩一の肉体は、あと何回、耐えられるだろうか。
二人がまだとても若かった頃、お互いを貪るように求めた拙い関係の頃。
彼は、一夜で最高三回まで経験したことがある。
だが、今の浩一はもう若くないし、精神的にも追い詰められている。
(だから……きっと、あと、一回)
次のわたしのターンで、彼のすべてを搾り取れば、浩一はもう芽衣ちゃんに応えられなくなる。
芽衣の次のターンで、彼のそれが硬くならなくなれば、それでわたしの勝ちになる。
英恵がリビングに戻ると、浩一が寝室から出てきた。
「……英恵。シャワー、浴びてきてもいいか。汗が……」
「ええ、もちろん」
「……芽衣さんも、使ってほしい。みんな順番に使おう」
浩一の提案で、三人は順番にバスルームを使い、汗と、互いの痕跡を洗い流すことになった。
奇妙な浄化の儀式だった。
芽衣が最後にバスルームから出てきた時、すでに日付が変わっていて、時計は午前一時を指そうとしていた。
延長を重ねた休憩時間が終わる。
英恵は、浩一と芽衣を、再びあの寝室へと促した。
「さあ、浩一。……わたしの番よ。今度はさっきみたいにしないわ」
英恵の目には、先ほどまでの妻の顔ではなく、獲物を仕留める狩人の光が宿っていた。
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