せめて1話だけでも。orz

RaRi/daruma

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1章 終末(週末)は君と。

6話 理

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「はいっておいで。ヤル」


「はい。失礼します」


 ヤルダバオトはそう言うと刀祢にだけ聞こえる小声で話し掛ける」


「さぁ、じゃあ開けるよ。くれぐれも失礼がないようにね」


「おう」


 刀袮は、緊張していた。それもしょうが無いだろう。今から会うのは、世界を創ったとされる神の代理、刀袮からしてみれば、まさに神そのものと等しい。

 そう思考しているとヤルダバオトが、ドアに手をかけ押す。


 ギィィィィィィ


 ドアか開くと、そこには見上げるほどの高さの本棚が、壁をおおっている。そして一つの机と椅子そこで、優雅に紅茶だろうか?を飲みながら本を読む一人の男。

 入るとすぐにヤルダバオトは片膝をつくと頭を垂れるので刀祢もそれに倣う。


「やぁ、ヤル。頭を上げていいよ。そちらの男性は最後の一人かな?」


 そう言うと男のきれいな黄緑色の長髪が揺れる。同時に刀祢とヤルダバオトは頭を上げる。


「はい、代理様、こちらが最後の一人です。それよりも聞いてほしい事がありまして」


「なんだい?」


 そう言って代理が、本を閉じるとテーブルに置く。


「母さ、、、ゲッケイジュ様が裏切りを」


「ん?」


 今までは、ポーカフェイスだったその男が、端正な顔立ちの、整った、眉を少し動かす。


「動いたか、しかし何故君は生きているんだ。少年」


 刀袮は、急に質問されて驚いた。


「えっ、僕は」


「今なんと?」


 突如として、ヤルダバオトが刀袮の言葉を遮り代理に聞いた。


「ん、まだ気づいていなかったのかヤルダバオト?」


「え、何を?」


「ふふふ、では教えてあげよう。」


 代理はにやにやしながら話し始めた。


「ヤルダバオトは気づいていないようだから教えてあげよう始まりを」


「ヤルダバオト、君は今回、何故このゲームが始まったか知っているかい?」


「そ、それはファースト様がお隠れになったのでその後継者を」


「確かにそうだとも、少しおかしいと思わないかい?なぜ、ファーストは自分で選ばなかったのか。そして、なぜそんな時にきみが地球から現人神として呼ばれたのか」


 ヤルダバオトは少し思考した後答える。


「確かに、では何故?」


「単純なことだ、ファーストは、言った。自分の変わりは他の神から選ぶ。そしてその神に新しい世界を作らせるとね。そしてその審判を私が担っている」


「つまり、終末神話大戦〈ラグナロク〉」


「そのとうりさ」


 一言、しかしその言葉は重い。しかしヤルダバオトはあくまでも冷静に質問する。


「それでは、何故貴方は、私を呼んだのですか?」


「ふふふ、君はね。最初の余興だよ。」


「余興、まさか」


 そう驚いた様に声を上げる。


「気づいたか、この世界はすでに破綻しているんだよ。だからやり直す。それだけのことさ」


「確かに、私が呼ばれた理由もわかりましたし、皆が争う理由もわかりました。しかし、、、いや、そうかそうゆうことか」


 ヤルダバオトの、頭の中で全てのピースははまり完成する。

 するとヤルダバオトは床にへたり込む。


「僕は、利用されたんだ」


 そう言うと、ヤルダバオトは何も語らず、諦めムードで、うっすらと涙を浮かべる。

 その表情を見るや否や代理は破顔し手をたたき喜ぶ。


「ははは、はははは、はははははははは、ごほっげほげほ」


 笑いの三段活用は完璧だが最後にせき込む。


 刀祢は盛大にせき込む代理を無視してヤルダバオトに無視する。


「おい、ヤルダバオト。俺には何が起きてる正直あんまわかんねぇ、でもなお前の価値を他の人間に、いや他の神かな?知らねえけど、他のやつに決めさせんな。お前の価値はお前が決めろ」


「ふふふ、もうすぐ消えると言う命なのに、つくづく面白いね人間」


 刀袮は、代理とは仲良くなれないと思う。


「おい、代理。俺はお前に交渉したいと思っている」


 そう言うとヤルダバオトが足にしがみつき「もういいよ」と言ってきた。

 それに、刀袮は、答えた。


「俺はな、お前のためだけでは動かないぞ。これは俺のためでもあるんだからな。それに乗りかかった船だ。毒を食わば皿までって言うだろ?」


 すると代理は喜びながら答える。


「いいよいいよ。君は僕に何を提示してくれるのかな?面白ければ許可してあげるよ。」


「俺の提示するものは、こいつと俺の命、あとはお前の感情だよ。」


 そうゆうと代理はその整った顔立ちに微苦笑を浮かべながら回答する。


「うーん、交渉としては60点かな。君とヤルダバオトの命は交渉材料にはならないよ。でもその僕の感情だったか。それは気になるねぇ」


「俺は詳しいことはよくわからないけど、要するに終末神話大戦〈ラグナロク〉に勝てばいいんだろ?」


「フフフ、人間とはつくづく馬鹿だねぇ。きみぃ無知は罪だよ。まぁいいや、君の馬鹿さに免じて許してあげるよ。でもさぁ、何に勝つかわかってるの?」


「さぁ」


 刀袮は、正直なところ相手はあらかた予想がついていた。しかし確信は持てなかったのだ。


「相手はね神だよ。それも〈世界持ち〉のね」


「じゃあ、お前俺になんか能力とかくれよ」


「「え?」」


 代理とヤルダバオトの言葉がかぶり代理が続ける。


「君、図々しいね」


「だろ」


「まぁ、でも元々、弱いところにはあげるつもりだったんだよ。たしか君は№3の地球出身だよね?あそこは今回の終末神話大戦〈ラグナロク〉の中で、一番弱いんだよ。だから君たち20人には能力を、あげよう。最も今は、君しか生き残っていないだろうけどね」


「そうかよ。まぁそれは願ったりだな」


「ふふふ、ほんとに面白いね人間は、まぁ後の、詳しい話はヤルダバオトから聞いてね。じゃあね、面白い人間。期待しているよ。せいぜい死なないように頑張って」


 そう代理が言った瞬間視界が真っ黒になり突如の浮遊感その後一瞬とも刹那ともとれぬ時間のすえ、先程の場所に戻っていた。

 するとヤルダバオトは立ち上がり刀袮に頭を下げた。


「刀袮、ほんと巻き込んでごめんなさい。でも本当にいいの?」


「まぁ日本にいい思いでないしな。それに今死ぬか、後で死ぬかの違いだろ?」


「とりあえず日本に行って作戦でもきめようか。刀袮の能力確認もしたいし」


 そう言ったあとにワープする。

 すると日本の主要都市の駅に戻ってきた。しかし戻ってきた日本は、車は横転し民家から火の手があがり人は死亡していた。

 まさに地獄絵図、阿鼻叫喚そんな言葉が似合うほどに。

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