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りっくんは僕達の様子を見て、一度ため息をつきポケットに入っていた携帯を取り出した


「なんか臣くん頑固そうだから、俺また出直すね
ちょうど呼び出しもかかってるし」


呼び出しとはあの人たちのことだろうか
一体何の呼び出しなのかほんの少しだけ興味が湧く


「わかってないね
俺が頑固なんじゃなくて、あんたが頑固なんだよ
いつまで千秋先輩のことひきづってんの」


ノンケである臣を可能性がないと分かっていながら追っていた僕だから、りっくんの気持ちがわからないわけではない

だから、その言葉が少し辛辣に感じた


「臣、言い過ぎだって…」


「言い過ぎじゃないでしょ」


「ちぃ、優しいね
好きだよ
やっぱり俺たち付き合おう」


りっくんは僕に近づき抱きしめようとしてくる



「付き合わないし、触んな」


「臣くん、段々本性見えてきたね
おもしろ
じゃあ、俺行くね
ちぃ、また明日にでも会おう」


またもや、手を伸ばされるもの臣の鉄壁のガードによりそれは阻止される


「あとさ…キスしたことは忘れないでね」


「え!!!ちょ!!」


「は??????」


やっとりっくんがこの場を離れて少し状況が落ち着いたと思ったのに、最後に大きな爆弾を投下されて、僕の額からは冷や汗のようなものが滲み出てきた

りっくんはそのことを説明することもなく、この場を離れていってしまう

こら!言い逃げしないでよ!!
今にでも叫んで文句を言いたい気持ち


「キスって何???」


「あの…りっくんってイギリスに住んでて」


「海外住んでたとか関係ないから
何で出されてんの??」


「あれは本当に…不意打ちで…」


「……どこにされた?」


臣は冷たい目をしながら、僕の首元を手で撫でた後、洋服の襟を少しだけ引っ張りどこかに証拠が残ってないかと探し出す


「あのさ、口にされた??」


「え…いや…それは…」


「口にされたんだ」


「違うっ…とも言い切れない」


「どっち???」


僕の背中をコンクリートの壁に押し付け
腕の間に僕を閉じ込める

 
「く、口…」


「はあ…さいっあく」


「ねえ…臣…
こんなことお願いするのはおかしいかもしれない
いや、すごいひどいこと言ってるかも知らないけど……!」


「うん…なに?」  


「……お、臣に上書きして欲しい…」


その言葉を言った途端、2人の間に沈黙が流れる
やっぱり、こんなこと突然いうのおかしいよね…
他の人にキスされといて、上書きして欲しいなんて…


「はあ…ほんとに困った先輩だね」


「ご、ごめん……!」


「そのかわり、キスされた場所も触れられた場所も全部教えて」


臣は僕の手を取ると、指先一本一本に口付けて、最後に僕の唇へ優しく触れるようなキスをした


「俺のそばから離れないで…絶対に…
今更離せないから」


「うん!!」


「返事だけはいいね?
じゃあ、俺の家くる?」


「うん!行く」


やっぱり、僕は調子のいいやつだ
どんなに誰に言い寄られようと僕は臣から離れられない
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