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しおりを挟む「誠は臣の家に遊びに来たんじゃないの?
いいの?僕と帰って」
「ん?いや、別に
誰もいないようならゆっくりしようかと思ったけど、誰かいるみたいだし
俺、実は人見知り」
「…ごめん」
「何で謝ってんの?
謝ることなんてないっしょ」
誠は僕に事情を聞くわけでなく、僕の頭を2回ほどポンポンとなでた
帰って来ちゃったけど、臣怒ってるかな…
こんな形で僕たちは終わるのかな…
あんな態度をとってしまった後だし、臣の話も聞かずに帰って来てしまった
今更後悔しても遅いということをわかっているけど、臣のことが気になって仕方ない
「先輩」
「ん?」
声をかけられたため誠に目を移すと、ユラユラと揺れる前髪の隙間から誠の端正な顔がこちらを向いていた
「なんか飲み物でも飲む?」
誠が指差したのは近くにあった自販機
あんなに騒いだ後だから、少し喉も乾いたし、ちょうど良かった
「じゃあなんか飲もうかな」
自販機の前に立ち、一通り飲み物を見ているとミルクティーが目に入った
なんとなくミルクティーが飲みたい気分になってお金を入れようとすると、背後からいい香りがして誠の手が僕の手の上に被さる
何も言わずに誠はもう片方の手で200円を自販機の中に入れてしまった
後ろを振り向いて身長の高い誠を見上げると、なぜか口角を緩めた
「え、いいの?」
「ん、いいよ
選んで
後で請求するけど」
誠の不器用な優しさに思わず笑顔が浮かび、誠の腕を軽く叩いた
「なに笑ってんの
かーわいい」
誠は口角を上げると、笑う僕の頬に手を伸ばすと、上がった頬を二本の指で摘んで揺らした
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