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友達とは?(高校時代)
しおりを挟む河田くんと友達になることができて浮かれていた僕は、河田くんとの接近を試みた。
朝
「あ、河田くん、おはよう」
「…」
昼
「また会えるなんて嬉しいな
河田くんはお昼ご飯ってなに食べたの?」
「…」
放課後
「河田くん、良かったら帰りにカフェにでも行かない??」
「…無理」
「あ、でも少しなら」
「彼女待ってるんで」
こんなような会話が毎日のように繰り返されて、僕はついに限界が来た。
「ああーーーーーーー
もうだめだあーーーーーーー!!!」
ことごとく振られボロボロになってしまった体をふらつかせながら歩き、教室に入る。
教室の中には今日、一緒に帰ることを約束していた数少ない友達の雅也が足を組んで手元のスマホへと視線を落とし、素早く指先を動かしている。
雅也以外の人がいないことをいいことに、大声を出すと雅也は大きく肩を震わした。
「うるせえよ!!」
「ごめん…」
「用事終わったん?帰るぞ」
雅也は机の上に置いてあったリュックサックを手にもち帰ろうとするが、愚痴る気満々の僕はお構いなしに雅也の前の席に座って、雅也にも座ることを目で促した。
雅也は面倒くさいと言いたげな顔をしつつも、ため息をついて僕の目の前に座る。
「好きな人に何回アプローチしても答えてくれない」
「あー、お前が前から言ってるお熱な子??」
「そう…」
雅也には好きな人の性別は告げていないため、当然のごとく女の子だと思っているようだ。
「てか、また告白したのかよ!きも!!」
雅也は僕の言葉を聞くと目を丸くして、何のオブラートにも包まず瞬間的に暴言を吐く。
これが世間の意見というものだということはわかっているけど、気持ちにストップが効かない。
友達関係でいいと言ったのは自分からではあるが、やっぱり河田くんと付き合いたいという気持ちは変わらない。
さりげないアプローチはしているのだが、河田くんそれに全く動じないどころか、最近は相手にもしなくなった。
彼に友達の定義を是非とも問いたい。
僕の中ではもっと話したりするものだと思ってた。
「告白はしてないよ!!けど、見るたびに好きが増していって抑えられない…」
「千秋ってさ、見た目地味なくせに意外とやること大胆だよな」
「見た目地味は余計じゃんか…」
「だって地味なことこの上ないじゃん」
何の反論も出来ない。
そんな雅也の容姿は一言で言ってしまえば、普通だ。ダークブラウンの髪に細いフレームのメガネ、顔はというととにかく普通だ。
僕みたいに容姿がひどいわけでもないが、イケメンと言えるほどの容姿ではない。
目立った良いところでいえば厚めの唇がほんのすこーーし"セクシー(棒読み)"といったところだろうか。コミュニケーション能力が高く、上層ともうまくつるんでいる。
クラスでは中間層あたりに位置しているが、最下層である僕にも優しくしてくれる良いやつだ。
進級した際に、席が前後になり、その時ハマっていたアニメの話をしたところ意気投合した。
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