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しおりを挟むそこには舞さんが立っていた。雅也が舞さんの元へと歩み寄っていく。
「舞、どうした?誰かに用でもあんの?
それとも俺に用があんの?放課後ならあいてるけど」
「誰があんたを誘うの?」
舞さんは刺々しい言葉を吐いた後、僕へと視線を移す。
「千秋」
「どうしたの?舞さん?」
「ちょっときて」
袖を引かれて廊下へと連れて行かれてる。周りを見渡すと静かに話し始めた。
「あの…今日って空いてる?」
僕の袖を掴みながら上目遣いで聞いてくる。
舞さんの噂をする男たちが小さくて愛らしくて守ってあげたくなるということを言っていたけどよくわかるような気がする。
「今日?
ごめん、今日は図書委員の当番になってるから空いてないんだ」
「そうなんだ…」
「ごめんね、また別の日にでも」
「わかった…
でも、ちょっとだけ…」
舞さんは小さく呟くと、僕の腰の周りに腕をゆるく回して少しだけ体を寄せてきた。
「ま、舞さん??!どうしたの??!」
「別になんでもない」
一瞬だけ腰にまわる腕に力を込めたかと思うとすぐに離れていく。
「じゃあ、またね」
戸惑う僕をおいていって、舞さんは肩を落として廊下を歩いていく。
一体どうしたのだろう。嫌なことでもあったのかと心配になる。それになぜ抱きついてきたのだろう。
疑問が残ったまま教室に戻ると、雅也に何を話したのかしつこく聞かれた。けど、舞さんみたいな人が僕みたいなやつを誘って、それだけじゃなくてその誘いを断ったなんて知られたら変な噂が流れそうだと思ったため何も言わなかった。
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