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しおりを挟む「あー、いい夢見てたのに、一瞬で地獄だよ…」
外に目を向けてみるとオレンジ色に染まっていた。
「ふうん、どんな夢?」
「え?」
突然話しかけられた驚きで椅子が後ろに倒れそうになる。
痛みが襲ってくる恐怖で目を閉じるも、痛みは襲ってこない。
「っぶな…」
小さくつぶやかれた声の方に振り返ると、そこには河田くんがいた。
倒れそうになった椅子の背もたれを支えて戻してくれる。
「えっ?ど、どうして…?
ま、また忘れ物でもした?」
僕は動揺を誤魔化すために普通に話そうとするけど意識すればするほど吃ってしまう。
「何で来たと思う?」
「だから忘れ物を…
ちなみにいつからここにいたの?」
「ついさっきここに来たらあんたが寝てたんで
じっと見てました」
「起こしてくれればいいのに!」
「なんか幸せそう顔して俺の名前を寝言で言ってたんで」
「え?!嘘!?声に…」
顔の温度が一気に熱くなっていく。
まさか寝言まで言って本人にそれを聞かれているとは…
「嘘です」
「嘘なの!?」
まるで河田くんの夢を見ていたことを肯定するかのような反応をとってしまった。
「帰ろうとしたら待ってとも言われたんで、ここで待ってました。」
「そ、それは…」
「よっぽどいい夢見てたんですね」
「だからそれは違くて…
いいから早く何しに来たのか用事教えてよ」
「あなたに会いにきたんですけど」
「え?それはどういうこと…?」
僕の腕を掴み立ち上がらせると、壁際まで連れて行かれて壁に背中を押しつけられる。
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