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家以下の存在ですか??
しおりを挟む「伊織様…いかがなさいましたか」
「恵麻ちゃん、何やってるん?」
「え?」
伊織は恵麻に歩み寄り、両肩に手を置く
ただ手を置かれただけなのに恵麻の触れられた部分が熱を持ち始めた
その恵麻の反応が2人の間に普段どれだけスキンシップがないのかという表れになる
「どこぶつけた?」
「えっと、腕と肩を…」
伊織が心配して、さっきの女性を放ってまでこっちにきてくれたのかと思うと喜びから徐々に口角が上がっていく
やっぱり伊織様は優しい…そんなことを思ったのも束の間
「誰が恵麻ちゃんの状態聞いた?
恵麻ちゃんの心配なんかしとらんねん
家のどこに体をぶつけたか聞いてるんやけど」
「あ…えっとそこの柱に…」
伊織は柱に近寄り、コンコンとたたきながら建て付けを確認しているようだった
恵麻の期待は一瞬で崩れて、上がりかけていた口角は綺麗に下がっていく
"私より家が大事ということ…??"
「家のどっか傷つけたんかと思ったわ
俺の連帯責任にされても困るしな」
伊織は長い腕を伸ばして背伸びをすると、恵麻の傷は気にすることなく部屋の中へと戻っていった
着物の袖を捲ると、ぶつけたところには紫色のアザが出来上がっていた
まるで、現在の自分の心の色が映し出されているかのよう
「私が異能を継いでいればこの傷も簡単に治せたかもしれないのに…」
恵麻の小さな独り言は伊織達の部屋の中からの音によって掻き消される
アザを服の上からさすりながら恵麻はフラフラと歩き台所へと向かい、夕飯の準備を始めた
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