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貴方の胸の内
しおりを挟む「い、伊織様
おはようございます」
恵麻は電話していたことの気まづさを感じながら伊織に遅れて挨拶をする。
昨日のこともあり直接、目を見ながら話すことができず、床に視線を落としながらチラチラと伊織の様子を伺うも、怒っているような様子もなくむしろ微笑んでいる。
「おはようさん
昨日は楽しかったなあ
2人で出かけることもできて、ちょっとしたデートやん
恵麻ちゃんは楽しかった?」
「えっと…」
「でも、最悪な夢は見たなあ
恵麻ちゃんに嫌いって言われる夢みてもうたわ」
恵麻はその言葉にギクッと肩を揺らす。
伊織は恵麻を背中から抱きしめる。
楽しかったと聞くのは皮肉の意味で言った言葉だ。
「あの、伊織様
私はなぜここに…」
「なぜここに…ってもう一回自分の立場わからせた方がええ?」
「私はもうここにいるような資格が…っん」
資格がないそう言おうとした瞬間、伊織が恵麻の顎に手をかけ強引に振り向かせると唇を重ね合わせる。
人生初の口づけに恵麻は目を見開きながら何度も大きな瞳を瞬かせる。
「資格なんて必要ないやろ
俺が恵麻ちゃんを好きやからここにおるんやろ」
「ああ、なるほど…好きだから…って…え?!?!え??!」
「うっさいねん
耳元で叫ばんといて」
伊織は両耳を手で塞ぎ、迷惑そうな顔をして、恵麻の額にデコピンした。
「いたっ!」
恵麻が額を両手で押さえると、伊織はその手を掴んだ。
「伊織様?」
「軽くやったつもりやったけど痛かった?
恵麻ちゃんもろそうやもんな、体も心も」
そのまま恵麻の手をどけると、額にキスをする。
先ほどからの伊織の行動に恵麻は困惑の表情が浮かべる。
「恵麻ちゃんは?俺のこと好き?」
恵麻の頬を手のひらで包み顔を覗き込みながら見つめてくる伊織に対して、何度も首を縦に振ると、伊織は満足そうに笑みを浮かべる。
指先は恵麻の頬に添えて、猫を撫でるように撫でる。
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