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しおりを挟む『俺は君のことがすごく好きだよ』
『私も好きだよ』
休日、特にすることもなくいつまでもパジャマのままスマホでネットの恋愛ドラマの配信をスマホで眺める。
私は恋愛をしたことがないものの乙女ゲームとか恋愛漫画とか、恋愛小説の類が大好きだ。
それは自分では叶えられないようなロマンチックな要素が詰まっているからなのかもしれない。
いつしかそんな恋愛をしてみたいなんて夢を見ているけど、叶う様子は今のところ全くといっていいほどない。というか、来世に期待くらいの感じだ。
ドラマを見ていると画面の上部にメッセージの通知が届いた。
ドラマを一時停止させ、アプリを開いて内容を見てみると友人の優香からの連絡だった。
“ねえ、今日の夜って空いてる?”
いつものことながら突然だなと思いつつも特に予定はなかったため、優香に“空いてるよ”というメッセージを返信するとすぐに返事が返ってきた。
“じゃあ会おう!いつもの場所集合!”
優香は学生時代からの友人だ。今でも頻繁に顔を合わせているからいつもの場所といわれれば通じる。
その日の夜。
優香といつものご飯屋さんで合流し話に華を咲かす。そこで優香の彼氏の愚痴が漏れた。
「あいつ、本当にありえない!
この前も約束ドタキャンしたんだよ??しょっちゅう体調悪いって断ってくるし、そろそろ入院でもしろっておもうんだけども?!」
「それはひどいね」
優香は美しい見た目もさることながら、明るく少しサバサバした性格が、話しやすいと男女問わず学生時代から自然に周りによく人が集まるような子だった。
彼氏が途切れることなんてほぼない。恋人がいたとしてもお構いなしで男子から告白をされていた。
そんな優香と私はたまたま同じクラスで前後の席だったという理由から仲良くなった。学生時代はまさか優香みたいな陽キャと大人になっても関係が続いていると思わなかった。
28歳にもなって恋愛経験がない私は優香の恋愛トークに共感できるわけではないため、ひたすらそれっぽい相槌を打つことしかできない。
優香に怒られそうだけど、話を聞いてる限り、彼氏がいるだけ幸せじゃないかという言葉を投げかけたくなる。
「そういえばさ、ユイは気になる人とかいないの??」
私に恋バナなんてあると思うのか。今までもそんな話をした覚え無いのに、酔いが回り始めると毎回この質問をしてくる。
「全くないよ、ひたすら仕事ばかり
忙しくて恋愛どころじゃないかも。それにこの見た目だし」
冗談めいた口調で言うけど、こんなのは言い訳だ。こんな自分なんかじゃ恋愛できないなんて、すでに諦めている。
私の丸っこいボディに冴えない地味な見た目。元が悪いのだからオシャレしたところで何も変わらないのだから。
「ユイはさ自信がないだけでしょ。女は磨けばなんとかなるんだから。世界だって変わるよ。
私はあんたの小さい頃のアルバムを見て私は可能性を感じた。」
学生時代、優香が私の実家に遊びに来たとき、本棚にあるアルバムを発見した。見てもいいかと尋ねられたため了承の返事をしたところアルバムを見た優香が興奮した様子で尋ねてきた。
”え?!嘘でしょ?!これあんた?!”と聞かれてアルバムをのぞいているとそこに映っていたのはバースデーケーキの前で幸せそうな笑みを浮かべるほっそり体型の私だった。
写真の下には母が書いたと思われる"ユイ、8歳のお誕生日”の文字があった。
異変があったのは中学生時代。
受験や部活のストレスで食べることしかストレス解消法がなかった私はとにかく食べた。
みんなの前では少しの量食べて、家に帰るとご飯やお菓子を大量に食した。それからこのような体型になってしまったのだ。
「垢抜けたらすごい可愛いだろうに」
「私は優香みたいに元がいいわけじゃないから。優香が可愛いって言ってたのも小さい頃だし…」
優香の一言一言がグサグサと突き刺さる。
下を俯き自分の服装、出っぱったお腹を見つめる。
世間でいう冴えない女ってやつなんだろうけどファッションもメイクもよくわからない。
「優香は羨ましいよ、美人だし性格に愛嬌があるから」
「素材はいいって何回言えばわかるのよ。
そのネガティヴな性格にも問題あるかもしれないけど。もしイメチェンするんだったらいくらでも手伝ってあげる。」
優香は手元のグラスを取りワインを勢いよく飲み干すと、ほんのりと赤く染まった顔で私の顔をじっと見つめた。
「恋とかすれば変わろうと思えるんだろうけどねえ」
「恋かあ…」
そのとき、今まで男子たちに言われた言葉を思い出す。
"隣歩くだけで笑われそう"
“お前、学年で1番デブでブスだよ。知ってる??”
”女で残念だな、男なら力士として活躍できたのに”
学生時代にクラスの一軍男子たちから言われた言葉が未だに頭をよぎる。
席が隣になった男子にばい菌扱いされたり、キャンプファイヤーの時は手を繋がれなかったり、見た目が悪くて太っているとこれほど酷い扱いを受けるんだショックを受けた。
それ以来、男性に対しても苦手意識を感じるようになったため、高校と大学は女子校を選んだ。
無意識に恋というものを避けていた。男の人にまた酷いことを言われるのではないかと怖くなってしまったのだ。
「恋したい?」
テーブルに肘をつき顎に手を当てながら首をかしげる優香。
恋したいかと聞かれると私は返事に迷ってしまう。
恋はしたいけれど、自信がない。そもそも自分なんかと付き合ってくれる人などいないだろうという考えがよぎる。
「自信ないな…」
私がいまいち乗り気でない姿を見た優香は何かを思い出したように両手を合わせる。
「あ!だったら私がいい事提案してあげる」
「いいこと…??」
優香はカバンからスマホを取り出すと何かを打ち出す。
「ねえ、ユイ
来週の土曜日って暇?」
「午後からなら空いてるけど…」
「よしっ!じゃあ決定!」
「何が決定なの?」
「今度、年下のイケメン達との合コンを開催したいと思いまーす!!」
「へ??」
1人で拍手して盛り上がっている優香に対して、私は困惑してしまう
「ご、合コン???!!」
静かな店内で思わず大きな声が出てしまい、両手で口を塞いだ。
自分は合コンなんて一生縁がないと思っていた。しかも、イケメンなんて一番苦手な部類だ。絶対、私なんかが眼中に入れてもらえるわけがない。しかも、眼中に入れてもらえないどころか散々いじられる、悪口を言われるなどの酷い目に合うことが目に見えている。
「あの…何?合コンって」
「合コンって男女がコンパするとこじゃん」
「そんなことは私でもわかってるって!!」
いくら恋愛経験がないからといって、合コンの意味までわからない思われていた私は自分が情けなくなる。
「冗談、冗談。
この前、バーで知り合いと飲んでたら隣で呑んでた学生イケメングループと意気投合しちゃって」
「え?!相手は学生なの??!」
「そうだよ、大学4年生 !
可愛くない?!
あの子たちと話してたらたまには年下もいいなとか思っちゃった」
可愛くない??と言われてもいまいち共感できない。
大学4年生ということは何らかの事情がない限りはまだ21~2歳ということだ。
私たちとは結構な年齢の差がある。
「でも、優香彼氏は?」
「あんなやつどうでもいい
もう別れるつもりだし」
別れるなんてそんな簡単に決めていいのか。
優香のことだからまたすぐ彼氏ができるだろう。
普通の人だったら大学生なんて年齢差を考えて無理だろうという思考になりそうだが、優香なら簡単に手に入れてしまいそうだ。
私みたいな人が参加していいものなのか。
”学生の年下イケメングループ“
私にとったら負担が大きすぎて、一気に心労を覚えた。
「あの、私は家でおるす」
「とりあえず、そういうことだから来週はお洒落してきてね!」
優香は私の言おうとしていた言葉を悟っていたかのように、言い切る前に言葉を返してきた。
強引に勧められた合コンの話。断る隙も与えられない。
全然参加する気なかったのに、優香がどっちにしろメンバーを集めるのが面倒だからその場にいるだけでもいいからいてくれとのこと。
要は人数合わせ。
適当に集めればなんとかなりそうなのに…何で私が。
これはいつまでも恋愛に積極的になろうとせず、うじうじしている私に対しての神から制裁なのだろうか…
全く気は進まないけど、優香が今度美味しいご飯屋さんに連れて行ってくれるという条件を出されたため、花より団子の私はその条件を渋々飲んでしまった。合コン中は心を殺そうと誓う。
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