冴えない女なのに美男子に言い寄られてます。

ぽぽ

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そして合コン当日。

優香と待ち合わせして、一緒に合コン場所へと向かう。本当は現地集合だったけど、いつ男の子たちがくるかわからない状況下でその場に1人で待つ度胸はない。

メンバーは3人らしく、優香、優香の会社の同僚、私といったメンバーだ。
待ち合わせ場所に行って驚いたが、正直、優香と同僚は軍を抜いて綺麗だった。


「初めまして、優香の同僚のサキです」

「あ、初めまして…佐藤ユイと申します…」


美女二人の横には特におしゃれをしてこなかった、いや、お洒落な服を持っていなかった私は見事に浮いていた。

2人に声をかけようとした男性たちが私の姿を見て諦めていく姿が目に入り、居た堪れない気持ちになる。

いつのまに彼女たちのボディガード的な役割を果たしていたようだ。

待ち合わせ場所に到着した私の姿を見た優香は不満気な顔を浮かべ、「だから私の服貸してあげるって言ったのに」なんていうけどあんたの服が私に入ると思うのかと問いかけたかった。

お店に向かうにつれ、緊張を覚えてきて心臓の鼓動がドンドンと速度を増していく。
一方の二人は緊張する様子なんて一切見せることなく、前をずんずんと進んでいってしまう。

 
「あ、環くんだ!おまたせ!」

「いえいえ、全然待ってないですよ」


合コン予定の店の前で待っていたのはびっくりするほどの美男だった。

スタリッシュで高身長。一体、何等身あるのだろう。身長は180cmは軽く超えていそうだ。私が人生であってきた人の中でトップレベルの美男だとは思う。
通りすがる女性たちも彼の方をチラチラとみている。
 
"すごい、超イケメンいた"
"え?めちゃくちゃイケメンだから芸能人かも!?聞いてみる??"

女の子達のそんな声が聞こえてくる。
整った眉にアーモンド型をした切れ長の目に長いまつ毛、スッと通る鼻筋、顔の輪郭までも美しい。引き込まれるような魅力がある。
とんでもない美形だ。

イケメンとは聞いていたけどイケメンすぎる人が来るとは聞いてなかった。


「どうも、はじめまして
伊藤環いとうたまきです」


伊藤くんは初対面である私たちの方にむいて軽く頭を下げる。なんてかっこいいんだろう。
ここまでカッコいい人を間近で見たことなかったため、かなりの緊張感が走る。

間近で私の顔を晒すのも失礼だと思い、咄嗟に目を逸らしてしまった。


「はじめまして…
佐藤ユイです…」


軽く頭を下げると、伊藤くんは微笑んで軽く頭を下げてくれる。今までの経験からてっきり私だけに冷たい対応とかしてくるものかと思っていたのにそんなことはなかったようだ。


「じゃあ、もうメンバーは揃っているので中に入りましょう」


スムーズに案内してくれる伊藤くん。
伊藤くんの後ろを歩いていると彼からはシトラスのような爽やかな香りが漂った。イメケンは香りも別格らしい。

伊藤くんに案内された個室に着くと前の席に座っていた人たちを見て目を疑いたくなった。
先に待っていた二人もとんでもない美形だったからである。

まるで芸能界の会食にでも呼ばれてしまったような感覚に陥ってしまった。

伊藤くんでも充分すぎるくらいの衝撃があったのに。それと同じくらいの衝撃がまだ待っているなんて。

私はこの美男美女のキラキラ空間に耐え切れるのか。背中に緊張と焦りの汗が伝う。明らかに私だけ浮いている。
今すぐこの場から逃げ出したという気持ちに駆られた。これほどのイケメンたちなのだから絶対ハズレだと思われていることは確かだ。


「え?!みんなカッコいい!」

「ねえ!すごい!」


優香と優香の同僚は明らかにテンションが上がっていて、二人で楽しそうに手を合わせてはしゃいでいる。


「さすが、環くんの友達!」

「喜んでもらえて良かったです。」


全員席につき、もう一回目の前の男の人達を見るけど、やっぱり直視ができない。

目があったら固まってしまうかも。いかにもイケている集団であるため、学生時代の私を馬鹿にしていた男子集団を連想して、また馬鹿にされるのではないかという恐怖心まで湧いてきた。

早くなりそうな呼吸を整える。
その間にも自己紹介が始まる。


「伊藤環です。
今は大学四年生の二十一才です。今年二十二才になります」


今年で二十二才なんて既に自分とは六歳も歳が離れている現実が痛々しい。
何で私はこの場にいるんだともう一度自分に問いたくなる。一刻も早く帰りたい。
そしてその隣にいた男の子。


「どうも、はじめまして。
中野蓮介なかのれんすけです。俺も21歳で今年22になります。
環と同じ大学に通ってます。」

「蓮介くん、超かっこいい…」



優香の同僚の子は既に蓮介くんに対して好意を抱いているようで心の声がダダ漏れになっていた。
蓮介くんの髪色は白に近い金色で、色白で彫りの深い目元や高い鼻、唇には少し厚みがあり泣き黒子が色気を誘う。目の色素が青っぽいことから、おそらく外国の方の血が入っているのだろうと感じた。


「ちなみにここにいる二人は芸能関係の活動してるっすよ。特にモデルとか。」


まだ自己紹介をしていなかった男の子が伊藤くんと蓮介くんを指差す。


「えー!!2人とも芸能活動もしてるんだ??すごーーいっ」


サキさんは黄色い声をあげる。

 
「いや、俺は本当にたまにかじるくらいで蓮介ほどのレベルじゃないです」


伊藤くんはそう言って謙遜するけど、二人とも顔のパーツが本当に整っている。
ふと、蓮介くんの耳元を見ると痛々しいほど何個も空いていた。
見た目だけで人を判断することはいけないことだけど、結構遊んでいるのだろうかなんて印象を勝手に持ってしまった。


「どうも、葛原裕也たなかゆうやです!
俺も環たちと同じ大学です!
同じ大学だけど、友達繋がりでこいつらとは知り合いました!」


彼もまた顔面が見事に整っていて、どちらかといえば可愛らしい顔立ちをしていた。笑うと八重歯が覗く。

そんな可愛らしい印象の田中くんは派手目なプリントがされた黒いTシャツに細身の黒いスキニー。
そして、首元には翼の刺青が刻まれていた。ビジュアルバンドのメンバーにいても違和感はないだろう。

話を聞いていくと、彼らは有名大学に通っていて、顔と頭の両方がいいという実に恵まれた人達だった。
私とは縁のない人達だ。

もし、いい人がいれば恋愛とかもなんて数時間前の浮かれた頭をしていた自分を叱ってやりたい。
こんなの無理に決まっている。所謂“無理ゲー”だ。
 
私みたいな女とイケメンが付き合うというのは二次元ではあり得ても現実で起こるわけがない。それこそ転生しないとそんなことは起こらないだろう。
一瞬にしてこの合コンから希望が消え去った。

その後、お酒なども入り会話は盛り上がって行くけど私はもちろんその会話に入れない。
男性慣れしてなくて、さらには人見知りを発揮して、自己紹介以降一言も話せずにひたすら飲み物を飲んでいた。

男性側も、私なんかに話しかけてくる事はなく優香たちとの話に夢中になっている。私なんて眼中にあるわけがないのだ。伊藤くん以外一度も目も合っていない。

いっそのこと空気になってしまいたい。
そんなことを思いながら、目の前のポテトフライをひたすらつまんでいると、隣からあの爽やかな香りが漂った。


「お酒なくなってますね
なんか頼みますか?」

「あ、ありがとうございます…。」


突然のことに吃ってしまった。
私の隣に座って、自然とメニューを渡してくる伊藤くんの姿がそこにはあった。


「こういう場所って何だか緊張しますよね?」

「は、はい!」

「実は俺もあんまりこういう場になれてないんです。」


目尻を下げて笑顔を浮かべるその姿が美しいなんて感じてしまう。
私とは住む世界が違う人だなんて少し警戒をしていたけど、ほんの少しだけ安心感を覚えた。


「私は今回合コンというのに参加するのが初めてで、とても緊張していて…」

「そうなんですね。あのよかったら全然タメ口で話していただいて大丈夫です。」

「あ、は、はい!!わかりましたっ!」


タメ口で話してと言われたのに早速敬語で返してしまうと、また笑顔を浮かべる彼。
私はその笑顔が眩しすぎて目を細めたくなる。
それにしても優しいな、こんな私に話しかけてくれるなんて。

一方、田中くんと蓮介くんは私には話しかけず、他の2人と話すことに夢中になっているよう。
これが当たり前の反応のはずだ。

そんな中で私に話しかけてくれる伊藤くんに余計感謝が湧いてくる。


「あの…ありがとうございます。気を遣っていただいて…」

「え?突然どうしたんですか?
俺何にもしてないですよ」

「いえ、充分ありがたいです」

「そうですか?じゃあ、どういたしましてが正解なんですかね?」


伊藤くんはその後、何度か話を振ってくれたけど緊張から私が単調な返事しか出来なかった。伊藤くんはそれでも話を振ってくれた。
申し訳ない。気を使わせてしまっているという気持ちはありつつも少し嬉しかった。


「ちょっとユイ!」


単調な返事ばかりしていると、優香に小声で呼ばれる。


「もっと会話を盛り上げないと!」

「だって…」

「だってじゃない!
頑張らないでどうすんの!
こんなイケメンたちと合コンできる機会なんてもうないかもしれないんだよ???」


それはそうだ。
こんな機会、もう一生訪れない。
そして、こんなに緊張で息苦しい思いをするくらいならもうしなくてもいいなんて思えてくる。


「んー、それはそうだけど…」

「あの~、優香さん?」


私たちがコソコソと話を進めていると、田中くんが話しかけてきた。


「これから2次会にしようかななんて思うんですけど、よかったらどうですか?話が合うからぜひまだ話してたいなって」


その言葉にサキさんが頬を赤く紅潮させる。


「気が合うだって!嬉しい!!ね?優香?」

「ね!嬉しい!」


田中くんは、私の顔は見る事さえしなかった。
要はあなたには来てほしくないってことだろう。

「きてくれます?」

蓮介くんはさりげなく優香とサキさんの2人の手をとる。優香の瞳はこれでもかと甘く蕩けた。


「もちろん。
ユイも一緒に行くでしょ??」


私も一緒に行く?!
この状況でそんなことを言い出すの。
優香は絶対来いと言うように威圧的な視線を送ってくるけど、私は視線を逸らす。
蓮介くんと田中くんは私にきてほしくないっていう様子だし。

ここで私が空気を読まずにあとをついて行ったとしてもこの後、傷つくのは目に見えている。


「私はもう帰ろうかな
後は皆んなで楽しんで」


震える口元で無理矢理を笑顔を作る。
やっぱ男の子というのはわからない。
その場をさっさと後にしたくて、私は自分の分だけのお金を置いて、その場から足早に去っていった。
優香が名前を呼ぶ声が聞こえてきたけど、聞こえないふりをした。

初の合コンは予想通り大失敗。
でも、こんなことはわかっていた。
家に帰ってアイスでも食べようなんて考えながら道を歩き始めた時


「ユイさん!!」 


急に肩を叩かれ、驚いて振り向くとそこにはまさかの相手がいた。
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