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しおりを挟む「ユイさん水族館好きだっだんだね。」
「うん、小さい頃によく両親に連れてきてもらったんだ。」
「へえ、そうなんだ。」
水族館の前につきチケットを買おうと列に並ぼうとすると、後ろから手を引かれる。
何にも心の準備がない状態で手を掴まれたから、心臓が大きく跳ね上がった。
「ユイさん、これなーんだ。」
伊藤くんが自分の顔の前でかざしたのは水族館のチケット。
「え、これって…」
「実はチケット買ってんたんだ。」
こんなところまで準備周到なのか。やっぱりできる男は違う。
それと違って私は何も準備してこなかった。
チケットを買っておけば長い時間並ばずに入れるということがすっかり抜けていた。
できる女からは程遠い。
「あ!そうなんだ!
じゃあ私、自分の分のチケット買ってくるから待っててもらってもいい??
外は暑いから先に中で待っててもらっても大丈夫!」
「ちょっとまって!何でそうなるの!」
チケットを買いに行こうとしたら、伊藤くんからストップがかかってしまった。
「ユイさんの分も買ってあるから。」
「え?そうなの!?私の分までごめんね!!じゃあお金払うよ」
「いらないよ
さあ、行こう~」
「え!ダメだって!
だってこの前も…!」
伊藤くんは私の言葉を無視して進んでいく。
「待って!」
それでも納得のいかない私は財布を出すも拒否されてしまい、そのまま水族館入ることに。毎回払ってもらってばかりだと申し訳ない。
「うわあ、水族館なんて久しぶり!なんだかワクワクしてきたかも」
「本当?ユイさんが喜んでくれてるようならよかった」
伊藤くんまで嬉しそうに笑顔を浮かべるから、その笑顔の美しさに見惚れてしまいそうだ。
私は伊藤くんから気を逸らすため、入り口近くにあった水槽を眺める。
「あ、ハリセンボンだ」
「なんかこの子ユイさんにちょっと似てない?」
伊藤くんが笑いながら水槽の中の一匹のハリセンボンを指さす。
私はじっくりとそのハリセンボンを見つめ、ガラスに反射する自分の顔と見比べる。
「似てるかな?この子の方が可愛いような…」
「冗談だって。ユイさんの方が可愛いよ」
水槽を見ている私の横顔を伊藤くんが見つめている。
"ユイさんの方が可愛いよ"
そっちの言葉の方が冗談じゃないのかななんて疑いたくなる。
ときめかせるような言葉を簡単に言い退ける伊藤くんはやっぱりすごい。
いっそのこと恋人関係なんて考えず、新たなる恋愛の師匠になってもらおうかなんて考えてしまうほど。
隣の伊藤くんを見てみると、興味深そうに水層の中の派手な色の魚を見ていた。
すると、背後から突然大きな声がした。
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