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しおりを挟む数年後
「蒴ちゃん!蒴ちゃん見てみて!
今日、美容院で髪染めてきた!
蒴ちゃんとそっくりな色!」
1人掛けの革のソファで本を読む蒴の元に、先日まで艶やかな黒髪をしていたはずの菫が蒴と同じ栗色の髪の毛を揺らしながら駆け寄る。
「菫、どうしたの?
この髪」
得意げな顔で聞いてくる菫に、蒴は本を閉じてソファの肘掛けに置いてポカンとした顔で菫を見つめる。
「似合う?」
「似合うけど、俺の質問に答えて
どうしたの?その髪は?昨日まで染めてなかったでしょ?」
蒴は染めたはずなのに痛んでいる様子を見せない菫の髪をひと束掬い上げて間近で見る。
菫の言う通り、自分と同じ髪色をしていることに驚く。
「蒴ちゃんと同じ髪色にしたかったんだもん」
怒られるとでも感じた菫は唇を尖らせた拗ねた表情をする。
その表情をみた蒴は眉を曲げて笑う。
「そっか
似合ってるよ、菫」
「蒴ちゃん…!!好き!!!」
「はいはい」
菫はソファに座る蒴に跨り勢い良く飛びつく。
毎日、口癖のように告げられる告白に蒴は呆れたような返事を漏らしながら、抱きついて来る菫を軽く抱きしめ返した。
菫は21歳、蒴は27歳となった。
菫はというと蒴と学年が被らないことを承知の上で、猛勉強をして蒴と同じ有名大学に進学し、現在は順調に単位を取得して3年生となる。
その大学を選んだ理由は単純。受験した大学が同じとなれば蒴が勉強を教えてくれるかもしれないからという浮ついた理由でその大学を選んだのだが、今まで真面目に勉強に取り組んでこなかった娘を見ていた両親はまさか合格するとは思わず、娘への祝いをそっちのけで蒴へと感謝の言葉を述べていた。
一方の蒴は蒴の父が経営をする企業に就職し、後継者として仕事をしている。
しかし、実力主義である父の会社では息子であろうと容赦ない。
蒴の父親は蒴に実力がないと見込めば、すぐにでも別の会社で働かせようとしていたが、さすがというべきか見事に仕事をこなし、順調に昇格して日々忙しない毎日を送っている
蒴は18歳の頃から家を出て1人暮らしをしている。
だが、常に蒴にストーカーのごとくべったりしていた菫が離れることを許すはずがなく、菫も高校を卒業すると同時に家を出ることにした。
住む場所は蒴と同じマンションだ。学生の身からすると、少し家賃は高いけど大学が近い。朔が隣にいる方が防犯にもなるし安全。
適当な理由を並べてなんとか両親を説得した。
ずっと女の子を欲しがっていた蒴の両親は菫を溺愛しているため、隣に住むことを簡単に許す。
菫の両親は蒴離れをしろ、流石に迷惑といって別の場所に暮らさせようとしたが、蒴も菫が隣に住むことを呆気なく了承したため晴れて隣同士の部屋になったのだ。
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