女子高生が、納屋から発掘したR32に乗る話

エクシモ爺

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夏は休み

超感覚とFMパッケージ

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 ■まえがき
 一部の車種名がなのは、アルファポリスが禁止ワードにしているためです。
 問い合わせましたが、この単語は使ってはいけないそうです。
 読みづらい表現で申し訳ありません。
 尚、他のサイト様版では原文で掲載されており、不自然感なく読めます。

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 「そう言えばさ、マイ、1つだけ疑問があるんだけど、その、カリーナED的な車って、今はどうなったの?」

 結衣。良い質問だね。全部消えたよ。
 トヨタ、日産、マツダ、ホンダ、三菱、スバルから、たくさんのフォロワーが出たけど、3世代続いたカリーナEDが最長で、ほとんどが2世代で廃止、酷いのだと、トヨタのカローラセレス/スプリンターマリノや、三菱のエメロードみたいに1世代で終了……なんてのもある。

 「でも、なんで、そんな一気に消えちゃったの?」

 1つは、直後にRVのブームが起こって、ユーザーが、レガシィツーリングワゴンとかに乗り換えちゃったってのがある。
 そして、もう1つは、当初こそ、セリカの4ドア版だと理解して買ってくれる層に受けたんだけど、次第にカリーナやCORONAの上級バージョンだと思って買う層が多くなってきて、その人たちが言い始めたの『後席が狭い』って。
 今度は、その声に応えて、モデルチェンジで後席を広げようとしてくるんだけど、そうすると今度は『カッコ悪い』って、言われるようになって、じきに自滅していくっていう歴史の繰り返し。

 ぶっちゃけさ、カリーナED的デザインって、屋根の面積を小さくして、上方を絞り込んでカッコよくしてるから、後席を広げようとすれば破綻するんだよ。元来、2列シートの車に与えるデザインじゃないって言えば、そうなんだよね。

 でも、メーカーは売れると踏んで、結構な数を作っちゃったんだろうね。これらの車の末期は、在庫が余って、覆面パトカーとして、警察に大量導入されたよ。インテグラやプレセア、エメロードなんかが、一時期警察署にたくさんあったんだよ。

 さて、展示車両に戻ろうね。
 R32は、やっぱりたくさんあるね。GT-Rは鉄板だね。レース参戦用の、500台限定のニスモと、終盤に登場したVスペックだね。
 ニスモはタービンが大型化されて、装備が簡略化され、Vスペックは、大型化されたブレンボのキャリパーとBBSのアルミホイールが装着されてるんだって、ニスモのバンパーは両脇に穴が開いた特徴的なもので、結構、通常のGT-Rにも流用されてるんだって。
 ちなみに、VスペックIIってのも、R33発売後の期間に発売されてるんだ。こっちはタイヤサイズが変更になってるのが特徴なんだって。

 こっちの白い標準車はなんだろうね。
 え? トミーカイラM20? ナニソレ? 
 トミタ夢工房という会社が、作った公認チューニングカーなんだって? M20は2000cc、M30は3000ccのRBエンジンのチューニングバージョンが搭載されてるんだって?
 トミタ夢工房は2003年に倒産したけど、トミーカイラブランドは、他の会社に引き継がれて、今でもブランドは生きているんだって?

 「ちなみに、トミタ夢工房と、トミーカイラの第一弾は、R31ベースのM30で、ここにも展示されてるぞ」

 えっ!? どこに? さっきのアレか? ただのGTSのクーペだと思ってた。

 「マイ~、しっかりしろよ~。付け焼き刃の勉強のメッキが剝がれたかぁ?」

 うっせぇ! 結衣め、いきなりそこまでの補足知識なんて、つくわけないだろーが。このっ! このっ!

 はぁはぁ、まったく結衣は放っておくとすぐ調子に乗るからね、定期的に粛清しておかないとね。

 「痛いじゃないかぁ~」

 当たり前だぁ、痛くなるようにやってるんだからな。

 さて、展示に戻ろう。
 やっぱりGT-Rと言えばグループAレースだよね。1990年に初登場したのは2台だったんだけど、他の全車を周回遅れにするっていう、とんでもない実力を見せつけて、それまで一強の様相を見せていた、フォード・シエラRSを駆逐して王座に就いたんだよね。
 翌年には、トヨタがこのクラスのワークス活動を停止していた事もあって、スープラやシエラから鞍替えするチームが続出して、グループAは『勝つためにはGT-Rに乗る』ってのが定席となったんだよね。
 そして、最後は、ワンメイク化による客数減を理由にレースのカテゴリーが消滅してしまうっていう、強すぎるが故の悲劇に見舞われちゃうんだよね。

 グループAって言うと、この真っ青なカラーが思い浮かぶんだけど、この展示スペース内にも結構多いね。
 え? カルソニックカンセイっていって、日産の冷却系をやっているメーカーだって? 古くは日本ラヂエーターって言って、物凄く歴史のある会社だったんだ。
 日産が、ルノー傘下に入っても深い関係を維持してたんだけど、2017年に売却されて社名も変更されちゃったんだね。
 だから、ニチラ時代から、日産の代表的なレースマシンのスポンサーを務めていて、『日本一速い男』の異名を持つレーサー、星野一義氏が乗るマシンとのコンビで、レース界の老舗的な会社だったんだ。

 このセダンは、オーテックバージョンだよね。
 スカイラインの父と言われる、さっきのパネルの人が、日産の後に、当時の日産の社長の計らいで、日産の役員より自由の効くオーテックジャパンに移籍したんだよね。
 当時のオーテックジャパンは、プリンスと日産の特装車を製造している部門だったんだけど、これを機に別会社にしたそうだよ。ちなみに、オーテックとは、当時の日産の社長の『大手を喰う』と言うダジャレがベースになってるんだって。

 で、R32のオーテックバージョンだね。
 これって『公道で愉しむ大人のGT-R』をコンセプトに、4ドアのGTS-4をベースにして、GT-RのRB26DETTエンジンから2機のタービンを取り払って、ノンターボ化して、各種をファインチューニングしたRB26DEエンジンが搭載されるのが特徴なんだよね。
 そしてコンセプトに鑑みてATのみの設定で、ボディカラーも専用のこの渋い色のみの設定なんだってね。

 で、こっちのセダンが、スカイライン伝説30周年記念となる1994年にオーテックで作られた、GTB-4らしいよ。
 GTS-4をベースに、GT-Rのエンジンや駆動系を総移植して、リアのフェンダーもブリスター化した、まさに記念のための特別モデルなんだね。
 そうそう、GT-Bと言えば、11代目のV35スカイラインに、2002年に350GT-8というグレードが登場したんだけど、その新聞の一面広告を見た人が、そのロゴがBに似ていたため『GT-Rに続いてGT-Bまで復活したのか』と喜んだという逸話があるそうだよ。

 さて、ここまでGTS-4ベースの車が続いたんだけど、ウチらのGTS-4乗りは、何処に行ったんだ?

 「うう~」

 あれ? 優子と一緒に、涙流しながら展示車見てるよ。
 よっぽどスカイライン伝説に感動したんだね。
 まだ、ジャパンあたり見てるから、当分こっちには来なさそうだよ。良かった。
 柚月が、チラッチラッと、こっちを見てるんだけど、口にガムテープ貼って展示を見るような人とは、同類に思われたくないから、他人のフリしておこう。

 なんかちょっと違和感を感じるR32セダンだね。
 ナニナニ……FMパッケージ試作車?
 
 「なんだ、マイのお勉強でも分からない車があったかぁ?」

 いーや、そんな事はないね。
 これはね、V6エンジンを搭載して、フロントミッドシップにエンジンを搭載するレイアウトを考えて作った試作車なんだ。

 11代目のV35型以降のスカイラインがこのレイアウトを使っていて、V35以降は、突然変異の亜種だって主張する人がいるんだけど、そもそも安全基準の変更などで、直6エンジンの将来性が危ぶまれていた'90年代中盤以降、こういうものが模索されていたんだよね。

 実際に、このR32は、後にV35のテスト車両として使われていたからね。まぁ、従来型の車を使ったのは、R32GT-Rのテスト車両のところでも言った通り、スクープ対策も含まれてたんでしょ、そこに、以前に使っていた、FMパッケージ試作車があったから、合流したんじゃないかな?

 それにしても、随分ホイールベースが長くて、フロントのタイヤから前の部分、オーバーハングって、いうらしいんだけど、そこが短いよね。
 2代目スカイラインのGTみたいな切った張った感だね。それで、ホイールがR33のタイプM用に見えるよ。そして、ボンネットの高さが物凄く、もっこりしててさ、ライトが二重に見えるんだけど。

 でもって、どういう風にエンジンが入ってるのかが興味あるね。
 あれ? 博物館の人がボンネット開けてくれるって、やったぁ、それじゃ、お願いします。

 ホラ見てよ、エンジンが短っ! そして、フロントタイヤの後ろ半分からエンジンが始まってるよ。なるほど、こうすると、スカイラインの弱点である、重量配分が前寄り過ぎる傾向が、緩和されるんだね。
 凄いよ、バッテリーが、室内側ギリギリの位置についてるよ。R33がトランクにバッテリーを持って行ってたけど、やっぱり中心に近づけた方が、重量配分的には良いんだね。

 外観は異常だけど、中身は物凄く先進的な試作車だね。
 エンジンルームも、もう少しだけ短縮できそうだし、色々と市販車に対する課題も提供したんだね。
 ねぇ、結衣、この試作車さ、車体番号の所に『ECR32』って打刻されてるけど、これって、元はGTS25だったみたいだね。

 「ええーーーー!」

 もう、結衣、うるさいなぁ、柚月と一緒に、優子と見学する?

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