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第1章 青年と少年
青年と少年 5
しおりを挟むその少女はルイーゼという名前だった。 なんでも、そこそこ良い家のお嬢様らしい。家柄だけなら負けてないなんて、大人気ないことは言わないことにする。
ホテルの人たちも、なかなかにいい人揃いだった。家族のような暖かさというのは、ああいうものなのかもしれないと、考えてしまうほどには。
「そういえばウィル先生!今回の仕事内容、僕聴いてないんすけど、一体何なんすか?」
「若者集団失踪事件の解決。おそらく犯人はアーデルベルト・クライスト。ここの魔術師さ」
「ああ、あの人ですね!僕知ってますよ。数週間前に全体学部でなんか講演会やってました」
「そう、そいつだ。まぁ、ただ誘拐しているだけなら俺らがここに来る理由にはならないのはわかるだろう。そいつを取っ捕まえる理由は、秘匿を疎かにしたからさ」
魔術師とは、俗に言う一般的な倫理から離れており、条理とは相反する存在だ。
故に、誘拐しようが解剖しようが解体しようが例え人を殺そうが、まぁとやかくいうものではない。
むしろ、死こそが魔術の本質なのだ。逃れられぬ死はそれこそ魔法に達しなければ回避もできない。
この世に魔法使いはいない。
だから、我先にと競うのだ。誰よりも先に、その秘術を手にしようと足掻くのだ。
それでも、当然ご法度はある。
それこそが、『魔術を魔術師以外に公開すること』である。
秘術は秘匿することにより力を強めるとされている。つまり、広く公開することは今ある秘術を遠ざけてしまうことに他ならないのだ。
だから、秘匿を疎かにした魔術師は追放される。
追放された後のことは噂でしか知らないが、才能が特にない場合は即座に殺され、天才の場合は脳ミソを解剖されるとかホルマリン漬けにされるなんて言われている。
勿論、誰でもそんな事は避けたいわけで。
皆お人好しでは無いのだから、わざわざ他の家に協力しようとする魔術師はごく稀である。(だから教師という仕事は異端とも言われるのだ)
だからこそ、秘匿するのだ。他の家に技術が取られないように、自らが神秘に到れるようにと。
「あー。なるほど。誘拐するのに魔術使ってそれが見られたとかそんなところっすか」
「その通り。しかも、大分質の悪いことに某動画サイトで公開までされたらしい。……見るか?」
「見ます見ます!」
そう言うと、先生は魔術師らしくないタブレット端末を取り出して、慣れた手つきで操作し始めた。
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