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第1章 青年と少年
青年と少年 4
しおりを挟むホテルとしては、田舎にあるようなこぢんまりとした場所だった。理想的なお伽の家に、ほんの少しだけたじろいでしまう。
「ここの飯は旨いぞ。俺が泊まったホテルの中ではトップだ。あぁ、勿論。イギリスの不味い料理は抜かしてな」
「安心したっす。だって、イギリス料理って本当に不味いんですもん」
「もんとか言うな。あと、俺達は毎日それを食ってんだよ。それに、イギリスの飯が不味いのは調理が下手なだけなんだ。上手く作ればそれなりに食える」
「イギリス人にそう言われても説得力が……」
「うるせぇ」
無駄話に花を咲かせていれば、目の前に女の子がいることにも全く気が付かなかった。
女の子はせいぜい十歳ほどに見える。わりかし可愛い子だった。
あ、将来美人になるかもなというような。
「あー。レディ。どうしたんだ?ここの近所に住んでいるのか?」
「ううん。父様と母様と一緒にここに泊まってるの。お兄ちゃん達もここに泊まるんでしょ?」
「ああ。そうだ。……ご両親は中にいらっしゃるのかね。それとも、ここで戻ってくるのを待っているのかい?」
「中にいるよ!お兄ちゃん達が来てたから外に出たの」
僕と先生は目配せをして、彼女と共にホテルの中に入ろうと決めた。……あれ?わざわざ目配せなんかしなくても、魔術を使って会話をすれば良かったのでは?と気付くのは、数時間後の事だった。
実に馬鹿らしい話である。
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