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第1章 青年と少年
青年と少年 12
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魔術が切れた音がする。この小さな鈴の音のような響きは、先生の魔術の音だった。魔術をかけたのはおそらくクライストで、切ったのはウィル先生だろう。
そう考えていたところで、目の前で先生が崩れ落ちた。眠っているようにも見えるが、この反応は睡眠の術式ではない。
では、なんだ?
「お前、ウィル先生に何をした!」
「何って、ウィルの願いを叶えてやったのさ。勿論仮にだけれども。だから君の師匠は、生きても死んでもいない。どちらに転ぶか、決めるのはウィルだ」
「生きていない……?ウィル先生の願いって」
生きていない。でも、死んでもいない。つまり先生がいるのはこの世とあちらの『狭間』。
そんなところに行って叶うとすればただひとつ。
「死んだ人との再会……?」
「正解。さすがは神童と名高い少年だ。すぐに魔術の本質を見極める」
先生が例え死んだとしても会いたい人。
そんな人の話、聞いたこともなかった。どんな人なんだろうか。どんな立派な人物なのだろうか。
気になって仕方がないが、まずは先生をこちらに引き戻さなければならない。
外部からの干渉がどこまでできるかはわからないが、そこそこいいところまでは行けるはずだ。やたらめったらな術式でさえなければ。
「使用しているのは間違いなく黒魔術の範囲っすね。でも、こんな術式聞いたことがない。アレンジが聞きすぎている。上手くいったのは幸運からかな」
「そこまでスラスラ言われると少しキツイな」
「いい気味っすね。こっちとしては運がいいことに、先生がいる場所に行く干渉式は簡単にできている。これなら、先生でさえなんとでもできる範囲だ」
ここまで言って、立ち上がることにする。いや、座っていた方が良かったか?
どちらにしろ準備が整ったことに変わりはないから問題ない。
「最後に聞くっすけど。これ、別に先生のことを考えたんじゃなくて、先生の思いに便乗した黒魔術の実験っすよね」
「ウィルもわかっていて乗ったんだからいいじゃないか。まぁ、三分の二は君のことを守るためだったんだろうけどね」
良くない。良くないから、僕は立ち上がるのだ。先生を助けるために、そちらに向かうのだ。
術式を展開。これに合う音域を調べ、口ずさむ。
僕の家であるエルフォード家は、数世紀昔から音響魔術の家系だった。
でも、詠唱がイタリア語ではなくフランス語なのは家がある場所に由来する。
「S'infiltrer!」
潜入開始。
待っていて下さい。ウィル先生。今、そっちに行きますから。
そう考えていたところで、目の前で先生が崩れ落ちた。眠っているようにも見えるが、この反応は睡眠の術式ではない。
では、なんだ?
「お前、ウィル先生に何をした!」
「何って、ウィルの願いを叶えてやったのさ。勿論仮にだけれども。だから君の師匠は、生きても死んでもいない。どちらに転ぶか、決めるのはウィルだ」
「生きていない……?ウィル先生の願いって」
生きていない。でも、死んでもいない。つまり先生がいるのはこの世とあちらの『狭間』。
そんなところに行って叶うとすればただひとつ。
「死んだ人との再会……?」
「正解。さすがは神童と名高い少年だ。すぐに魔術の本質を見極める」
先生が例え死んだとしても会いたい人。
そんな人の話、聞いたこともなかった。どんな人なんだろうか。どんな立派な人物なのだろうか。
気になって仕方がないが、まずは先生をこちらに引き戻さなければならない。
外部からの干渉がどこまでできるかはわからないが、そこそこいいところまでは行けるはずだ。やたらめったらな術式でさえなければ。
「使用しているのは間違いなく黒魔術の範囲っすね。でも、こんな術式聞いたことがない。アレンジが聞きすぎている。上手くいったのは幸運からかな」
「そこまでスラスラ言われると少しキツイな」
「いい気味っすね。こっちとしては運がいいことに、先生がいる場所に行く干渉式は簡単にできている。これなら、先生でさえなんとでもできる範囲だ」
ここまで言って、立ち上がることにする。いや、座っていた方が良かったか?
どちらにしろ準備が整ったことに変わりはないから問題ない。
「最後に聞くっすけど。これ、別に先生のことを考えたんじゃなくて、先生の思いに便乗した黒魔術の実験っすよね」
「ウィルもわかっていて乗ったんだからいいじゃないか。まぁ、三分の二は君のことを守るためだったんだろうけどね」
良くない。良くないから、僕は立ち上がるのだ。先生を助けるために、そちらに向かうのだ。
術式を展開。これに合う音域を調べ、口ずさむ。
僕の家であるエルフォード家は、数世紀昔から音響魔術の家系だった。
でも、詠唱がイタリア語ではなくフランス語なのは家がある場所に由来する。
「S'infiltrer!」
潜入開始。
待っていて下さい。ウィル先生。今、そっちに行きますから。
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