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第1章 青年と少年
青年と少年 13
しおりを挟む随分と早い再会だ。もっと、時間がかかると思っていた。
「もう一度、あの幸福な日々を」
そう願ったのは、真っ白い部屋に取り残されたあの日からだった。
なんとしてでも彼を取り戻すのだと意気込んで、必死になっているうちに、魔術の腕は半端なクセして、教師としてはやたらと名を上げていった。
悔しいさ。悔しくて仕方が無いさ。彼と再会するのは自分の力で正攻法でと決めていたのに。
こんな裏をかいたようなやり方、望んでいなかったのに。
「随分と早すぎではないか?ウィルフレッド」
その声は久しぶりすぎて、一瞬反応に遅れてしまった。
……ずっと、聞きたかった声だった。
「アレク!アレクなんだろう?」
「嗚呼。そうだ、その通りだ。……ちょっと待て。真逆。ウィルフレッド、お前死んでいないな。死んでいないのに、ここに来たのか」
「ああ、そうだよ。黒魔術の実験に便乗する形でな。だから、今のボクは生きてもいないし死んでもいない。今ならどちらでも選べる」
そう、どちらでも選べる。ここで死んで、アレクと共に過ごすのも、ここで生きる方を選び、往生してからここに来るの。どちらでも選べる。
アレクなら、後者を選べっていうんだろうなぁと思いつつも。
「どちらを選ぶんだ?俺はあの日、お前に生きて欲しいと言った。覚えているか」
「覚えているよ。忘れるわけが無いだろう」
「なら、どうしてここに来た」
答えに詰まった。
会いたかったのだ、何を犠牲にしてでも会いたかったのだ。だから、構わないと。あの日の約束なんて知らないと。そんな風に思ってしまう自分がいた。
……それと同時に、約束を死ぬ気で守って必ずアレクの分まで人生を謳歌しなければならないという自分がいた。
だから予防線を張ったのだ。自分の弟子という名の予防線を。
「なるほどな。ウィルフレッドらしいな、本当に。嫌という程慎重だ」
「そうかよ。ボクはアレクが変わっていなくて、安心した」
「安心したなら良かった。……安心ついでだ。お主が張っていた『予防線』。到着した様だぞ」
目の前に現れたのは、予想通りセオだった。
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