魔術師達と彼方

本和 奏

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第1章 青年と少年

青年と少年 14

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「ウィル先生!」
 先生を見つけてかけよれば、もう一人男性がいた、この人がウィル先生の『死んでも会いたかった人』なのだろう。
 確かに、僕では足元にも及ばないような威光を感じた。とんでもない覇気を持っている人だと思った。
「貴様の名はなんだ?」
「えっと、セオフィラスです」
「嗚呼。エルフォード家の嫡男か。あんなチビがこんなに成長するほどに時間が経っていたのか」
 彼の言葉には、嫌味が無かった。貴様という言葉にも、蔑みや侮蔑といった感情は一切含まれていなかった。
 本当に不思議な人物だ。
「そうっすね。……って、ウィル先生。一人称ボクだったんですか!聞いてないっすよ!」
「いきなりどうした馬鹿が!聞いてないって、教える必要もなかろうて」
「おっと。その口調、俺の真似か?」
「ああああああ。アレクまで便乗するなよ!」
 僕がいると一瞬で暗い雰囲気もギャグになると言われているが、案外その通りかもしれない。
 なんだか笑える状況になった。
「なんて、笑っている場合ではないぞ。そろそろタイムリミットだ。魂のない身体は、朽ちるのも早い。そろそろ戻らないと不味いぞ。特に、ウィルフレッド」
 その言葉を聞いた途端、ウィル先生は俯いてしまった。本当は離れたくないんだろう。辛くて仕方が無いに違いない。でも、先生は。
「セオ、ウィルフレッドのことを頼んだ」
「は、はい!えーと。なんとお呼びすれば……?」
「俺か?俺は、アレッサンドロ・ユリアーノ。好きに呼んでくれて構わないさ。それと、こいつの養父で、魔術の師匠だ」
 何故今まで思い出せなかったのか!今世紀一番の天才とも呼ばれた大魔術師の名前ではないか。
 確かに彼はイタリア人だ。先生がイタリア語の詠唱を行うのも、納得の話である。
「では、帰りは俺が送っていこう。そこまでな」
「アレク……」
 まだ踏ん切りがついていない先生に、アレクさんは何かを伝えるつもりなのか、真正面に立っていた。
「ウィルフレッド。お前がその人生を悔いなく謳歌仕切ってから、またここに来い。そしたら、お前が歩んできた道を思う存分聞かせてくれ」
 そう言って、笑った。これでもかってくらいに、綺麗な笑顔だった。
「わかった。そうするよ。ありがとう、アレク。それにセオも」
 真っ白い空間に、アレクさんの声が響く。
「では、またな。『Chiusure閉幕せよ!』」
白い空間が、解けた。
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