15 / 36
第1章 青年と少年
青年と少年 14
しおりを挟む「ウィル先生!」
先生を見つけてかけよれば、もう一人男性がいた、この人がウィル先生の『死んでも会いたかった人』なのだろう。
確かに、僕では足元にも及ばないような威光を感じた。とんでもない覇気を持っている人だと思った。
「貴様の名はなんだ?」
「えっと、セオフィラスです」
「嗚呼。エルフォード家の嫡男か。あんなチビがこんなに成長するほどに時間が経っていたのか」
彼の言葉には、嫌味が無かった。貴様という言葉にも、蔑みや侮蔑といった感情は一切含まれていなかった。
本当に不思議な人物だ。
「そうっすね。……って、ウィル先生。一人称ボクだったんですか!聞いてないっすよ!」
「いきなりどうした馬鹿が!聞いてないって、教える必要もなかろうて」
「おっと。その口調、俺の真似か?」
「ああああああ。アレクまで便乗するなよ!」
僕がいると一瞬で暗い雰囲気もギャグになると言われているが、案外その通りかもしれない。
なんだか笑える状況になった。
「なんて、笑っている場合ではないぞ。そろそろタイムリミットだ。魂のない身体は、朽ちるのも早い。そろそろ戻らないと不味いぞ。特に、ウィルフレッド」
その言葉を聞いた途端、ウィル先生は俯いてしまった。本当は離れたくないんだろう。辛くて仕方が無いに違いない。でも、先生は。
「セオ、ウィルフレッドのことを頼んだ」
「は、はい!えーと。なんとお呼びすれば……?」
「俺か?俺は、アレッサンドロ・ユリアーノ。好きに呼んでくれて構わないさ。それと、こいつの養父で、魔術の師匠だ」
何故今まで思い出せなかったのか!今世紀一番の天才とも呼ばれた大魔術師の名前ではないか。
確かに彼はイタリア人だ。先生がイタリア語の詠唱を行うのも、納得の話である。
「では、帰りは俺が送っていこう。そこまでな」
「アレク……」
まだ踏ん切りがついていない先生に、アレクさんは何かを伝えるつもりなのか、真正面に立っていた。
「ウィルフレッド。お前がその人生を悔いなく謳歌仕切ってから、またここに来い。そしたら、お前が歩んできた道を思う存分聞かせてくれ」
そう言って、笑った。これでもかってくらいに、綺麗な笑顔だった。
「わかった。そうするよ。ありがとう、アレク。それにセオも」
真っ白い空間に、アレクさんの声が響く。
「では、またな。『Chiusure!』」
白い空間が、解けた。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる