18 / 36
第2章 少年と友人
少年と友人 2
しおりを挟む
「はじめまして。僕は、ローラン・スタッフォードという者だ。ウィルとは学生時代からの友人でね、今日会いに来たら『会議があるから留守を頼みたい』って言われちゃって。親友の頼みとあらば、断るわけにもいかないからさ。こうしてここで紅茶を飲みつつ君を待っていた訳だ」
そう言って、彼は微笑んだ。
どうやらウィルの友人らしい。それも、かなり信頼され、信用されている人物のようだ。そうでなければ、ウィルが留守を任せる事なんて有り得ない。内弟子のラピスで漸く、誰もいない研究室に入ることが許されるレベルなのだから。
「あの、先生の友人ってことは、昔の先生を知っているってことですよね」
もしかしたら、この人に聞けば先生の事が少しだけわかるかもしれない。先生の事を何一つ知らないなんていう現状から脱することが出来るかもしれない。
勿論、話してくれたとしても、全てを教えてくれることはないと思うけれど。
「勿論、ほんの少しだけなら知っているよ。でも、ウィルは昔のことを話したがらないからね。君が知らないのも無理は無いさ。別に隠している訳では無いみたいだけど」
「えっ。隠してないんですか?」
「うん。ただ、彼の中で昔のことは多少黒歴史だと思っているみたいでさ。恥ずかしがってるんだよ」
その言葉は、意外なようでよく良く考えれば意外でもなんでも無かった。隠そうとしているなら、あの時ウィルは予防線にセオを使おうとせず、ラピスをすぐに寄越しただろう。
「とはいえ、僕が知っているのは、彼が転入してきた十六歳以降の事だよ。僕達はその時出会ったんだ」
「是非、聞きたいです」
「そうか。じゃあ、まずは僕が彼を初めて見た日。彼がこの場所に転入して来たところから話そう」
そう言って、彼は紅茶で唇を湿らした。
それは、内気な少年の元に現れた、不器用で他人を寄せ付けない、無名の転入生の話だった。
そう言って、彼は微笑んだ。
どうやらウィルの友人らしい。それも、かなり信頼され、信用されている人物のようだ。そうでなければ、ウィルが留守を任せる事なんて有り得ない。内弟子のラピスで漸く、誰もいない研究室に入ることが許されるレベルなのだから。
「あの、先生の友人ってことは、昔の先生を知っているってことですよね」
もしかしたら、この人に聞けば先生の事が少しだけわかるかもしれない。先生の事を何一つ知らないなんていう現状から脱することが出来るかもしれない。
勿論、話してくれたとしても、全てを教えてくれることはないと思うけれど。
「勿論、ほんの少しだけなら知っているよ。でも、ウィルは昔のことを話したがらないからね。君が知らないのも無理は無いさ。別に隠している訳では無いみたいだけど」
「えっ。隠してないんですか?」
「うん。ただ、彼の中で昔のことは多少黒歴史だと思っているみたいでさ。恥ずかしがってるんだよ」
その言葉は、意外なようでよく良く考えれば意外でもなんでも無かった。隠そうとしているなら、あの時ウィルは予防線にセオを使おうとせず、ラピスをすぐに寄越しただろう。
「とはいえ、僕が知っているのは、彼が転入してきた十六歳以降の事だよ。僕達はその時出会ったんだ」
「是非、聞きたいです」
「そうか。じゃあ、まずは僕が彼を初めて見た日。彼がこの場所に転入して来たところから話そう」
そう言って、彼は紅茶で唇を湿らした。
それは、内気な少年の元に現れた、不器用で他人を寄せ付けない、無名の転入生の話だった。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる