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第2章 少年と友人
少年と友人 6
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衝撃の事実が発覚したところで、時間は止まってくれない。いや、その手の魔術もあるけれど、高度な上に身体への負担が大きいのであまり推奨されないのだ。
「取り敢えず、あそこの曲がり角あたりで切れるから、そこからはボクはお前に背負ってもらうしか無いな。道案内はボクがする」
「道案内……って事は、行く宛があるの?」
「勿論。じゃなきゃ逃げたりしないさ。大丈夫、お前の能力も考えて、ちゃんと間に合うように計算はしているから」
曲がり角を曲がってから、素早くウィルを背負い、その案内に沿って走り出した。
嗚呼、授業をサボるのなんて初めてだ!あの常識知らずの坊ちゃんが!……そう悪態をついたところで、事態が好転するかと言われれば当然そんな事は無いので声には出さないでおいた。本音を言えば叫んでやりたいくらいではあるのだけれど。
そんなことを考えていたら、またウィルの指示が飛んだ。
「そこを左に曲がって!その突き当たりの部屋に入るぞ」
「えっ。そこ、研究室でしょう?!僕達はまだ入れないんじゃ」
「ボクは入れる。だから問題ない。でも、こんな状況見たらアイツ凄い笑ってくるだろうな……」
何故、同学年でしかも名門の後継ではないウィルが研究室に入れるのか、その時の僕には分からなかったけれど、とりあえずその通りに進む事にしたのは今思えばいい判断である。ウィルはそこも計算して僕と逃げていたのだろうけれど。
文字通り、転がり込むようにしてその研究室に入っていった。何とか奴らには追いつかれずに済んだらしい。背後から足音が聞こえてきていたので、近くにいたことは間違いないのだが。
「ウィルフレッド!お前、友達まで連れてどうしたんだ。しかも今は授業中だろう。さっき出ていったばかりじゃないか」
「鬼ごっこだよ。ここの結界、強化してくれない?念のため」
研究室にいた男性は取り敢えず何かがあったというところは察してくれたらしく、結界を強化していた。
「で、何があったんだ。ウィルフレッド。驚いたではないか、友達が出来てたなんて」
「べ、別に友達じゃないよ。ただ、ラナードの奴が馬鹿な魔術使ってきたから一緒に逃げてきただけで」
「だから背負われていたのか。お前は座学の才はあるんだがなぁ……。ありがとうな、ウィルフレッドを助けてくれて」
まさか御礼を言われるだなんて思っていなかったので、すごく驚いてしまった。
「い、いえ。僕の方こそ、彼に何度も助けてもらっていて。感謝してもしきれないです。そうだ貴方は……?」
僕がそう言えば、彼は嫌な顔一つせず答えた。その後の魔術世界に様々な功績と共に刻まれる、畏怖され尊敬されるべき名前を。
「嗚呼。自己紹介がまだだったか。俺はアレッサンドロ・ユリアーノ。コイツの養父で、魔術の師匠だ」
「取り敢えず、あそこの曲がり角あたりで切れるから、そこからはボクはお前に背負ってもらうしか無いな。道案内はボクがする」
「道案内……って事は、行く宛があるの?」
「勿論。じゃなきゃ逃げたりしないさ。大丈夫、お前の能力も考えて、ちゃんと間に合うように計算はしているから」
曲がり角を曲がってから、素早くウィルを背負い、その案内に沿って走り出した。
嗚呼、授業をサボるのなんて初めてだ!あの常識知らずの坊ちゃんが!……そう悪態をついたところで、事態が好転するかと言われれば当然そんな事は無いので声には出さないでおいた。本音を言えば叫んでやりたいくらいではあるのだけれど。
そんなことを考えていたら、またウィルの指示が飛んだ。
「そこを左に曲がって!その突き当たりの部屋に入るぞ」
「えっ。そこ、研究室でしょう?!僕達はまだ入れないんじゃ」
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何故、同学年でしかも名門の後継ではないウィルが研究室に入れるのか、その時の僕には分からなかったけれど、とりあえずその通りに進む事にしたのは今思えばいい判断である。ウィルはそこも計算して僕と逃げていたのだろうけれど。
文字通り、転がり込むようにしてその研究室に入っていった。何とか奴らには追いつかれずに済んだらしい。背後から足音が聞こえてきていたので、近くにいたことは間違いないのだが。
「ウィルフレッド!お前、友達まで連れてどうしたんだ。しかも今は授業中だろう。さっき出ていったばかりじゃないか」
「鬼ごっこだよ。ここの結界、強化してくれない?念のため」
研究室にいた男性は取り敢えず何かがあったというところは察してくれたらしく、結界を強化していた。
「で、何があったんだ。ウィルフレッド。驚いたではないか、友達が出来てたなんて」
「べ、別に友達じゃないよ。ただ、ラナードの奴が馬鹿な魔術使ってきたから一緒に逃げてきただけで」
「だから背負われていたのか。お前は座学の才はあるんだがなぁ……。ありがとうな、ウィルフレッドを助けてくれて」
まさか御礼を言われるだなんて思っていなかったので、すごく驚いてしまった。
「い、いえ。僕の方こそ、彼に何度も助けてもらっていて。感謝してもしきれないです。そうだ貴方は……?」
僕がそう言えば、彼は嫌な顔一つせず答えた。その後の魔術世界に様々な功績と共に刻まれる、畏怖され尊敬されるべき名前を。
「嗚呼。自己紹介がまだだったか。俺はアレッサンドロ・ユリアーノ。コイツの養父で、魔術の師匠だ」
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