魔術師達と彼方

本和 奏

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第2章 少年と友人

少年と友人 7

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 「さて。ここまで話したけど、アレッサンドロさんの事は、君はもう知っているんだよね?」
 紅茶で喉を潤しながら、スタッフォードさんはそう言った。今よりもさらに実技がズタボロだった先生の話は、予想はしていたがほんの少し笑ってしまった。でも、それを隠さなかったということはその時点で、それなりにスタッフォードさんのことを信用していたという事なのではないだろうか。
 あと、アレッサンドロさんの事は細かく聞きたいところだ。確かにすごい人だとは思った。息子として、弟子として、彼のことを先生が尊敬していたこともある程度分かっているつもりだ。では、何故先生はあそこまでアレッサンドロさんに入れ込んでいるのか。余りにも、入れ込みすぎなのではないだろうか。そこが、どうしても分からない。あれではまるで……。
 「ほんの少しだけなら、知ってます。でも、ほんの少しの間しか話せなかったから、どんな方なのかまでは……」
 「なるほど。確かに、見て少し話しただけでその人の事を理解するのは難しいよね。時々、やってのける奴もいるけどさ。……人間、血が繋がっていようがいまいが、親子は似るものなんだよね。このことに関しては、アレッサンドロさんとウィルはそっくりだ」
 なら、アレッサンドロさんにはあの一瞬でだいぶ見抜かれていたのだろう。それでも、あの言葉をかけてくれたのだとしたら。あの時だけでも、大切な子であり弟子である先生を託してくれたのだとしたら。--それは一体、どれだけの光栄だったのだろうか--
「ウィルはね、あんな性格でしょう。でも、彼はほんの少し寂しがり屋なんだ。独りでいた時間が長かったからね。だから、アレッサンドロさんへの思いはそこから来ているとも言えるだろう。ただね」
「ただ……?」
 含みを持たせた言い方に、少しだけたじろいでしまう。本当は先生の口から訊かなければならないことなのかもしれない、本当は、僕なんかが知っていいことではないのかもしれない。
 それでも、知りたかった。先生自身では見えない、先生の姿が、ほんの少しだけ知りたかったのだ。それがどんなに、重くて辛い話でも。
 「この話の最後に話すけれど、別れ方がね、いけなかったんだ。まあ、そんなことは置いておいて、まずは楽しかった頃の話をしよう。僕も、そのほうが楽だからね」
「楽、ですか」
「そうさ。暗い話って言うのは、話している方が息苦しくなるからね。それに、ある程度重要な所は、ウィルから訊いた方がいい」
 そう笑顔で言ってのけたスタッフォードさんが何をしようとしていたのか。考えれば簡単に気が付くことだったのに、僕は考えてすらいなかった。ただ、そのスタッフォードさんの行動は正しい事なのだろうとは、ちょっとだけ察することは出来た。相変わらず、僕の直感は悪くないらしい。
 「さて、続きを話そうか。確か、アレッサンドロさんが名前を教えてくれたところだったよね」
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