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第3章 青年と子供達
青年と子供達 4
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で、その後順当に生徒が来てくれたかと言われればまぁそんな訳は無く。
「……生徒三人。時期が最高に悪かったな」
「何せ新しい研究室を決めるのは普通秋だからねぇ。今は春だよ、あと半年待てって話だったかも。そりゃあ他の研究室に入れなくってかつウィルの授業受けてたって言ったらかなり厳選されちゃうよね」
本当にその通りだと、ウィルは部屋の扉を見つめた。三人入っただけ本当に御の字である。これが零人だったら目も当てられなかった。
そろそろ四限の授業が終わってこちらに来る頃だろうとウィルは椅子から腰を上げる。タイミングよくコンコンとノックされる扉の音を聞けば生徒が来たのであろうことはすぐに分かった。時間の感覚に関しては自分の学生時代を参考にしているのだろうと思った。実際、ローランも大体のタイムテーブルをそれで把握している。
「Guten Tag!ウィル先生!俺たち以外にも研究室に入った学生います?」
「Guten Tag、ウィル先生。……兄さん。もう少しこう……聞き方っていうものがあってだな」
兄弟のバランスはよく取れているとは思う。だが、どっちも案外まともではないという点はどうだろうか。いや、確かに魔術師に対してまともさを求めるのは筋違いだ。全くその通りである。だがしかし、この兄弟は魔術師になってようがなってまいがこんな感じな気がするのは果たして気のせいか否か。
「good afternoon。いや、構わん。もう一人入っているから、上手くやれよ。喧嘩で教室をぶっ飛ばすなんてことをやればいくら何でも庇えないからな」
実際、昔教室と大講堂をぶっ飛ばしてそれはもう大騒ぎを起こしたバカがいたらしいのだが真相は定かではない。
そんな中、トントンっと控え目なノックの音がした。間違いなく鶴久が来たのだろう。
「こんにちは。あの、遅くなってしまい申し訳ありません」
失礼します。と言いながら彼は研究室に入室した。随分と慎ましやかというか、ここまで来たらその丁寧ぶりが逆に怖い。あと、時間には全く遅れていないのになぜ謝っているのだろうか。謎だ。
「Guten Tag!お前が俺らと同じ教室の奴か!俺はコンラート・フォン・ヴェストファーレン。こっちは弟のヴィルヘルムだ。宜しくな!同じ研究室の生徒同士仲良くしようぜ」
「俺からも、よろしく頼む。君は東洋人か?」
「ありがとう。そうだよ、日本人なんだ。僕はタスク・フニュウ。船生鶴久っていうんだ。船に生きる永久の鶴っていう字面だよ。まぁ、ちょっと順番は違うんだけど……。こちらこそよろしくね」
何となく上手くやっていけそうである。一先ずは安心だろう。ウィルはそう考えて三人を指導するためにまとめた書類を見直した。彼らを何としても栄光の頂きへと導かねばならない。彼らの為にも、当然自分の為にも。
「さて!俺なりに三人の傾向を纏めてきた。まずはそれをざっくり読んでくれ。疑問点はすぐに聞けよ、頼むから」
さて、ここからが勝負だと、ウィルは自らの頬を叩いた。
「……生徒三人。時期が最高に悪かったな」
「何せ新しい研究室を決めるのは普通秋だからねぇ。今は春だよ、あと半年待てって話だったかも。そりゃあ他の研究室に入れなくってかつウィルの授業受けてたって言ったらかなり厳選されちゃうよね」
本当にその通りだと、ウィルは部屋の扉を見つめた。三人入っただけ本当に御の字である。これが零人だったら目も当てられなかった。
そろそろ四限の授業が終わってこちらに来る頃だろうとウィルは椅子から腰を上げる。タイミングよくコンコンとノックされる扉の音を聞けば生徒が来たのであろうことはすぐに分かった。時間の感覚に関しては自分の学生時代を参考にしているのだろうと思った。実際、ローランも大体のタイムテーブルをそれで把握している。
「Guten Tag!ウィル先生!俺たち以外にも研究室に入った学生います?」
「Guten Tag、ウィル先生。……兄さん。もう少しこう……聞き方っていうものがあってだな」
兄弟のバランスはよく取れているとは思う。だが、どっちも案外まともではないという点はどうだろうか。いや、確かに魔術師に対してまともさを求めるのは筋違いだ。全くその通りである。だがしかし、この兄弟は魔術師になってようがなってまいがこんな感じな気がするのは果たして気のせいか否か。
「good afternoon。いや、構わん。もう一人入っているから、上手くやれよ。喧嘩で教室をぶっ飛ばすなんてことをやればいくら何でも庇えないからな」
実際、昔教室と大講堂をぶっ飛ばしてそれはもう大騒ぎを起こしたバカがいたらしいのだが真相は定かではない。
そんな中、トントンっと控え目なノックの音がした。間違いなく鶴久が来たのだろう。
「こんにちは。あの、遅くなってしまい申し訳ありません」
失礼します。と言いながら彼は研究室に入室した。随分と慎ましやかというか、ここまで来たらその丁寧ぶりが逆に怖い。あと、時間には全く遅れていないのになぜ謝っているのだろうか。謎だ。
「Guten Tag!お前が俺らと同じ教室の奴か!俺はコンラート・フォン・ヴェストファーレン。こっちは弟のヴィルヘルムだ。宜しくな!同じ研究室の生徒同士仲良くしようぜ」
「俺からも、よろしく頼む。君は東洋人か?」
「ありがとう。そうだよ、日本人なんだ。僕はタスク・フニュウ。船生鶴久っていうんだ。船に生きる永久の鶴っていう字面だよ。まぁ、ちょっと順番は違うんだけど……。こちらこそよろしくね」
何となく上手くやっていけそうである。一先ずは安心だろう。ウィルはそう考えて三人を指導するためにまとめた書類を見直した。彼らを何としても栄光の頂きへと導かねばならない。彼らの為にも、当然自分の為にも。
「さて!俺なりに三人の傾向を纏めてきた。まずはそれをざっくり読んでくれ。疑問点はすぐに聞けよ、頼むから」
さて、ここからが勝負だと、ウィルは自らの頬を叩いた。
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