魔術師達と彼方

本和 奏

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第3章 青年と子供達

青年と子供達 3

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「ウィル!生徒さんが来てるぞー!」
  生徒募集の貼り紙を張り出してから一日目、確かにほんの少しは期待もしていたがこんなにも早く来てくれるとは思わなかった。
「取り敢えず入れてくれローラン!面談と行こうじゃないか」
 そう言われてローランと共に入室してきたのは、この研究機関においては珍しい東洋人だった。十二、三歳と言ったところだろうか。この研究室を志望するには少々幼過ぎるのでは……と考えたがそう言えば東洋人は幼く見えがちだったということを思いだす。実際はもう少し歳を重ねているのだろう。
「名前は?」
「船生鶴久……えっと、タスク・フニュウです。すみません、まだ自己紹介にすら慣れてないなんて」
 東洋は東洋でも日本人だったか。苗字と名前の順が逆と聴いていたが本当らしかった。まぁ、ヨーロッパ内でもハンガリーなんかは逆なのでそこまでの違和感はない。
「いいや、問題は無い。所で、どうして内の研究室に入りたいんだ?ここは新設の研究室で、実績も何も存在しない。もしかしたら俺の授業を受けてくれたのかもしれないが、合わなかったら意味がない。そうだ、君の使用する魔術の系統は?」
 遥々東の島国からやって来て、それで大きな研究室に入らないのは何故なのだろうと純粋に疑問に思った。もしかしたら一族でこの研究機関に関わりがあるかもしれないし(むしろその可能性が高い)そうなったら必ず入るべきとされる研究室があるはずなのだ。
「それが、地域性の高い魔術でして……強いて言うなら呪術?なんだと思いますが、うちの派閥は秘匿性が特に高いので、下手な研究室に入ったら親族ごと路頭に迷うことになりかねないんですよ。それで、ウィル先生の授業を受けて信用したいなって、出来るだろうなって思ったんです。だから、僕はこの研究室に入りたいんです」
 日本人と言うのは物事をはっきり言わないだとかなんとか言われているが、それは案外時と場合によるのかもしれない。自分の意思を通したいという時には、こんなにも普通じゃないか。相手のメンツを考えるとも聞くから、そこを考えすぎて言葉を暈すという事もあるのだろう。気を遣い過ぎでは無かろうか。
「……分かった。良いだろう。済まないが、少し君の魔術について質問してもいいだろうか。少しもわかって無いとなると研究時に対応が出来なくなってしまう」
「勿論構いません。そうですね、封印とかを主にする感じでしょうか。例えば、怨霊とか。後は守護とかそう言ったものもあります。だからと言うか、結界を張るのには少しだけ自信がありますよ」
 日本の魔術は系統が多いと言われているが、確かにこれは一筋縄ではいかなそうだ。単純な結界師でもない、かと言ってシャーマンとも言いきれない。呪術師と一纏めにするには少しズレているし、戦闘ができないわけでもない。受け身の魔術である事は確かだが、中々汎用性が高い便利な魔術なのではないだろうか。確かに、これは他の教室が渋るのも分からないでもない。
「俺も勉強しておこう。うちの研究室に来てくれてありがとう。よろしく頼むぞ」
 鶴久少年は笑顔でありがとうございます。と礼を言った。
「先生、僕と年が近いって聞いてたんですけど本当にしっかりしていらっしゃいますね。僕も今年で二十歳なんだけどなぁ」
 ……えっ。
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