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第3章 青年と子供達
青年と子供達 2
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「いやー。良かったじゃないか。取り敢えず生徒が少なくとも二人は来てくれる事が確定したんだからさ」
「そういう問題ではない!嗚呼、あの兄弟を受け入れたことのない研究室はあとどこがあるんだ。そこから批判でもされたらたまったもんじゃないんだが」
優秀な生徒はどこの研究室も欲しがるところで、盥回しにされていた理由はそこにもある。何故なら『あの研究室で二人を伸ばせなくてもうちでなら出来る』と宣言して、それを成し遂げられれば今後の権力闘争において有利に事が進む可能性が高くなるからだ。天才を側においておけるというのは、それだけでメリットがある。いくら講師や研究員、更には教授としてのプライドをへし折られようが、それさえ耐えきってしまえば自分の地位を盤石のものにする最大の材料となる……のだが、それが何とも難しい。得てして魔術師とはプライドの高い人間であるうえに、それを軸として生きているのだ。それを曲げるというのは中々できる事ではないようで。この場合はウィルフレッドは天才として研究機関に招かれた二人を教えることになるのだから、二人を研究室に置いておくというだけでとんでもない功績となる。ウィルはまだ現代学部教授に成り立てでその中での地位は下の下。他の教授連中に批判でもされれば研究室を保っていけないほどなのだ。
「安心しなよ、ウィルフレッド。ヴェストファーレン兄弟はウィルフレッド・ユリアーノに任せるって念書はラナードの奴に書かせたから、批判されたりする事は無いと思うよ」
「お前、成長すると共にどんどん図太くなっていったよな……。取り敢えずありがとう。後は一週間でどれだけの生徒が獲得できるかだが……」
今ある研究室は同じ魔術師の家が代々継いで来たものが多く、新しく立ち上げた例がほぼほぼ存在しないのだ。だから、どのくらい入れば存続していけるのかが微妙によくわからない。当然、細かい規定も存在しない。
「昔の資料を見る限り、実は二人ぐらい入ってくれれば上々だって話もあるよね。でも、確かに五人くらいは欲しいかも。今後の生徒獲得に関してはあの兄弟の成長次第だとして」
研究室の存続を生徒達に賭けるというのは何となく心苦しいものである、とウィルフレッドは思ってしまう。まるで、自身の責任を子供達に負担させてしまうような気がするし、実際そうなのだから。
「まぁ、一週間後まで待ってみよう。もしかしたら三人だけの研究室になるかもしれないが、それはそれで悪くは無いさ」
あの兄弟の事だ、きっととんでもなく騒がしくなる。確かにローランもそう思った。そうなってもならなくても、自分は彼の盾でありたいと思う。最低限長い間家系を途切れされることの無かった家の者として、ほんの少しでも彼の行動に対する言い訳の材料になればと思ったからだ。
「これから忙しくなるねぇ」
「そうだな。よろしく頼むぞ、ローラン」
「そういう問題ではない!嗚呼、あの兄弟を受け入れたことのない研究室はあとどこがあるんだ。そこから批判でもされたらたまったもんじゃないんだが」
優秀な生徒はどこの研究室も欲しがるところで、盥回しにされていた理由はそこにもある。何故なら『あの研究室で二人を伸ばせなくてもうちでなら出来る』と宣言して、それを成し遂げられれば今後の権力闘争において有利に事が進む可能性が高くなるからだ。天才を側においておけるというのは、それだけでメリットがある。いくら講師や研究員、更には教授としてのプライドをへし折られようが、それさえ耐えきってしまえば自分の地位を盤石のものにする最大の材料となる……のだが、それが何とも難しい。得てして魔術師とはプライドの高い人間であるうえに、それを軸として生きているのだ。それを曲げるというのは中々できる事ではないようで。この場合はウィルフレッドは天才として研究機関に招かれた二人を教えることになるのだから、二人を研究室に置いておくというだけでとんでもない功績となる。ウィルはまだ現代学部教授に成り立てでその中での地位は下の下。他の教授連中に批判でもされれば研究室を保っていけないほどなのだ。
「安心しなよ、ウィルフレッド。ヴェストファーレン兄弟はウィルフレッド・ユリアーノに任せるって念書はラナードの奴に書かせたから、批判されたりする事は無いと思うよ」
「お前、成長すると共にどんどん図太くなっていったよな……。取り敢えずありがとう。後は一週間でどれだけの生徒が獲得できるかだが……」
今ある研究室は同じ魔術師の家が代々継いで来たものが多く、新しく立ち上げた例がほぼほぼ存在しないのだ。だから、どのくらい入れば存続していけるのかが微妙によくわからない。当然、細かい規定も存在しない。
「昔の資料を見る限り、実は二人ぐらい入ってくれれば上々だって話もあるよね。でも、確かに五人くらいは欲しいかも。今後の生徒獲得に関してはあの兄弟の成長次第だとして」
研究室の存続を生徒達に賭けるというのは何となく心苦しいものである、とウィルフレッドは思ってしまう。まるで、自身の責任を子供達に負担させてしまうような気がするし、実際そうなのだから。
「まぁ、一週間後まで待ってみよう。もしかしたら三人だけの研究室になるかもしれないが、それはそれで悪くは無いさ」
あの兄弟の事だ、きっととんでもなく騒がしくなる。確かにローランもそう思った。そうなってもならなくても、自分は彼の盾でありたいと思う。最低限長い間家系を途切れされることの無かった家の者として、ほんの少しでも彼の行動に対する言い訳の材料になればと思ったからだ。
「これから忙しくなるねぇ」
「そうだな。よろしく頼むぞ、ローラン」
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