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星空チケット
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「お前、よくも毎回毎回こんなくだらないこと思いつくな。中間考査で一番とるやつは、考えることが違うんですかね」
引田は机からさらにノートとペンケースを取り出しながら思いきり言葉に皮肉を込めてみせたが、前野にはいまいち効果がないようで、とぼけた顔を学ランの襟にすぼめられただけだった。
「お前が自分で言ってたんじゃん。前に、星空を存分に堪能できる場所があれば行きたいって。クラス中にほざいてただろ?」
「俺は山とか海とか、そういう所を想定して言ったんだ!」
まだ半数ほど教室に残っていた生徒の何人かが、大声に反応して窓側へ含み笑いを飛ばす。
引田が行きたいと言ったのは星空を綺麗に眺められる、あくまで穴場という意味での話だ。決して作られた、子ども向けアニメ映画の安っぽい星空ではない。以前に、転校してきた前野へ自己紹介した際、そう話したことをからかわれているのだ。
気を悪くした引田は机の上に出した授業教材一式を鷲掴みにすると、椅子を突っぱねるように立ち上がり前野のもとを離れた。今、図書室に寄れば、図書当番の神林に愚痴ぐらいは聞いてもらえるだろう。
引田は机からさらにノートとペンケースを取り出しながら思いきり言葉に皮肉を込めてみせたが、前野にはいまいち効果がないようで、とぼけた顔を学ランの襟にすぼめられただけだった。
「お前が自分で言ってたんじゃん。前に、星空を存分に堪能できる場所があれば行きたいって。クラス中にほざいてただろ?」
「俺は山とか海とか、そういう所を想定して言ったんだ!」
まだ半数ほど教室に残っていた生徒の何人かが、大声に反応して窓側へ含み笑いを飛ばす。
引田が行きたいと言ったのは星空を綺麗に眺められる、あくまで穴場という意味での話だ。決して作られた、子ども向けアニメ映画の安っぽい星空ではない。以前に、転校してきた前野へ自己紹介した際、そう話したことをからかわれているのだ。
気を悪くした引田は机の上に出した授業教材一式を鷲掴みにすると、椅子を突っぱねるように立ち上がり前野のもとを離れた。今、図書室に寄れば、図書当番の神林に愚痴ぐらいは聞いてもらえるだろう。
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