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第一章
そうだ、ケーキ屋に行こう
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「そうだ、最近駅前にできたケーキ屋なんだけどさ……」
俺がそう言うと、凛音の耳がぴくっと動いた。よし。
「ちょっと最近行きたいなって思ってさ。でも、一緒に行ってくれる人がいなくてさ……ほら、男が一人でケーキ屋なんて、恥ずかしいからさ」
ピクピクッ。
「大聖は甘いもん無理だからさ。はあ、誰かいないかなあ」
「わ、私なら……」
俺が棒読みでそう呟いていると、案の定凛音が食いついてきた。
「私なら一緒に行ってあげていいけど……」
「お、本当か?」
「ま、仕方なくだけどね……仕方なくだけどね!」
そう言って凛音は妙に力強く指をさしてきた。
「いい? 二人っきりで、明後日の朝十時に駅前集合だから! 分かった?」
「お、おう……」
「うん、それでよし……ふふっ」
予想以上だったが、ともかくご機嫌をとることができたようだ。凛音が最近ケーキ食べたいな、とか言っていたのを覚えていてよかった。
そんな俺たちの様子を見ていた大聖はまたニヤニヤしながら凛音に話しかけた。
「おやあ、凛音さん。本当にケーキを食べに行きたいだけなんですか?」
「わ、私はそもそもケーキを食べに行きたいなんて言ってないし……これは仕方なくなんだから」
凛音の言葉を聞いた大聖のニヤニヤはさらに深くなった。
ってかなんで凛音がケーキ食べたいって言ってたこと知ってんだ。きめえ。
「質問の仕方を間違えたかな? 本当は久しぶりに日向とどこかへ行けるかもしれないって期待したんじゃないんですかあ?」
大聖の妄言を聞いた凛音は目を見開くと、顔を真っ赤にして、大聖に思い切り正拳突きをかました。
「ぐぼあっ!」
「そ、そそそそそそんな訳ないじゃない! バカじゃないの! バッッッカじゃないの!」
そう言って凛音は大聖に追い打ちをかけた。
「ちょ! もう無理! 無理だから!」
「うるさい! うるさい!」
大聖が断末魔のような声を上げるも、凛音はそんなことは構わずにボコスカと殴り続ける。
「痛い痛い痛い! ギブギブギブギブ!」
「うるさ――――い!」
「ごぼあっ!」
そして鳩尾に一発拳が入れられ、大聖は規制を上げながら撃沈した。アーメン。
凛音は、大聖が完全に動かなくなったのを確認すると、慌てた様子でこちらへ振り向いた。
「あ、あの、さっき大聖が言ってたこと、真に受けないでよ!」
「え、あ、ああ……」
「絶対だからね!」
凛音はそう強く言ってきた。そんなこと、分かり切ってるのにな……。
俺はふと大聖の方を見てみる。大聖は「よう……じょ……」とか呟いてのびていた。残念すぎる……。
なんでこんなやつがモテるのだろうか……恋心ってのは不思議だ。
「別に不思議なことじゃないと思うけど?」
「……読心術?」
「声に出てた」
無意識のうちに思っていたことが声に出てしまっていたようだ。気をつけないと。
しかし、不思議じゃないってどういうことなんだ?
俺はそう思い、凛音に尋ねた。
「知らないの? 大聖ってさ、いろんな困っている娘を見つけては助けてあげてるんだよ」
「あいつ、そんなことしてたのかよ……」
そんなこと全然知らなかった。大聖の今のプライベートなことに関しては、あまり俺の耳には入ってこないので、今初めて知った。
しかし、大聖がそんなことしてるなんてな……。
「下心丸出しの犯罪者にしか見えないんだが……」
「そう思ってるのはきっと日向だけだと思う」
「同級生の女の子にモテたって全然嬉しくないわ!」
いつの間に起き上ったのか、大聖が会話に横入りしてきた。
「俺はちゃんと助けた女の子全員に『下心とか無いから、勘違いしないで』って言ってるんだぞ! なのになんで告白してくるんだよ!」
「そんなこと言ってるから誤解されて『あ、この人私に気があるのかも』ってなって告白されちゃうんじゃないの?」
「はっ!」
超イケメンなのだから余計だろう。ブスだったら気持ち悪いだけで、超かっこい良いし、この人ならいいかな~、みたいな。
大聖は「そうだったのか……」とか言いながら、しょげていたのだが、やがて難しい顔になって呟く。
「そう言えば俺さ……『ただの女子には興味ありません。金髪ロリ、妹系ロリ、清純派ロリ、ツンツンロリがいたら、俺と付き合って下さい。以上』って言ったことがあるんだけど……」
「それを差し引いてもってことでしょ……ってかそんな頭の沸いたこと言ってたの……」
俺と凛音は大聖のぶっ飛んだ発言にドン引きだった。
あと各方面に怒られるからそのネタやめろ。
大聖は「はあ」とか言いながら心底嫌そうな顔をした。モテる男の余裕が憎い。
俺がそう言うと、凛音の耳がぴくっと動いた。よし。
「ちょっと最近行きたいなって思ってさ。でも、一緒に行ってくれる人がいなくてさ……ほら、男が一人でケーキ屋なんて、恥ずかしいからさ」
ピクピクッ。
「大聖は甘いもん無理だからさ。はあ、誰かいないかなあ」
「わ、私なら……」
俺が棒読みでそう呟いていると、案の定凛音が食いついてきた。
「私なら一緒に行ってあげていいけど……」
「お、本当か?」
「ま、仕方なくだけどね……仕方なくだけどね!」
そう言って凛音は妙に力強く指をさしてきた。
「いい? 二人っきりで、明後日の朝十時に駅前集合だから! 分かった?」
「お、おう……」
「うん、それでよし……ふふっ」
予想以上だったが、ともかくご機嫌をとることができたようだ。凛音が最近ケーキ食べたいな、とか言っていたのを覚えていてよかった。
そんな俺たちの様子を見ていた大聖はまたニヤニヤしながら凛音に話しかけた。
「おやあ、凛音さん。本当にケーキを食べに行きたいだけなんですか?」
「わ、私はそもそもケーキを食べに行きたいなんて言ってないし……これは仕方なくなんだから」
凛音の言葉を聞いた大聖のニヤニヤはさらに深くなった。
ってかなんで凛音がケーキ食べたいって言ってたこと知ってんだ。きめえ。
「質問の仕方を間違えたかな? 本当は久しぶりに日向とどこかへ行けるかもしれないって期待したんじゃないんですかあ?」
大聖の妄言を聞いた凛音は目を見開くと、顔を真っ赤にして、大聖に思い切り正拳突きをかました。
「ぐぼあっ!」
「そ、そそそそそそんな訳ないじゃない! バカじゃないの! バッッッカじゃないの!」
そう言って凛音は大聖に追い打ちをかけた。
「ちょ! もう無理! 無理だから!」
「うるさい! うるさい!」
大聖が断末魔のような声を上げるも、凛音はそんなことは構わずにボコスカと殴り続ける。
「痛い痛い痛い! ギブギブギブギブ!」
「うるさ――――い!」
「ごぼあっ!」
そして鳩尾に一発拳が入れられ、大聖は規制を上げながら撃沈した。アーメン。
凛音は、大聖が完全に動かなくなったのを確認すると、慌てた様子でこちらへ振り向いた。
「あ、あの、さっき大聖が言ってたこと、真に受けないでよ!」
「え、あ、ああ……」
「絶対だからね!」
凛音はそう強く言ってきた。そんなこと、分かり切ってるのにな……。
俺はふと大聖の方を見てみる。大聖は「よう……じょ……」とか呟いてのびていた。残念すぎる……。
なんでこんなやつがモテるのだろうか……恋心ってのは不思議だ。
「別に不思議なことじゃないと思うけど?」
「……読心術?」
「声に出てた」
無意識のうちに思っていたことが声に出てしまっていたようだ。気をつけないと。
しかし、不思議じゃないってどういうことなんだ?
俺はそう思い、凛音に尋ねた。
「知らないの? 大聖ってさ、いろんな困っている娘を見つけては助けてあげてるんだよ」
「あいつ、そんなことしてたのかよ……」
そんなこと全然知らなかった。大聖の今のプライベートなことに関しては、あまり俺の耳には入ってこないので、今初めて知った。
しかし、大聖がそんなことしてるなんてな……。
「下心丸出しの犯罪者にしか見えないんだが……」
「そう思ってるのはきっと日向だけだと思う」
「同級生の女の子にモテたって全然嬉しくないわ!」
いつの間に起き上ったのか、大聖が会話に横入りしてきた。
「俺はちゃんと助けた女の子全員に『下心とか無いから、勘違いしないで』って言ってるんだぞ! なのになんで告白してくるんだよ!」
「そんなこと言ってるから誤解されて『あ、この人私に気があるのかも』ってなって告白されちゃうんじゃないの?」
「はっ!」
超イケメンなのだから余計だろう。ブスだったら気持ち悪いだけで、超かっこい良いし、この人ならいいかな~、みたいな。
大聖は「そうだったのか……」とか言いながら、しょげていたのだが、やがて難しい顔になって呟く。
「そう言えば俺さ……『ただの女子には興味ありません。金髪ロリ、妹系ロリ、清純派ロリ、ツンツンロリがいたら、俺と付き合って下さい。以上』って言ったことがあるんだけど……」
「それを差し引いてもってことでしょ……ってかそんな頭の沸いたこと言ってたの……」
俺と凛音は大聖のぶっ飛んだ発言にドン引きだった。
あと各方面に怒られるからそのネタやめろ。
大聖は「はあ」とか言いながら心底嫌そうな顔をした。モテる男の余裕が憎い。
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