剣聖の使徒

一条二豆

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第一章

悪魔ちゃんフィギュア

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 俺はこのまま大聖のモテエピソードを続けるのは嫌だったので、話題を変えることにした。

「そう言えばさ、悪魔ちゃんフィギュアの新作が出たの知ってるか?」
「ああ、サキュバスちゃんのことだろ?」

 うなだれていた大聖が反応をした。

「どこにも売って無くてさ、今めっちゃ欲しいんだよ!」

 悪魔ちゃんフィギュアとは、その名の通り有名な悪魔をフィギュア化したものだ。
 悪魔とは言っても、どれも女の子の形をしていて、かわいいとのことでヒットしている商品である。
 大体の人は嗜好品として集めているのだが……俺は他の人とは違う目的で集めている。
 俺のさっきの言葉を聞いた大聖は、待っていましたと言わんばかりに目を輝かせていた。

「その言葉を待っていました!」

 前言撤回。言った。

「日向がそう言うと思ってさ、買っておいたんだよ!」

 大聖はそう言って、鞄の中からサキュバスの悪魔ちゃんフィギュアを出した。
 なんでそんなこと思ったの? とかそんなことどうでもよかった。
 そのフィギュアを見た瞬間、俺のテンションはマックスまで上がった。

「うおおおおおおおお! お前、これ、買ってきたって……もしかして、俺に?」
「へへっ……いいってことよ」
「で、でもなんで……?」

 大聖がなぜか俺にこれをくれたのはいいが、俺には大聖が突然こんなものをくれる理由に心当たりが無かった。
 その俺の疑問に答えるべく、大聖は胸を張ると爽やかな笑みを浮かべた。

「決まってんだろ? 日向が前に……幼女、紹介してくれたお礼に」
「んなことしてねえだろ!」

 急にとんでもないこと言いやがった。

 ほら、今すぐ訂正しろよ! 凛音がドン引きしてんじゃねえか!

 今にも血管がキレそうだったが、大聖はそんな俺を気にもしないで笑みを浮かべたままだった

「ほら、前連れてきてくれたじゃないか……春のことだよ」
「あの娘はお前のいとこだろうが!」

 なるほど、そういうことか……。

 先月くらいに、大聖のいとこが迷子になっていたところを見かけたことがあった。その時俺はまだその子が大聖のいとことは知らなかったのだが……。

 話してみるとどうやら迷子になっていたらしく、その時に初めて大聖のいとこだと知ったのだ。
春ちゃんは幼稚園児くらいの体型で、とてもかわいらしい感じの中国人の女の子だった。

きっとその時のお礼がしたかったのだろう。素直じゃないな。

とはいえ、周りに誤解をさせたのは万死に値するが。

「いや、めっちゃ俺の好みなんだよ! あのダウナーな感じというか何と言うか……そう、あの子はまさしく堕天使! 特にどの辺がと言うと――――」

 なんか語り出したので、俺は無視することにした。放っておけばそのうち黙るだろう。

 俺は手に持ったサキュバスのフィギュアを見てみた。するとサキュバスの露出はとても多く、何とも言えない悩殺ポーズを決めていたことに気付いた。
 実は話に聞いていただけなので、俺はそのフィギュアのあまりのエロさにビビった。さすがは夢魔と言ったところだろうか……他のフィギュアとは違う。

 そう俺がじっとフィギュアをじっと見つめていると、横からの視線が飛んできた。

「あ、凛音……」
「そういうの……好きなの?」

 あらぬ誤解を招いていた。
 や、やばい! このままでは兄としての威厳が!

「こ、これはだな凛音……別に、そういうつもりで買ったわけでは無くだな……」
「別に、そういうつもりで見てたわけじゃないんだけど……」

 どうやら誤解されているわけではなかったようだ。

「日向って、その……サキュバスって悪魔のことどう思う?」

 どうやら俺がサキュバスのフィギュアを見まくっていたから、やきもちを焼いてしまったようだ。
 全く……仕方のない妹だなあ。

「別にサキュバスなんてどうでもいいよ、凛音の方がずっとかわいいさ」
「あそう……」

 俺の大聖の様な頭の沸いた(後から恥ずかしくなった)言葉を聞いた凛音は、複雑そうな顔でサキュバスのフィギュアを見つめた。

 あっれえ? なんか間違えたかなあ?

 というわけで、自己反省会開始!

 俺は考える人のようなポーズをとり、一人無言で反省を始めた。
 しばらくこの状態が続いていると、凛音が何かを思い出したかのような顔をした。

「そうだった! こんなことを話に来たんじゃないんだよ!」

 凛音は突然そう叫ぶと、机をバンっと叩いた。というわけで反省会終了!

「うおっ! びっくりしたな、なんだよ?」


「また起きたんだって、あの事件」

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