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第一章
『悪魔の悪戯』
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あの事件って……『悪魔の悪戯』のことか?」
俺の言葉に凛音はコクリと頷いた。
『悪魔の悪戯』とは俺たちの住む桜木町で最近起こっている殺人事件のことだ。
被害者に外傷は無く、体内だけがグチャグチャになっているという不思議な現象が起きており、その背中には被害者全員に共通して悪魔のような手形があることから、こういう名前がつけられたそうだ。悪戯で済まされるレベルでは無いと思うが。
いつの間にか黙っていた大聖が険しい顔つきになって、凛音の方を見ていた。根が優しいやつだから、なにかと思うところがあるのだろう。
そう思っていると、大聖が凛音に質問した。
「次は、誰が被害にあったんだ?」
「うちの学校の生徒なんだって」
その言葉を聞いた大聖の顔はもっと険しくなっていった。
そんな大聖を横目に俺はしみじみと呟く。
「やっぱり悪魔っているんだよ」
「またそんなことを言い出す……」
「いや、本当だって。俺は……見たんだからな」
凛音の呆れたような言葉を、俺は真剣に返した。
「だって見たっていっても六歳くらいの頃でしょ? やっぱり記憶が曖昧(あいまい)になってるんだよ」
俺の両親は何者かに殺されていなくなってしまった。警察はその犯人を特定することができなかったが、俺はその犯人の姿をしっかりと見ていた。
今でも忘れない。その姿を思い出しただけで、手に力が入る。
憎い。とても憎い。
そいつを倒すためだけに、剣術を自分で学び始めた。
そいつを倒すためだけに、俺は里親をつくらなかった。
俺の声に自然と力が入った。
「悪魔だったよ。俺から全てを奪ったあいつは」
俺の言葉に凛音はコクリと頷いた。
『悪魔の悪戯』とは俺たちの住む桜木町で最近起こっている殺人事件のことだ。
被害者に外傷は無く、体内だけがグチャグチャになっているという不思議な現象が起きており、その背中には被害者全員に共通して悪魔のような手形があることから、こういう名前がつけられたそうだ。悪戯で済まされるレベルでは無いと思うが。
いつの間にか黙っていた大聖が険しい顔つきになって、凛音の方を見ていた。根が優しいやつだから、なにかと思うところがあるのだろう。
そう思っていると、大聖が凛音に質問した。
「次は、誰が被害にあったんだ?」
「うちの学校の生徒なんだって」
その言葉を聞いた大聖の顔はもっと険しくなっていった。
そんな大聖を横目に俺はしみじみと呟く。
「やっぱり悪魔っているんだよ」
「またそんなことを言い出す……」
「いや、本当だって。俺は……見たんだからな」
凛音の呆れたような言葉を、俺は真剣に返した。
「だって見たっていっても六歳くらいの頃でしょ? やっぱり記憶が曖昧(あいまい)になってるんだよ」
俺の両親は何者かに殺されていなくなってしまった。警察はその犯人を特定することができなかったが、俺はその犯人の姿をしっかりと見ていた。
今でも忘れない。その姿を思い出しただけで、手に力が入る。
憎い。とても憎い。
そいつを倒すためだけに、剣術を自分で学び始めた。
そいつを倒すためだけに、俺は里親をつくらなかった。
俺の声に自然と力が入った。
「悪魔だったよ。俺から全てを奪ったあいつは」
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