剣聖の使徒

一条二豆

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第一章

幕開け

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 学校での授業を終えた放課後、俺は部活に入っていないためすぐに下校した。

 最近の放課後、俺は両親の敵の手掛かりを探すべく、『悪魔の悪戯』について調べていた。
 あの後、凛音に話を聞いたところ、どうやら学校から二時間くらい歩いた公園で事件が起きたらしい。


 ちなみに、凛音は空手部、大聖は弓道部に所属している。俺たち三人は全員武道を嗜(たしな)んでいるが、別に何か理由があるわけではない。
 学校からしばらく歩くと件の公園に着いた。

 時刻はもう午後六時を回っていた。

「ここが現場か……」

 そう呟いて辺りを見渡すが、

「しまったな……」

 俺は重大なミスに気が付いた。
 当然のことながら、公園にはたくさんの警察が調査をしており、関係者以外立ち入り禁止になっていた。

 一つのことに集中すると、他がおろそかになってしまうのは俺の悪い癖だ。俺は一体なにを考えているのだろうか。

「……頭冷やそ」

 俺は調査を諦め、心を落ち着かせるために遠回りをして家に帰ることにした。
 ちょうど公園の横にあった薄暗い路地を歩いてみる。

 こういう風に落ち着きたい時は、外を歩くようにしている。特に知らないところをだ。
 なぜかと聞かれると、自分の知らない場所を歩くことで新しいことに出会ったり、気づいたりすることができるからだ。

 俺が剣術を学ぼうと考えたのも、この気分転換の方法を使っていた時だったりする。道端にたまたま落ちていた竹刀を見て、自分の力を磨こうと考えたのだ。
 だが、この方法は最近はしていなかった。なぜなら嫌なことが起こるからだ。

「なあなあ兄ちゃん、その髪不良の真似事?」
「ウチらここらへんを仕切ってる『バ○ス』っつーんすけどお、ちょっとお話いいっすかあ?」

 こんな風にな。ってかお前らそのチーム名はアウトだろう……。

 だんだん成長してきて体格がよくなったのか、最近はよく絡まれることが多くなった。
 だいたい、妙な二つ名があるのに本人の知名度が低いのだからたまったもんじゃない。

 そんな愚痴を頭の中でゆったりとしているうちにも婆屡棲とかいう二人組はしきりになにかを喋っていた。

 面倒くさいと思いながら、俺は立てかけてあった物干し竿に手をかけた。
 そして目をつむってどう倒すかゆっくりと考える。
 頭にでも二発入れて黙らせるかと決めたその時、俺は強烈な気配を斜め前方に感じた。

「あ?」
「ん、なんだこの陰――」

 その後、彼らの声は――消えた。

 明らかに不自然だった。

 目を開いてみると、目の前に広がっていたのは誰もいない、狭い路地の一本道。

 いや、違う。

 俺は首を少し動かし、さっき感じた強烈な気配の方へと向いた。

 そこにいたのはバリボリと嫌な音を立てて口をしきりに動かしている、蜘蛛のような化け物だった。
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